【Primaveraに降る雪】 29 ラキ編 6
「・・・ラキ、その笑顔は卑怯すぎます・・・ 私の理性を爆破する気ですか・・・」
「・・・ っせぇよ ホッとしたら自然にニヤけたんだからしょうがねーだろ・・・」
「またそうやって煽る・・・ 少しは自分の魅力に自覚を持ってください」
「魅力て・・・ んなもん ねえって ・・・それより、この世界は何なんだ?」
「どうやらあの小さい精霊さん達の次元魔法に巻き込まれて違う世界へ飛ばされてしまったようですね」
「それは・・・ 何となく分かってた」
「こちらの世界に来てから、この土地を守る不思議な力を持つ存在をあちこちにたくさん感じます。」
「・・・守り神?」
「特にこの校舎には強い力を持った存在が、今は二つ・・・。もう二つは先程少し離れた森へ移動したようですがその二人も相当強力で、私も、弱っていたとはいえこの空間一体を守護する力に当てられて身動きが取れないでいました。」
「・・・そうか、お前って・・・」
「私は彼らとは正反対の存在ですから・・・ 残った力で何とか傷だけでも塞ごうとこっそり隠れていたのです。
しばらく、体力が戻るまでは、と我慢していた時に、まさか貴方に再び逢えてまた言葉を交わせて、またこうして触れることができるなんて・・・」
この世界のこと、自分のことをゆっくりと話しながら 少しずつラキに近付いていく。
ラキが座る両脇に手を突いて、深紅に揺れる瞳で真っ直ぐ見詰めると優しく目を細めた。
暗くてもよく映える妖艶な瞳に視界を奪われたラキは目を逸らせずにじっと見詰め返す。
「・・・力が戻って気付きましたが、ラキの周りにあの精霊の魔法が微かに纏わり付いています。
嫉妬と憎悪が膨れ上がって呪いに近いものに変化していますね。それが貴方の感覚を狂わせている。
いつもの貴方なら 集中すれば私の気配を追えたはず。それができなかったのはこの呪いが邪魔をしていた所為でしょう」
「マジか・・・ 怖ぇな、 ・・・」
「大丈夫ですよ。 私がその呪いを浄化します。」
「マジか・・・ 凄ぇな、 ・・・」
シンはニッコリと微笑んで一呼吸置くと再び静かに話し始めた。
「・・・ラキの血は格別、と言ったでしょう?」
「ん・・・ うん」
「貴方の中に眠る力、ずっとずっと昔に受け継がれた聖なる血、数百年経った今、貴方の中に色濃く引き継がれ身体の奥で静かに巡っている」
「は・・・?」
「それは彼らと同じ力、それが私の魔力を何倍にも高めてくれるのです。だから今の私は強いですよ♪あの二匹の龍にももう影響を受けません。」
「・・・何だよそれ 意味が分かんねぇ」
「ラキ・・・私がこの力で貴方を護ります。 こんな偶然生まれた呪いなんて、私の長年の愛情の重さに比べたら可愛いものです。 年季が違いますよ年季が♡」
「・・・・・ お前、何かまた俺より強くなって、なんかずりぃ・・・ また護られるのか俺・・・」
「いいえ、私は 貴方の血に護られているから、貴方を護れるのです。この呪いを解けるのも貴方の血に眠る力を利用して、私の力に変えるから出来る事。 ・・・ね、ラキは私の全てなのですよ。」
「・・・・・・」
「貴方に出逢えて、貴方を好きになって、貴方の中に眠る血に更に心を奪われて・・・。
ラキ、私は、貴方に出逢える日を長い間待っていました。貴方に前世の記憶はありませんが、
私はずっと、あの柩の中で ラキをずっとずっと待っていた・・・。」
「・・・ ・・・シン お前、何泣きそうな顔してんだよ もういいよ 前世とか、力とか、よく分かんねぇけど、
お前の気持ちは分かったから・・・」
眉に力を込めて苦しそうに話すシンの頬をそっと撫でてやる。
自分よりも遥かに永い時間を生きてきたシンが過去にどんな生き方をしてきたのか、
俺があの時、あの柩を開けるまでの間に 誰に逢って、どんな事を想って時を刻んできたのか、
そんな事は高々20年も生きてない俺には想像もつかないけど、
今ここに居るシンの事は俺しか知らない。
そのシンが俺だけを見ててくれる。
そう思うと何だか嬉しくて胸がきゅっと苦しくなった。
頬に感じるラキの掌の温もりを愛おしそうに受け入れて、シンはもう一度彼の黒い瞳を覗き込む。
「ラキ・・・ 触れてもいいですか」
「・・・うん」
ゆっくりとラキの頬に触れる 細くて長い指の感触に思わず目を閉じてしまう。
同時に、まだ血の滲む左手にそっと掌を乗せて優しく握り合った。
ひんやりと冷たいシンの手が、熱を持ってじんじんと疼くその熱を吸い取っていくようで心地いい。
どちらからともなく近付いて、鼻先が触れ合うと相手を求めるように薄く口を開いていく。
もう少しで重なりそうなところで、シンはぐっと口を噤んでそこから離れてしまった。
欲しいものが得られなくて、じれったい気持ちを表に出しながらラキは彼の唇を睨むように見詰めた。
「ラキ・・・ 私は今 力が漲ってますから、これ以上すると自分を抑えきれないかもしれません
こんなに好きなのに・・・ もっと触れていたいのに・・・ でももう貴方に痛い思いはさせたくない・・・」
「・・・ ・・・お前の したいようにしていいんだ」
「・・・・・っ」
「俺も お前が好きだから もっと触りたいし、触られてもいいし、キスもしたいと思ってる」
「ラ!ラララララキ・・・・・・っ???」
「だから 抱いていいぞ」
「~~~~・・・・っ! ラ、ラ、ラ、ラキぃ・・・」
「・・・・何だよ ・・・俺から誘ったら萎えるのか?」
「いいいいいいいえ!!!! も、もう一度、 聞き間違いかもしれないので もう一度よよよろしいですかっっ!?」
「・・・抱いていいぞ」
「・・・ いいえ」
「はっ!?」
「私は貴方の下僕(いぬ)ですから・・・ 命令して・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「抱けよ馬鹿」
「はい 喜んで♡」
「この変態が」
「ありがとうございます♡」
「・・・ っせぇよ ホッとしたら自然にニヤけたんだからしょうがねーだろ・・・」
「またそうやって煽る・・・ 少しは自分の魅力に自覚を持ってください」
「魅力て・・・ んなもん ねえって ・・・それより、この世界は何なんだ?」
「どうやらあの小さい精霊さん達の次元魔法に巻き込まれて違う世界へ飛ばされてしまったようですね」
「それは・・・ 何となく分かってた」
「こちらの世界に来てから、この土地を守る不思議な力を持つ存在をあちこちにたくさん感じます。」
「・・・守り神?」
「特にこの校舎には強い力を持った存在が、今は二つ・・・。もう二つは先程少し離れた森へ移動したようですがその二人も相当強力で、私も、弱っていたとはいえこの空間一体を守護する力に当てられて身動きが取れないでいました。」
「・・・そうか、お前って・・・」
「私は彼らとは正反対の存在ですから・・・ 残った力で何とか傷だけでも塞ごうとこっそり隠れていたのです。
しばらく、体力が戻るまでは、と我慢していた時に、まさか貴方に再び逢えてまた言葉を交わせて、またこうして触れることができるなんて・・・」
この世界のこと、自分のことをゆっくりと話しながら 少しずつラキに近付いていく。
ラキが座る両脇に手を突いて、深紅に揺れる瞳で真っ直ぐ見詰めると優しく目を細めた。
暗くてもよく映える妖艶な瞳に視界を奪われたラキは目を逸らせずにじっと見詰め返す。
「・・・力が戻って気付きましたが、ラキの周りにあの精霊の魔法が微かに纏わり付いています。
嫉妬と憎悪が膨れ上がって呪いに近いものに変化していますね。それが貴方の感覚を狂わせている。
いつもの貴方なら 集中すれば私の気配を追えたはず。それができなかったのはこの呪いが邪魔をしていた所為でしょう」
「マジか・・・ 怖ぇな、 ・・・」
「大丈夫ですよ。 私がその呪いを浄化します。」
「マジか・・・ 凄ぇな、 ・・・」
シンはニッコリと微笑んで一呼吸置くと再び静かに話し始めた。
「・・・ラキの血は格別、と言ったでしょう?」
「ん・・・ うん」
「貴方の中に眠る力、ずっとずっと昔に受け継がれた聖なる血、数百年経った今、貴方の中に色濃く引き継がれ身体の奥で静かに巡っている」
「は・・・?」
「それは彼らと同じ力、それが私の魔力を何倍にも高めてくれるのです。だから今の私は強いですよ♪あの二匹の龍にももう影響を受けません。」
「・・・何だよそれ 意味が分かんねぇ」
「ラキ・・・私がこの力で貴方を護ります。 こんな偶然生まれた呪いなんて、私の長年の愛情の重さに比べたら可愛いものです。 年季が違いますよ年季が♡」
「・・・・・ お前、何かまた俺より強くなって、なんかずりぃ・・・ また護られるのか俺・・・」
「いいえ、私は 貴方の血に護られているから、貴方を護れるのです。この呪いを解けるのも貴方の血に眠る力を利用して、私の力に変えるから出来る事。 ・・・ね、ラキは私の全てなのですよ。」
「・・・・・・」
「貴方に出逢えて、貴方を好きになって、貴方の中に眠る血に更に心を奪われて・・・。
ラキ、私は、貴方に出逢える日を長い間待っていました。貴方に前世の記憶はありませんが、
私はずっと、あの柩の中で ラキをずっとずっと待っていた・・・。」
「・・・ ・・・シン お前、何泣きそうな顔してんだよ もういいよ 前世とか、力とか、よく分かんねぇけど、
お前の気持ちは分かったから・・・」
眉に力を込めて苦しそうに話すシンの頬をそっと撫でてやる。
自分よりも遥かに永い時間を生きてきたシンが過去にどんな生き方をしてきたのか、
俺があの時、あの柩を開けるまでの間に 誰に逢って、どんな事を想って時を刻んできたのか、
そんな事は高々20年も生きてない俺には想像もつかないけど、
今ここに居るシンの事は俺しか知らない。
そのシンが俺だけを見ててくれる。
そう思うと何だか嬉しくて胸がきゅっと苦しくなった。
頬に感じるラキの掌の温もりを愛おしそうに受け入れて、シンはもう一度彼の黒い瞳を覗き込む。
「ラキ・・・ 触れてもいいですか」
「・・・うん」
ゆっくりとラキの頬に触れる 細くて長い指の感触に思わず目を閉じてしまう。
同時に、まだ血の滲む左手にそっと掌を乗せて優しく握り合った。
ひんやりと冷たいシンの手が、熱を持ってじんじんと疼くその熱を吸い取っていくようで心地いい。
どちらからともなく近付いて、鼻先が触れ合うと相手を求めるように薄く口を開いていく。
もう少しで重なりそうなところで、シンはぐっと口を噤んでそこから離れてしまった。
欲しいものが得られなくて、じれったい気持ちを表に出しながらラキは彼の唇を睨むように見詰めた。
「ラキ・・・ 私は今 力が漲ってますから、これ以上すると自分を抑えきれないかもしれません
こんなに好きなのに・・・ もっと触れていたいのに・・・ でももう貴方に痛い思いはさせたくない・・・」
「・・・ ・・・お前の したいようにしていいんだ」
「・・・・・っ」
「俺も お前が好きだから もっと触りたいし、触られてもいいし、キスもしたいと思ってる」
「ラ!ラララララキ・・・・・・っ???」
「だから 抱いていいぞ」
「~~~~・・・・っ! ラ、ラ、ラ、ラキぃ・・・」
「・・・・何だよ ・・・俺から誘ったら萎えるのか?」
「いいいいいいいえ!!!! も、もう一度、 聞き間違いかもしれないので もう一度よよよろしいですかっっ!?」
「・・・抱いていいぞ」
「・・・ いいえ」
「はっ!?」
「私は貴方の下僕(いぬ)ですから・・・ 命令して・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「抱けよ馬鹿」
「はい 喜んで♡」
「この変態が」
「ありがとうございます♡」