【Primaveraに降る雪】 4
「私もマスターと世界中を旅してまして、昨日の夜この街に着きました」
「マスター? マスターっていう名前?」
「クス・・・ いえ、ご主人様です 今は朝のトレーニング中でして・・・」
「ご主人様・・・ んーと・・・ ってことは、シンは下僕(いぬ)なのか」
「はい♡ 下僕(いぬ)です ククク・・・」
「そっかー 人間でもなくて、しかもイヌなのか~♪ おんもしれ~ 」
「面白いのはカイトですよ」と返して静かに微笑むシン。
カイトの髪と同じ色をした甘い飲み物を一口飲んで、「あ、そーだ」と呟くと、カイトがまた話を続ける。
「アースの傍にも『キッカ』っていう炎の精霊がくっついてるよ」
「それはそれは・・・また珍しいですね」
「でも、何かあんまりこっちの世界にはいられないらしくて、たまにしか見れないんだよなぁ」
「あぁ・・・ 精霊は我々の世界でその姿を留めるのに たくさんのエネルギーを消費しますからね。
特に炎は尚更ですよ。 元々形の無いものを具現化するのは大変です。
普段は彼らの世界に居てもらって、必要な時に呼んであげてください。」
「アースは煙草の火を点けるのに呼んでた」
「それでいいと思いますよ」
それだけの為にそのアースという人に仕えていると言う事は相当その主が大好きなんですねぇ と心の中で呟いて
アースと呼ばれる人がいるであろう一角をチラリと見た。
カウンター側からは書類やら資料やらの本棚の影に隠れてどこにその人が居るか分からない。
元々目立たないように配置してある一角なのだから、当然といえば当然なのだが。
「・・・ シンの瞳って・・・ 時々キラーンて光るよね 真っ黒眼鏡掛けててもよく見える」
「あー・・・ マスターを探す時に少し集中するもので・・・多分そのせいです。」
カイトと話している間もラキの気配を探っていたシン。
いつの間にかそれが癖になっていて、無意識に何度も彼を探している自分に気付かされる。
「細胞レベルでストーカーになってますね」とクスクス笑った。
そのシンの赤い瞳をまたじ・・・・と見詰めて、柔らかい表情でカイトが話す。
「マスターって、凄く大切な人なんだね。」
「はい?」
「キラーンて光るとき、 シン すっごく優しい顔してるよ♪」
「・・・・ ・・・はい それはもう♡ この熱い想いで身が焦がれる程に・・・ カイトにもいますか? 大切な人」
「うん いるよ♪」
頬を染めてニッコリと笑うカイトにシンもニッコリと笑顔で返す。
その後少し恥ずかしくなったのか、真っ赤になったままその場凌ぎにジュースをゴクゴク飲み干した。
「話を振った本人が一番照れてるじゃないですか ククク・・・」
「あっ、俺 そろそろ依頼 探さないとっ! シンもその為に来たんでしょ?」
そそくさと椅子から立ち上がろうとした瞬間、椅子の脚に絡まって体勢を崩してしまう。
「うひょぁあっ・・・!」と素っ頓狂な声を上げてよろけるカイトの背中を支えようと反射的に腕を伸ばすシン。
しかし一瞬早く誰かの太い腕がひょいとカイトを抱え上げた。
「お前・・・ 人が真面目に調べものしてるっつーのに何してんだよ・・・」
「あ、アース ありがと」
アースと呼ばれたこの男。
髪も瞳も、その上 身に着けている衣服も全て青い。
背はカイトの頭ひとつ半ほど高く 袖から覗くしっかりと筋肉のついた腕の様子から、がっしりとした体格だというのが服の上からでも窺える。
そしてカイト同様、額から頬にかけて不思議な文様が見えた。
この人がカイトが話していたアース・・・。
煙草を噴かして不機嫌そうに、腕の中にいるカイトを睨みつける。
突然現れた彼に驚いたのか、アースを下から見上げるカイトの顔はさっきより赤かった。
差し出した腕を引っ込めながら「なるほど・・・」と薄く笑うシン。
煙草を口の端に咥え直したアースが眉間に皺を寄せた。
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「マスター? マスターっていう名前?」
「クス・・・ いえ、ご主人様です 今は朝のトレーニング中でして・・・」
「ご主人様・・・ んーと・・・ ってことは、シンは下僕(いぬ)なのか」
「はい♡ 下僕(いぬ)です ククク・・・」
「そっかー 人間でもなくて、しかもイヌなのか~♪ おんもしれ~ 」
「面白いのはカイトですよ」と返して静かに微笑むシン。
カイトの髪と同じ色をした甘い飲み物を一口飲んで、「あ、そーだ」と呟くと、カイトがまた話を続ける。
「アースの傍にも『キッカ』っていう炎の精霊がくっついてるよ」
「それはそれは・・・また珍しいですね」
「でも、何かあんまりこっちの世界にはいられないらしくて、たまにしか見れないんだよなぁ」
「あぁ・・・ 精霊は我々の世界でその姿を留めるのに たくさんのエネルギーを消費しますからね。
特に炎は尚更ですよ。 元々形の無いものを具現化するのは大変です。
普段は彼らの世界に居てもらって、必要な時に呼んであげてください。」
「アースは煙草の火を点けるのに呼んでた」
「それでいいと思いますよ」
それだけの為にそのアースという人に仕えていると言う事は相当その主が大好きなんですねぇ と心の中で呟いて
アースと呼ばれる人がいるであろう一角をチラリと見た。
カウンター側からは書類やら資料やらの本棚の影に隠れてどこにその人が居るか分からない。
元々目立たないように配置してある一角なのだから、当然といえば当然なのだが。
「・・・ シンの瞳って・・・ 時々キラーンて光るよね 真っ黒眼鏡掛けててもよく見える」
「あー・・・ マスターを探す時に少し集中するもので・・・多分そのせいです。」
カイトと話している間もラキの気配を探っていたシン。
いつの間にかそれが癖になっていて、無意識に何度も彼を探している自分に気付かされる。
「細胞レベルでストーカーになってますね」とクスクス笑った。
そのシンの赤い瞳をまたじ・・・・と見詰めて、柔らかい表情でカイトが話す。
「マスターって、凄く大切な人なんだね。」
「はい?」
「キラーンて光るとき、 シン すっごく優しい顔してるよ♪」
「・・・・ ・・・はい それはもう♡ この熱い想いで身が焦がれる程に・・・ カイトにもいますか? 大切な人」
「うん いるよ♪」
頬を染めてニッコリと笑うカイトにシンもニッコリと笑顔で返す。
その後少し恥ずかしくなったのか、真っ赤になったままその場凌ぎにジュースをゴクゴク飲み干した。
「話を振った本人が一番照れてるじゃないですか ククク・・・」
「あっ、俺 そろそろ依頼 探さないとっ! シンもその為に来たんでしょ?」
そそくさと椅子から立ち上がろうとした瞬間、椅子の脚に絡まって体勢を崩してしまう。
「うひょぁあっ・・・!」と素っ頓狂な声を上げてよろけるカイトの背中を支えようと反射的に腕を伸ばすシン。
しかし一瞬早く誰かの太い腕がひょいとカイトを抱え上げた。
「お前・・・ 人が真面目に調べものしてるっつーのに何してんだよ・・・」
「あ、アース ありがと」
アースと呼ばれたこの男。
髪も瞳も、その上 身に着けている衣服も全て青い。
背はカイトの頭ひとつ半ほど高く 袖から覗くしっかりと筋肉のついた腕の様子から、がっしりとした体格だというのが服の上からでも窺える。
そしてカイト同様、額から頬にかけて不思議な文様が見えた。
この人がカイトが話していたアース・・・。
煙草を噴かして不機嫌そうに、腕の中にいるカイトを睨みつける。
突然現れた彼に驚いたのか、アースを下から見上げるカイトの顔はさっきより赤かった。
差し出した腕を引っ込めながら「なるほど・・・」と薄く笑うシン。
煙草を口の端に咥え直したアースが眉間に皺を寄せた。

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