【Bad Flower Garden】 じゅうご(ラスト)
「しかも思い出したくもねぇクソみてぇな過去を思い出させやがって!! お前らのせいだっ!!」
「「それは知らねえよっ!!!」」
「うっせえ!! もう我慢できねえ・・・ お前ら全員ぶっ飛ばしてやるぁあっ!」
「「ただの八つ当たりだ━━━━━━っ!!!」」
今日一日のストレスを爆発させて大声で叫ぶと、拳を握ったり開いたりしてから腕まくりをして大きく足を踏み出した。
「うわっ・・・ 来た! 怖えぇっ!」
「うろたえんな ただのガキだろ 押さえ込んで捕まえちまおうぜ」
「お前らも来いほらっ!!」
「おいおめぇ 鍛冶屋行って武器持って来いって!」
「怖えええぇ・・・っ!!」
「お前はもうどっか隠れてろっ!!」
「うるあ゛━━━━━━━━━━━━っ!! こんな街全滅しちまえぁっ!!」
アースを捕まえようと一斉に襲い掛かるおっさん達を物ともせず胸ぐらを掴んでは床に叩きつける。
テーブルも椅子もアースの前では障害物にさえならなかった。
騒ぎを聞きつけて、他の店に居たおっさん達も何事かと大勢集まってくる。
すでに先程までわいわいと盛り上がっていた酒場とは思えないほど店の中は大変な事になっていた。
次々と街中のおっさんがアースに掴み掛かるがすぐに引き剥がされて一人残らず吹っ飛ばされていくのだった。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「・・・・・ 何 してるのよ あんた・・・。」
「あ゛ぁ? ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
空はすっかり白んで向こうの山から太陽が顔を出そうとしていた。
足元には瓦礫の山。見渡す限り原型を留める建物は見当たらない。
あれだけ一面に咲いていた花畑もぐちゃぐちゃに踏み荒らされ全て根っこを上に向けていた。
瓦礫の影では大量のおっさんが呻き声を上げて這い出そうともがいている。
「・・・あ~ リアか ・・・ん?もう朝じゃねえか」
全壊した街の中で唯一ひとりだけ立っているアースに、呆れた表情をしたリアが不機嫌そうに尋ねた。
「何してるのか聞いてるのよ・・・」
「ムカついたからぶっ飛ばした」
「・・・カイトは?」
「ん・・・ あそこだ」
「・・・・ 何であそこ・・・」
指で指し示すその先を追って上を見上げると大きな木の枝の隙間からカイトの髪が見える。
張り巡らされたたくさんの枝にがっちりと支えられながら何事も無かったようにスヤスヤと眠るカイト。
リアはまた不機嫌そうに小さく溜め息をついて、次に少しほっとした顔を見せた。
「宿屋壊すのに邪魔だったから移動させたんだ」
「・・・・ 色々聞きたいこともあるけど まぁいいわ お陰でこの街に着けたもの」
「ぁあ? ・・・そういやおっさんもそんな事言ってたな 何だっつんだよ」
瓦礫の上に腰を下ろしたアースに続いてリアも倒れた柱に腰掛けた。
柱の横で寝ているおっさんの手を「ちょっとどいて」と足でずらしながら説明を始める。
「図書館で読んだのよ あの街の近くにおっさんの楽園があるらしいって。
場所も分かってるのに何故か辿り着けないらしいのよ。」
「ふーん」
「それで、その理由っていうのが、この街の花」
「このくっさい花か 腹立ったからさっき全部引っこ抜いてやったんだ」
「この街に咲いてる花や草はこの土の性質のせいでちょっと変わってて・・・
花粉や胞子が舞うと街全体を包んで外から見えなくさせるらしいわ。」
「便利なもんだな 花が枯れても次がすぐ咲くようにどんどん植えていくわけか。
そうやって街を隠して堂々と危ねぇもん育ててたのか」
「だからアースが暴れたお陰で花粉の飛散が止まってこの街が現れたから私がここに来れたのよ。」
「そうか・・・。 何で俺たちは普通に来れたんだろな・・・。」
そう呟いて2人で少し考えると同時に何かを思い付く。
そして同時に木の上を見上げた。
「こいつか・・・。」
「そうね・・・。」
何も知らずに眠るカイトを眺めながら また2人同時に溜め息をついた。
「いいのか悪いのか・・・ ホントこいつの目には毎回驚かされる。」
「・・・この街全体がギルドの捜索対象に登録されてるから、またあの街に戻って報告しないと。」
「おい リア お前煙草持ってねぇか 俺昨日から吸ってねぇんだよ」
「馬鹿ね そんなことだろうと思って買ってきたわよ これでしょ」
「おおお!!! やるじゃねぇか!! ちょっと違うけどそれでいいぜ!! くれくれ!!」
「あら、違うの? もっと強い煙草だったかしら それは悪いことをしたわ」
「いや、いい いい いいって!! 何でもいいからそれくれっ!!」
「いえ、良くないわ。 間違えて買って来たなんて私のプライドが許さないわ。」
「えっ・・・ いや、おい、リア・・・」
「今からあの街に戻るから今度こそちゃんと買って来るわね。私が戻るまでおっさん達を見張ってて。」
「いやいやいやいや・・・ それでいいって言ってんじゃねえか!」
「駄目よ。それじゃ私の気が済まないもの。」
「~~~~・・・!!! お前ワザとだろこらっ!! わざと間違えて買ってきやがったな!!」╬
「・・・・そんなわけ無いじゃないの」(にやにや・・・)
「腹立つ!! こいつマジで腹立つ!! いつか犯してやっからな!!」
「その時はあなたの大事な所をちょん切ってあげるわね」
「くっそムカツク!! おいカイト!! てめえいつまで寝てやがんだ!! いい加減起きろ!! 落とすぞっ!!」
「カイト おはよう 早く起きないと踏み付けるわよ♡」
「ん~~~・・・ 何? もう朝? 背中痛い・・・って え!? 何で俺木の上で寝てんの??」
「・・・ちょっと ・・・何で裸なのよ・・・」
「・・・汗かいたからじゃね?」
「~~~~・・・!! いつか刺してやるから・・・ 背後には気をつけなさい」╬
「うわっ!!! なんじゃこりゃー!! 街が全滅してるんですけどー!! どういうこっちゃー!! 怪獣かっ!?
魔物かっ!? おっちゃん達もどうしたんだ!? 何で俺気付かなかったんだろ?? うあ~ 見たかったな~・・・!!」
シーツに包まれたまま街の向こうまで背伸びして見渡すカイトを、アースとリアが下から見上げる。
「あれ?俺の服は? さっきの宿? へぶしっ!! ・・・あ! リアがいる!! おかえり~~♪」
「朝から煩いわねバカイト 早く下りて来なさい。ギルドに行くわよ。」
「俺が行くからお前らはここにいろよ 煙草買いに行くついでにギルドに寄って来る」
「嫌よ。こんなおっさんだらけの所にいたら私もおっさんになってしまうわ。」
「なるか!」
「あれ? ちょっと、俺、このまま行くの? 寒い・・・」
「大丈夫よ 犬は服を着ないものよ。 あなたなら風邪も引かずに辿り着けると信じてる。」
「そうかな。 靴は履いてもいいんでしょ?」
「どんなプレイだよ・・・。いいからお前らここに居ろ。おっさん達をその足で踏んでやれ。喜ぶから。」
「・・・・ しょうがないわね。何人奴隷にできるか勝負しましょ カイト」
「ええええっ!? 俺もやんの!?」
「これ邪魔だわ 飽きたからあんたにあげるわね」
「結局くれるんかい! この女・・・・! それじゃあ俺が行かなくてもいいじゃねえか・・・っ!
・・・でもこれでやっと煙草が吸える。 長ぇ1日だった・・・。」
これまでの苦労を噛み締めるように煙草の包装紙を破いてみっしり詰まった内の1本を取り出すと口に咥えた。
濡れたコートから移し変えておいたライターで火を点けると、大きく吸い込んで肺を煙で満たしてからゆっくりと吐き出した。
「・・・・・・ う、めえええぇぇぇぇ~~~!!! ♡」
「カイト 山羊がいるわ」
「ええっ!? アースって山羊だったの!?」
「怖えええぇぇ・・・ この街はもう終わった・・・ あいつら、魔王の手下か何かだろ絶対・・・・」
「「それは知らねえよっ!!!」」
「うっせえ!! もう我慢できねえ・・・ お前ら全員ぶっ飛ばしてやるぁあっ!」
「「ただの八つ当たりだ━━━━━━っ!!!」」
今日一日のストレスを爆発させて大声で叫ぶと、拳を握ったり開いたりしてから腕まくりをして大きく足を踏み出した。
「うわっ・・・ 来た! 怖えぇっ!」
「うろたえんな ただのガキだろ 押さえ込んで捕まえちまおうぜ」
「お前らも来いほらっ!!」
「おいおめぇ 鍛冶屋行って武器持って来いって!」
「怖えええぇ・・・っ!!」
「お前はもうどっか隠れてろっ!!」
「うるあ゛━━━━━━━━━━━━っ!! こんな街全滅しちまえぁっ!!」
アースを捕まえようと一斉に襲い掛かるおっさん達を物ともせず胸ぐらを掴んでは床に叩きつける。
テーブルも椅子もアースの前では障害物にさえならなかった。
騒ぎを聞きつけて、他の店に居たおっさん達も何事かと大勢集まってくる。
すでに先程までわいわいと盛り上がっていた酒場とは思えないほど店の中は大変な事になっていた。
次々と街中のおっさんがアースに掴み掛かるがすぐに引き剥がされて一人残らず吹っ飛ばされていくのだった。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「・・・・・ 何 してるのよ あんた・・・。」
「あ゛ぁ? ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
空はすっかり白んで向こうの山から太陽が顔を出そうとしていた。
足元には瓦礫の山。見渡す限り原型を留める建物は見当たらない。
あれだけ一面に咲いていた花畑もぐちゃぐちゃに踏み荒らされ全て根っこを上に向けていた。
瓦礫の影では大量のおっさんが呻き声を上げて這い出そうともがいている。
「・・・あ~ リアか ・・・ん?もう朝じゃねえか」
全壊した街の中で唯一ひとりだけ立っているアースに、呆れた表情をしたリアが不機嫌そうに尋ねた。
「何してるのか聞いてるのよ・・・」
「ムカついたからぶっ飛ばした」
「・・・カイトは?」
「ん・・・ あそこだ」
「・・・・ 何であそこ・・・」
指で指し示すその先を追って上を見上げると大きな木の枝の隙間からカイトの髪が見える。
張り巡らされたたくさんの枝にがっちりと支えられながら何事も無かったようにスヤスヤと眠るカイト。
リアはまた不機嫌そうに小さく溜め息をついて、次に少しほっとした顔を見せた。
「宿屋壊すのに邪魔だったから移動させたんだ」
「・・・・ 色々聞きたいこともあるけど まぁいいわ お陰でこの街に着けたもの」
「ぁあ? ・・・そういやおっさんもそんな事言ってたな 何だっつんだよ」
瓦礫の上に腰を下ろしたアースに続いてリアも倒れた柱に腰掛けた。
柱の横で寝ているおっさんの手を「ちょっとどいて」と足でずらしながら説明を始める。
「図書館で読んだのよ あの街の近くにおっさんの楽園があるらしいって。
場所も分かってるのに何故か辿り着けないらしいのよ。」
「ふーん」
「それで、その理由っていうのが、この街の花」
「このくっさい花か 腹立ったからさっき全部引っこ抜いてやったんだ」
「この街に咲いてる花や草はこの土の性質のせいでちょっと変わってて・・・
花粉や胞子が舞うと街全体を包んで外から見えなくさせるらしいわ。」
「便利なもんだな 花が枯れても次がすぐ咲くようにどんどん植えていくわけか。
そうやって街を隠して堂々と危ねぇもん育ててたのか」
「だからアースが暴れたお陰で花粉の飛散が止まってこの街が現れたから私がここに来れたのよ。」
「そうか・・・。 何で俺たちは普通に来れたんだろな・・・。」
そう呟いて2人で少し考えると同時に何かを思い付く。
そして同時に木の上を見上げた。
「こいつか・・・。」
「そうね・・・。」
何も知らずに眠るカイトを眺めながら また2人同時に溜め息をついた。
「いいのか悪いのか・・・ ホントこいつの目には毎回驚かされる。」
「・・・この街全体がギルドの捜索対象に登録されてるから、またあの街に戻って報告しないと。」
「おい リア お前煙草持ってねぇか 俺昨日から吸ってねぇんだよ」
「馬鹿ね そんなことだろうと思って買ってきたわよ これでしょ」
「おおお!!! やるじゃねぇか!! ちょっと違うけどそれでいいぜ!! くれくれ!!」
「あら、違うの? もっと強い煙草だったかしら それは悪いことをしたわ」
「いや、いい いい いいって!! 何でもいいからそれくれっ!!」
「いえ、良くないわ。 間違えて買って来たなんて私のプライドが許さないわ。」
「えっ・・・ いや、おい、リア・・・」
「今からあの街に戻るから今度こそちゃんと買って来るわね。私が戻るまでおっさん達を見張ってて。」
「いやいやいやいや・・・ それでいいって言ってんじゃねえか!」
「駄目よ。それじゃ私の気が済まないもの。」
「~~~~・・・!!! お前ワザとだろこらっ!! わざと間違えて買ってきやがったな!!」╬
「・・・・そんなわけ無いじゃないの」(にやにや・・・)
「腹立つ!! こいつマジで腹立つ!! いつか犯してやっからな!!」
「その時はあなたの大事な所をちょん切ってあげるわね」
「くっそムカツク!! おいカイト!! てめえいつまで寝てやがんだ!! いい加減起きろ!! 落とすぞっ!!」
「カイト おはよう 早く起きないと踏み付けるわよ♡」
「ん~~~・・・ 何? もう朝? 背中痛い・・・って え!? 何で俺木の上で寝てんの??」
「・・・ちょっと ・・・何で裸なのよ・・・」
「・・・汗かいたからじゃね?」
「~~~~・・・!! いつか刺してやるから・・・ 背後には気をつけなさい」╬
「うわっ!!! なんじゃこりゃー!! 街が全滅してるんですけどー!! どういうこっちゃー!! 怪獣かっ!?
魔物かっ!? おっちゃん達もどうしたんだ!? 何で俺気付かなかったんだろ?? うあ~ 見たかったな~・・・!!」
シーツに包まれたまま街の向こうまで背伸びして見渡すカイトを、アースとリアが下から見上げる。
「あれ?俺の服は? さっきの宿? へぶしっ!! ・・・あ! リアがいる!! おかえり~~♪」
「朝から煩いわねバカイト 早く下りて来なさい。ギルドに行くわよ。」
「俺が行くからお前らはここにいろよ 煙草買いに行くついでにギルドに寄って来る」
「嫌よ。こんなおっさんだらけの所にいたら私もおっさんになってしまうわ。」
「なるか!」
「あれ? ちょっと、俺、このまま行くの? 寒い・・・」
「大丈夫よ 犬は服を着ないものよ。 あなたなら風邪も引かずに辿り着けると信じてる。」
「そうかな。 靴は履いてもいいんでしょ?」
「どんなプレイだよ・・・。いいからお前らここに居ろ。おっさん達をその足で踏んでやれ。喜ぶから。」
「・・・・ しょうがないわね。何人奴隷にできるか勝負しましょ カイト」
「ええええっ!? 俺もやんの!?」
「これ邪魔だわ 飽きたからあんたにあげるわね」
「結局くれるんかい! この女・・・・! それじゃあ俺が行かなくてもいいじゃねえか・・・っ!
・・・でもこれでやっと煙草が吸える。 長ぇ1日だった・・・。」
これまでの苦労を噛み締めるように煙草の包装紙を破いてみっしり詰まった内の1本を取り出すと口に咥えた。
濡れたコートから移し変えておいたライターで火を点けると、大きく吸い込んで肺を煙で満たしてからゆっくりと吐き出した。
「・・・・・・ う、めえええぇぇぇぇ~~~!!! ♡」
「カイト 山羊がいるわ」
「ええっ!? アースって山羊だったの!?」
「怖えええぇぇ・・・ この街はもう終わった・・・ あいつら、魔王の手下か何かだろ絶対・・・・」
おわり