【Primaveraに降る雪】 7
「いや~ ビックリしたな~」
「だな・・・ あんなおかしな奴初めて見たぜ」
「シンって吸血鬼だったんだな~♪」
「そっちかよ・・・」
シンがラキという男に連れ去られた後、ギルド内のたくさんの視線から逃げるようにこのふたりもそそくさと外に出ていた。
街から出てすぐ脇に設置してある木製の長椅子に腰掛けて、空を仰ぎながら煙草を噴かすアース。
その横に座ったカイトは珍しい生き物に逢えた事にとても喜んでいるようで、ニコニコしながら足をブラブラさせている。
「お前・・・ 知らねぇ奴と馴れ馴れしく喋んじゃねぇ 何かされたらどうすんだ・・・ ギルドん中は特に気をつけろよ」
「ごめん ・・・でも、シンは悪い奴じゃないよ」
少し困った顔でそう言うカイトに アースの眉がピクリと動く。
シンて奴が本当に悪い奴じゃなくても、奴と一緒にいられるのは何となく嫌だった。
「アース・・・」
「・・・何だよ」
「さっきシンが言ってたアレ・・・ どういう意味?」
「は・・・・?」
「アースはあそこの棚で何を探してたの? 依頼だよね?」
「・・・・ぁ、 ああ・・・ ・・・そうだな 依頼だな ギルドだからな」
シンが言っていた”裏ギルド”
一般的な魔物討伐、捕獲、捜索、妖精や精霊の調査、探し人、取得困難な材料の調達等、依頼は山のようにある中で、
魔物の討伐だけでなく、亜人や、更には極秘で人間もその対象になる場合がある。
勿論リスクも高い為、報酬もそれなりに高額だったりするのだが、ギルドは世界公認の組織に属するので人殺しの依頼は本来あってはならないものだ。
そういう公表できないような依頼をこっそり扱う場所。受付の場所も一般とは別に配置されている。
冒険者の間ではそれを”裏ギルド”と呼んでいるのだった。
所持金不足でギルドに来ていたカイトとアース。
何かを見つけたり、見破ったりするのが何故か得意なカイトには、割と簡単な捜索系の依頼を探させて
アースは高額な仕事が何か無いか調べる為その棚に足を運んでいた。
カイトには向かない仕事も多い。
いつもの様にカイトが寝てから出掛けようと思い、黙って依頼を請けるつもりが
あのシンという男のせいでカイトが”裏ギルド”に興味を持ってしまったらしい。
あいつ・・・ 次会ったら本気でぶっ殺す
「ねぇ アース ”裏切るど”って何? 何を裏切るの?」
「・・・・・・」
カイトの顔を見詰める青い瞳がどんどん見開かれて、その数秒後、深い溜め息と共にガックリと肩を落とす。
ゆっくりと上げた腕をカイトの肩に乗せてガシッと掴むと、うな垂れたままのアースが「馬鹿でよかった・・・」と呟いた。
「え? え??」
「何を裏切るのか俺も知りてぇよ・・・」
身体を起こして今度はカイトの頭をポンポンと叩いた。
恒例の頭に「?」をたくさん浮かばせるカイトを見て「飯 食いに行くか・・・」とふっと薄く微笑んで言った。
「??? まぁ、いっか。 またシンに会った時 聞いてみよ♪ 吸血鬼って本当に血吸うのかな~♪」
「・・・・・ あいつの話はすんじゃねえよ 胸糞悪ぃ・・・」
カイトからまたシンの名前が出て、
立ち上がってもう一度街の中に入ろうとしたアースの足がピタリと止まる。
「?? 何で? シン面白いのに・・・」
「っせーな・・・ ったく・・・ 珍しいもの見付けるとそれしか見えなくなりやがって・・・ あいつはタダの変態じゃねぇか」
「・・・そりゃぁちょっと変かもしんないけど、危険な感じはしなかったよ ・・・何でそんなに怒ってんの?」
「怒ってねぇよ・・・ もういい 腹減った 先行くぞ・・・」
自分でも何でそんなにシンの事が気に入らないのか分からない。
ただカイトの口から奴の話を聞くだけでムカついて仕方なかった。
イライラしながら、短くなった煙草を捨てて踏みつける。そしてまた新しく1本取り出すと口に咥えた。
カイトもそれ以上何を言うこともなく長椅子から立ち上がる。
何となく気まずい雰囲気になってしまったその場を蹴散らすように遠くから大きな声が聞こえてきた。
「アース様ぁぁぁぁぁぁああああああああああ-----------っ!!!!!!♡♡」
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「だな・・・ あんなおかしな奴初めて見たぜ」
「シンって吸血鬼だったんだな~♪」
「そっちかよ・・・」
シンがラキという男に連れ去られた後、ギルド内のたくさんの視線から逃げるようにこのふたりもそそくさと外に出ていた。
街から出てすぐ脇に設置してある木製の長椅子に腰掛けて、空を仰ぎながら煙草を噴かすアース。
その横に座ったカイトは珍しい生き物に逢えた事にとても喜んでいるようで、ニコニコしながら足をブラブラさせている。
「お前・・・ 知らねぇ奴と馴れ馴れしく喋んじゃねぇ 何かされたらどうすんだ・・・ ギルドん中は特に気をつけろよ」
「ごめん ・・・でも、シンは悪い奴じゃないよ」
少し困った顔でそう言うカイトに アースの眉がピクリと動く。
シンて奴が本当に悪い奴じゃなくても、奴と一緒にいられるのは何となく嫌だった。
「アース・・・」
「・・・何だよ」
「さっきシンが言ってたアレ・・・ どういう意味?」
「は・・・・?」
「アースはあそこの棚で何を探してたの? 依頼だよね?」
「・・・・ぁ、 ああ・・・ ・・・そうだな 依頼だな ギルドだからな」
シンが言っていた”裏ギルド”
一般的な魔物討伐、捕獲、捜索、妖精や精霊の調査、探し人、取得困難な材料の調達等、依頼は山のようにある中で、
魔物の討伐だけでなく、亜人や、更には極秘で人間もその対象になる場合がある。
勿論リスクも高い為、報酬もそれなりに高額だったりするのだが、ギルドは世界公認の組織に属するので人殺しの依頼は本来あってはならないものだ。
そういう公表できないような依頼をこっそり扱う場所。受付の場所も一般とは別に配置されている。
冒険者の間ではそれを”裏ギルド”と呼んでいるのだった。
所持金不足でギルドに来ていたカイトとアース。
何かを見つけたり、見破ったりするのが何故か得意なカイトには、割と簡単な捜索系の依頼を探させて
アースは高額な仕事が何か無いか調べる為その棚に足を運んでいた。
カイトには向かない仕事も多い。
いつもの様にカイトが寝てから出掛けようと思い、黙って依頼を請けるつもりが
あのシンという男のせいでカイトが”裏ギルド”に興味を持ってしまったらしい。
あいつ・・・ 次会ったら本気でぶっ殺す
「ねぇ アース ”裏切るど”って何? 何を裏切るの?」
「・・・・・・」
カイトの顔を見詰める青い瞳がどんどん見開かれて、その数秒後、深い溜め息と共にガックリと肩を落とす。
ゆっくりと上げた腕をカイトの肩に乗せてガシッと掴むと、うな垂れたままのアースが「馬鹿でよかった・・・」と呟いた。
「え? え??」
「何を裏切るのか俺も知りてぇよ・・・」
身体を起こして今度はカイトの頭をポンポンと叩いた。
恒例の頭に「?」をたくさん浮かばせるカイトを見て「飯 食いに行くか・・・」とふっと薄く微笑んで言った。
「??? まぁ、いっか。 またシンに会った時 聞いてみよ♪ 吸血鬼って本当に血吸うのかな~♪」
「・・・・・ あいつの話はすんじゃねえよ 胸糞悪ぃ・・・」
カイトからまたシンの名前が出て、
立ち上がってもう一度街の中に入ろうとしたアースの足がピタリと止まる。
「?? 何で? シン面白いのに・・・」
「っせーな・・・ ったく・・・ 珍しいもの見付けるとそれしか見えなくなりやがって・・・ あいつはタダの変態じゃねぇか」
「・・・そりゃぁちょっと変かもしんないけど、危険な感じはしなかったよ ・・・何でそんなに怒ってんの?」
「怒ってねぇよ・・・ もういい 腹減った 先行くぞ・・・」
自分でも何でそんなにシンの事が気に入らないのか分からない。
ただカイトの口から奴の話を聞くだけでムカついて仕方なかった。
イライラしながら、短くなった煙草を捨てて踏みつける。そしてまた新しく1本取り出すと口に咥えた。
カイトもそれ以上何を言うこともなく長椅子から立ち上がる。
何となく気まずい雰囲気になってしまったその場を蹴散らすように遠くから大きな声が聞こえてきた。
「アース様ぁぁぁぁぁぁああああああああああ-----------っ!!!!!!♡♡」

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