【Primaveraに降る雪】 6
「てめぇは行く先々で目立つ事してくれるよな」
「・・・ そんなつもりは無いんですけどね・・・」
朝トレから戻るとシンが宿にいないので、それならギルドだろうと向かうと初対面の男に喧嘩を売っているシンを発見。
何とか話をつけて、ラキを見て固まるシンを無理矢理路地裏に引っ張ってきたのだった。
「ギルドに吸血鬼討伐の依頼があったら真っ先に請けんのに・・・」
「ラ、ラララキはいつから私の後ろに・・・?」
「・・・ 知りたいか・・・」
「いえ・・・」
あの青い男から鋭い視線で睨まれて腹立たしいはずなのに、何だかそれが逆にゾクゾクして
わざと怒らせるような事をしてしまった とは今は言わない方がいいかもしれない。
睨まれるのに夢中になっていてラキの気配に気付かなかった自分が情けない。
「・・・ 昨日・・・ ・・・か」
「はい?」
シンの胸ぐらを掴んで何やら呟くラキ。
聞き取れなくて「昨日?」と繰り返して彼の顔を覗き込んだ。
「・・・ ・・・最後まで ヤらなかったからか?」
「・・・ はい??」
「あれじゃ 足りねーから 俺の代わりに あの金髪のガキ 引っ掛けようとしてたんだろ」
「・・・。 えっっ!?」
「お前はヤれれば誰でもいーんだろ? 変態だもんな!」
「え?えええ? ちょっ・・・ ラキ? 待って・・・」
何かを全力で勘違いしてませんか!?
どんどん鬼の形相に変わっていくラキの両肩を掴んで「待って下さい!!」と訴えてもラキの耳には届いてないようだ。
これって・・・ あれですか? 私がカイトを狙っていたと・・・?
それで邪魔なアースに喧嘩を売ったと・・・?
それをラキが怒っている・・・? なのだとしたら・・・
これって・・・ もしかして・・・
や、や、ややや妬いている!!!??? (きゅーーーーーーん♡)
「おいシン 聞いてんのか馬鹿コラ」
「・・・ ・・・はい♡ 焼きもちですね♡」
「はっ!? ちっげーよ!!! 誰にでも節操無く盛んなっつってんだよっ!!」
「・・・はい♡ ラキ 抱き締めていいですか? 今とっても抱き締めたいです・・・ いいですか?」
「てめっ・・・ いいわけねえだろ!! 鼻血拭けーっ!! こっちくんなボケ!カス!」
両肩を掴んでた手を背中に回して抱き締めようとするシンの腕を 力一杯払って後ずさるラキ。
「私にはラキだけですよ ラキだけが好きです」
「調子のいい事言ってんじゃねえよ 『貰う』とかほざいてたじゃねーか
そんなに溜まってんなら向こうに行っちまえ そんでついでにあいつらの仲間になりやがれ!」
・・・か、可愛い!! ラキ、貴方可愛すぎますっ!!
「ラキ・・・ そんなに私の事を好・・・」
「大っ嫌いだよ じゃあな! 俺達の契約もここで終わりにしようぜ。契約破棄だ。長い間ご苦労様。
うぜえ奴が居なくなってせいせいするよ。 さようなら ただのエロい吸血鬼さん」
「え・・・? ラキ・・・? あの・・・」
ゆっくり、はっきりとそう言うと、今までに見たことも無いくらい冷たい顔をして、横目でシンを見る。
そのまま一度も振り返らずに長い路地を抜けて去って行った。
その場に残されたシンは呆然とラキの背中を見詰めていたが、
姿が見えなくなると はぁ・・・ と溜め息をついて片手で顔を覆った。
「・・・ ぁ~・・・ これは・・・ 完全に私が悪いですね・・・ 本気で怒らせてしまいました」
ギルドの外壁に背中をついて状況をもう一度整理する。
今まで長い間ラキと旅をしてきて、怒られたり呆れられるなんてのはいつもの事でよくあったイベントだ。
でも今回のこれはマズイ感じがする。
少し特殊な人間を久し振りに、しかも一度に2人も見たせいか少々調子に乗りすぎてしまった。
勘違いとはいえラキを怒らせてしまった事には変わりない。
「・・・ん、綺麗に気配を消してますね。 謝りに行こうかと思ったのですが・・・」
今ラキがどこにいるか、もっと集中して探れば分かる。
しかし すぐに見つけてしまっては彼のプライドを傷付けてしまうので敢えて見つけない事にした。
「ラキから離れるなんて身を切られる思いですが、少し私も反省する必要がありますね・・・。」
ラキの冷たく凍った表情を思い出して呟いたシンの声は、少し寂しそうだった。
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「・・・ そんなつもりは無いんですけどね・・・」
朝トレから戻るとシンが宿にいないので、それならギルドだろうと向かうと初対面の男に喧嘩を売っているシンを発見。
何とか話をつけて、ラキを見て固まるシンを無理矢理路地裏に引っ張ってきたのだった。
「ギルドに吸血鬼討伐の依頼があったら真っ先に請けんのに・・・」
「ラ、ラララキはいつから私の後ろに・・・?」
「・・・ 知りたいか・・・」
「いえ・・・」
あの青い男から鋭い視線で睨まれて腹立たしいはずなのに、何だかそれが逆にゾクゾクして
わざと怒らせるような事をしてしまった とは今は言わない方がいいかもしれない。
睨まれるのに夢中になっていてラキの気配に気付かなかった自分が情けない。
「・・・ 昨日・・・ ・・・か」
「はい?」
シンの胸ぐらを掴んで何やら呟くラキ。
聞き取れなくて「昨日?」と繰り返して彼の顔を覗き込んだ。
「・・・ ・・・最後まで ヤらなかったからか?」
「・・・ はい??」
「あれじゃ 足りねーから 俺の代わりに あの金髪のガキ 引っ掛けようとしてたんだろ」
「・・・。 えっっ!?」
「お前はヤれれば誰でもいーんだろ? 変態だもんな!」
「え?えええ? ちょっ・・・ ラキ? 待って・・・」
何かを全力で勘違いしてませんか!?
どんどん鬼の形相に変わっていくラキの両肩を掴んで「待って下さい!!」と訴えてもラキの耳には届いてないようだ。
これって・・・ あれですか? 私がカイトを狙っていたと・・・?
それで邪魔なアースに喧嘩を売ったと・・・?
それをラキが怒っている・・・? なのだとしたら・・・
これって・・・ もしかして・・・
や、や、ややや妬いている!!!??? (きゅーーーーーーん♡)
「おいシン 聞いてんのか馬鹿コラ」
「・・・ ・・・はい♡ 焼きもちですね♡」
「はっ!? ちっげーよ!!! 誰にでも節操無く盛んなっつってんだよっ!!」
「・・・はい♡ ラキ 抱き締めていいですか? 今とっても抱き締めたいです・・・ いいですか?」
「てめっ・・・ いいわけねえだろ!! 鼻血拭けーっ!! こっちくんなボケ!カス!」
両肩を掴んでた手を背中に回して抱き締めようとするシンの腕を 力一杯払って後ずさるラキ。
「私にはラキだけですよ ラキだけが好きです」
「調子のいい事言ってんじゃねえよ 『貰う』とかほざいてたじゃねーか
そんなに溜まってんなら向こうに行っちまえ そんでついでにあいつらの仲間になりやがれ!」
・・・か、可愛い!! ラキ、貴方可愛すぎますっ!!
「ラキ・・・ そんなに私の事を好・・・」
「大っ嫌いだよ じゃあな! 俺達の契約もここで終わりにしようぜ。契約破棄だ。長い間ご苦労様。
うぜえ奴が居なくなってせいせいするよ。 さようなら ただのエロい吸血鬼さん」
「え・・・? ラキ・・・? あの・・・」
ゆっくり、はっきりとそう言うと、今までに見たことも無いくらい冷たい顔をして、横目でシンを見る。
そのまま一度も振り返らずに長い路地を抜けて去って行った。
その場に残されたシンは呆然とラキの背中を見詰めていたが、
姿が見えなくなると はぁ・・・ と溜め息をついて片手で顔を覆った。
「・・・ ぁ~・・・ これは・・・ 完全に私が悪いですね・・・ 本気で怒らせてしまいました」
ギルドの外壁に背中をついて状況をもう一度整理する。
今まで長い間ラキと旅をしてきて、怒られたり呆れられるなんてのはいつもの事でよくあったイベントだ。
でも今回のこれはマズイ感じがする。
少し特殊な人間を久し振りに、しかも一度に2人も見たせいか少々調子に乗りすぎてしまった。
勘違いとはいえラキを怒らせてしまった事には変わりない。
「・・・ん、綺麗に気配を消してますね。 謝りに行こうかと思ったのですが・・・」
今ラキがどこにいるか、もっと集中して探れば分かる。
しかし すぐに見つけてしまっては彼のプライドを傷付けてしまうので敢えて見つけない事にした。
「ラキから離れるなんて身を切られる思いですが、少し私も反省する必要がありますね・・・。」
ラキの冷たく凍った表情を思い出して呟いたシンの声は、少し寂しそうだった。

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