【Bad Flower Garden】 じゅうよん
「道にでも迷って偶然辿り着いたんだろ。 たまにはこんな事もあらぁな。」
「はっはっは! 念の為ハイノ草とサージ草入りのメシをたっぷり御馳走してやったから大丈夫だ。」
「あ~・・・ だからあのちっこいガキ・・・ あれ相ぉ~当ぉ~キてただろ 食わせ過ぎじゃねえか」
「いいんだよ。 もし完全にキマってたら俺らみたいに一生ここに住めばいい。はっはっはっは!」
「・・・・・ ハイノ・・・・・ サージ・・・ どっかで聞いた名だ・・・ 昔・・・ 確か・・・ 思い出せ思い出せ・・・」
「浮かれたまんま明日出てってくれさえすればいいんだ。すぐにここの事なんか忘れちまうさ。」
「宿の周りもハイノとサージばっか植えてあるからな。今頃ぐーすか寝てんだろ。」
「ってお前宿屋の親父が何でここにいるんだよ。ちゃんと見張ってろって。」
「いーじゃねーか。俺にも飲ませろよ。」
「・・・さてと・・・じゃあ そろそろ準備するか。持って来るから大人しく待ってろよ はっはっは・・・!」
「・・・ 待て・・・・ 待て、何か・・・ やばいヤツだった気がする・・・」
急いで過去の記憶を探っていく。近くて遠い記憶。数年前。ひとりで旅に出る前の記憶。
きつく目を閉じ片手で顔を覆うと 遡る記憶に意識を集中した。
そんなアースには全く気付くはずも無く、街のおっさんたちは何やら始める準備をしている。
程無く、店長が小さな試験管のような細くて小さいガラス管を抱えて奥から出て来た。
中に何か入っているようだが大きな手に握りこまれていてよく見えない。
「ひとり1本だぞー。 落とすなよ。」
「分かってるよ。これがいくらするか位、作ってる俺たちが一番よく知ってるわい。」
「早くくれよ! おせーよ。 ほれ早く・・・!」
「ちゃんと全員分あるから焦んなって。ほらよ。」
「そんじゃ、 一緒に・・・」
「・・・っ!!」
妙な胸騒ぎと思い出したくない過去とがカチリと合わさった次の瞬間、アースの青い瞳に黒い影が混じる。
いつものやる気の無い表情はすっかり消え、気が付くと目の前の酒場のドアを思い切り蹴破っていた。
所狭しと集まって騒いでいた男達が一斉にアースを見た。
あれだけ賑やかだった場が水を打ったように静まる。
砕けた扉の崩れ落ちる音だけが建物内に響き渡った。
「思い出した・・・。 俺、それ知ってるぜ・・・。」
「に、にににににににーちゃ、ん・・・っ! 何っ・・・!」
「よお おっさんだらけで楽しそうだな」
「おま・・・ こんな時間に何で」
「何で起きてるか? ・・・だよなぁ ハイノとサージ漬け、だもんなぁ」
「「・・・・っ」」
「ハイノは催眠、サージは暗示・・・ だったか」
「な!何でそんな事・・・っ! 普通の奴が知ってるはず無・・・っ」
「ていうかあいつ何で効いてないんだ?」
「俺の親父は医者で。俺の国は医療大国で。ガキの頃に家の書庫で一度読んだ事がある。
おかしいと思ったんだ。あいつが綺麗綺麗言ってアホみたいに遊んでたあの川、
俺には言う程綺麗だとは思えなかったからな・・・。
お前らが俺らに会う度に何気にそういう暗示をかけてたんだろ。
・・・あのアホにはばっちり効いてたみたいだな。」
口元に薄っすらと笑みを浮かべ、翳りを含んだ瞳で、驚きを隠せないおっさん達をぐるりと睨み付けた。
「にーちゃんの方がちっこいにーちゃんよりも大量に喰ってたのに何で・・・」
「ガキの頃からその辺の類のヤツは毎日身体に入れられてたからな。もう慣れて効かねぇ。その所為で気付かなかった。
・・・ハイノとサージは中毒になりにくいから使い易い。
やべぇのはお前らが持ってるそれだ。この2つを掛け合わせるととんでもなくぶっ飛んだもんになる。」
「だから言ったんだ・・・! こいつ怖えって! 目が全然笑ってねえよ! 街に入れなきゃ良かったんだ!」
「その薬は強力だぜ。この街に住んでる奴らは全員そいつにハマった薬物依存症軍団てとこか。
皆仲良くせっせと大量に栽培して裏に流してんだろ。」
「・・・・ぉぃぃぃ バレてるぜ・・・ どうする ・・・チクられたらこの街終わりだぞ・・・」
「馬っ鹿野郎 ガキひとりに潰されてたまるか」
「薬が効かねぇんなら捕まえて閉じ込めておこう 地下はまだ空いてるはずだ」
「よし・・・ おい、にーちゃん旅してるんだろう?どうだ旅の資金をいくらでも出してやるからこの事は忘れてくんねえかなあ はっはっは!」
「・・・・ それはいい。金はいくらあっても困らねえだろ?そうしなよ。・・・そしたらあのちっこいガキにも何もしねえぞ。」
「・・・・・・・・・・。」
「あのガキは大事な仲間なんだろ? もう旅ができなくなってもいいのかい?」
「・・・・・ふざけんな」
「うんうん じゃあすぐに用意しよう! こっちに・・・」
「お前らの悪事になんか興味無えよ 面倒くせえ・・・ 勝手にやれ」
奥歯でがりがりと音を立てて飴を砕く。
残った棒を噛み切ると床の上に吐き捨てた。
「は? じゃあ何をそんなに怒って・・・」
「あ・・・ 仲間のガキに催眠かけたこと怒ってんじゃねえか?」
「だ、大丈夫だってにーちゃん! 街を出ればちゃんと元に戻るって! 身体にも残らねえから心配ねえ!」
「うるせえ・・・ 何で・・・俺が・・・」
「は?? 何?」
「何で俺が! お前らのくだらねえ趣味の為に禁煙しなきゃならねえんだあああああああああ━━━━━━!!!!!!!」
「「そっち━━━━━━━━━━━━っ!!!???」」
「はっはっは! 念の為ハイノ草とサージ草入りのメシをたっぷり御馳走してやったから大丈夫だ。」
「あ~・・・ だからあのちっこいガキ・・・ あれ相ぉ~当ぉ~キてただろ 食わせ過ぎじゃねえか」
「いいんだよ。 もし完全にキマってたら俺らみたいに一生ここに住めばいい。はっはっはっは!」
「・・・・・ ハイノ・・・・・ サージ・・・ どっかで聞いた名だ・・・ 昔・・・ 確か・・・ 思い出せ思い出せ・・・」
「浮かれたまんま明日出てってくれさえすればいいんだ。すぐにここの事なんか忘れちまうさ。」
「宿の周りもハイノとサージばっか植えてあるからな。今頃ぐーすか寝てんだろ。」
「ってお前宿屋の親父が何でここにいるんだよ。ちゃんと見張ってろって。」
「いーじゃねーか。俺にも飲ませろよ。」
「・・・さてと・・・じゃあ そろそろ準備するか。持って来るから大人しく待ってろよ はっはっは・・・!」
「・・・ 待て・・・・ 待て、何か・・・ やばいヤツだった気がする・・・」
急いで過去の記憶を探っていく。近くて遠い記憶。数年前。ひとりで旅に出る前の記憶。
きつく目を閉じ片手で顔を覆うと 遡る記憶に意識を集中した。
そんなアースには全く気付くはずも無く、街のおっさんたちは何やら始める準備をしている。
程無く、店長が小さな試験管のような細くて小さいガラス管を抱えて奥から出て来た。
中に何か入っているようだが大きな手に握りこまれていてよく見えない。
「ひとり1本だぞー。 落とすなよ。」
「分かってるよ。これがいくらするか位、作ってる俺たちが一番よく知ってるわい。」
「早くくれよ! おせーよ。 ほれ早く・・・!」
「ちゃんと全員分あるから焦んなって。ほらよ。」
「そんじゃ、 一緒に・・・」
「・・・っ!!」
妙な胸騒ぎと思い出したくない過去とがカチリと合わさった次の瞬間、アースの青い瞳に黒い影が混じる。
いつものやる気の無い表情はすっかり消え、気が付くと目の前の酒場のドアを思い切り蹴破っていた。
所狭しと集まって騒いでいた男達が一斉にアースを見た。
あれだけ賑やかだった場が水を打ったように静まる。
砕けた扉の崩れ落ちる音だけが建物内に響き渡った。
「思い出した・・・。 俺、それ知ってるぜ・・・。」
「に、にににににににーちゃ、ん・・・っ! 何っ・・・!」
「よお おっさんだらけで楽しそうだな」
「おま・・・ こんな時間に何で」
「何で起きてるか? ・・・だよなぁ ハイノとサージ漬け、だもんなぁ」
「「・・・・っ」」
「ハイノは催眠、サージは暗示・・・ だったか」
「な!何でそんな事・・・っ! 普通の奴が知ってるはず無・・・っ」
「ていうかあいつ何で効いてないんだ?」
「俺の親父は医者で。俺の国は医療大国で。ガキの頃に家の書庫で一度読んだ事がある。
おかしいと思ったんだ。あいつが綺麗綺麗言ってアホみたいに遊んでたあの川、
俺には言う程綺麗だとは思えなかったからな・・・。
お前らが俺らに会う度に何気にそういう暗示をかけてたんだろ。
・・・あのアホにはばっちり効いてたみたいだな。」
口元に薄っすらと笑みを浮かべ、翳りを含んだ瞳で、驚きを隠せないおっさん達をぐるりと睨み付けた。
「にーちゃんの方がちっこいにーちゃんよりも大量に喰ってたのに何で・・・」
「ガキの頃からその辺の類のヤツは毎日身体に入れられてたからな。もう慣れて効かねぇ。その所為で気付かなかった。
・・・ハイノとサージは中毒になりにくいから使い易い。
やべぇのはお前らが持ってるそれだ。この2つを掛け合わせるととんでもなくぶっ飛んだもんになる。」
「だから言ったんだ・・・! こいつ怖えって! 目が全然笑ってねえよ! 街に入れなきゃ良かったんだ!」
「その薬は強力だぜ。この街に住んでる奴らは全員そいつにハマった薬物依存症軍団てとこか。
皆仲良くせっせと大量に栽培して裏に流してんだろ。」
「・・・・ぉぃぃぃ バレてるぜ・・・ どうする ・・・チクられたらこの街終わりだぞ・・・」
「馬っ鹿野郎 ガキひとりに潰されてたまるか」
「薬が効かねぇんなら捕まえて閉じ込めておこう 地下はまだ空いてるはずだ」
「よし・・・ おい、にーちゃん旅してるんだろう?どうだ旅の資金をいくらでも出してやるからこの事は忘れてくんねえかなあ はっはっは!」
「・・・・ それはいい。金はいくらあっても困らねえだろ?そうしなよ。・・・そしたらあのちっこいガキにも何もしねえぞ。」
「・・・・・・・・・・。」
「あのガキは大事な仲間なんだろ? もう旅ができなくなってもいいのかい?」
「・・・・・ふざけんな」
「うんうん じゃあすぐに用意しよう! こっちに・・・」
「お前らの悪事になんか興味無えよ 面倒くせえ・・・ 勝手にやれ」
奥歯でがりがりと音を立てて飴を砕く。
残った棒を噛み切ると床の上に吐き捨てた。
「は? じゃあ何をそんなに怒って・・・」
「あ・・・ 仲間のガキに催眠かけたこと怒ってんじゃねえか?」
「だ、大丈夫だってにーちゃん! 街を出ればちゃんと元に戻るって! 身体にも残らねえから心配ねえ!」
「うるせえ・・・ 何で・・・俺が・・・」
「は?? 何?」
「何で俺が! お前らのくだらねえ趣味の為に禁煙しなきゃならねえんだあああああああああ━━━━━━!!!!!!!」
「「そっち━━━━━━━━━━━━っ!!!???」」