【Bad Flower Garden】 じゅうに
「・・・やっと寝たな」
裸で気持ちよさそうに眠るカイトを、ベッドに腰掛けたアースが見下ろしている。
寝息と共に揺れる柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でると静かに立ち上がって部屋を出ていった。
「あんだけヤったんだ。朝まで起きねぇだろ。」
いつの間にか日付が変わり時刻はすでに深夜2時を回っていた。
「もーう無理だ。ヤリ終わった後の一服がしてぇ・・・。朝まで待ってたら死ぬ。
今のうちあの街戻って あいつが起きる前に帰ってくりゃあ問題ねぇだろ。」
以前、初めて逢った時、カイトは旅に出始めたばかりで、この世界の現状を何も知らなかった。
いつの頃からか 夜は人をも襲う凶暴な魔物が活発に動き回る時間になり、大抵の人間は朝になるまで外に出ないというのがこの世界の常識になっている。
そんな事も知らない田舎者のカイトは魔物と聞いただけで見てみたいと目を輝かせた。
そこで人一倍好奇心旺盛なカイトを大人しくさせる為、少々大袈裟に尾ひれ所か背ビレも胸ビレも付けて
「夜は外に出るな!」 と脅した事があった。
「まぁ、 危険っつっても この街の気の抜けた外壁からして、この辺りはそんなに危ねぇ奴はいねぇみたいだけどな。」
街で雇う護衛や出立ての冒険者よりは多少腕の立つアースは、ひとりで旅をしていた頃からちょくちょくこうやって外に出てはギルドの討伐対象に登録されている魔物を狩ったり捕まえたりして、そこで得た報酬を旅の資金に充てていた。
カイトに出逢ってからも何度か夜中に抜け出すことはあったが、いずれも眠っている間に静かにこなしてくるのでカイトはその事を知らないでいる。
外に出るなと言った本人が、ひょうひょうと夜道を平気で歩いているなんて事が知られたら絶対に自分も付いて行くと言うに違いない。
万が一があってもカイトを守る自信はあるが、それよりも自分の仕事を余り見せたくないという思いもどこかにあった。
「ん~~~~・・・・ っはぁ ・・・くさっ」
外に出て思い切り伸びをしながら深呼吸をする。
街中に咲く花の甘い香りがアースを包んだ。
「やっぱ慣れねぇなこの匂いは・・・ 頭がグラグラする。」
香りを誤魔化すようにパーカのポケットから飴を取り出し口に放り込む。
「お、チェリーなんとか味だ バカイトバカイト」
街の外に続く舗装された幅の広い道を歩いていくと建物から明かりが漏れているのに気付いた。
「ん? まだ誰か起きてんのか・・・ あぁ、さっきのメシ屋か」
通り過ぎ様に窓から中がチラリと見える。
昼に2人の前に料理を運んできて少し話をした、人のいいあの大男が大声で笑っている。
夜中だというのにたくさんの客が集まっていて、宴会をしているようだ。
楽しそうな笑い声が絶え間無く外に漏れ、相当盛り上がっている。
「あのおっさん すげぇ体力だな」
「はっはっは! まだあるぞー! 飲め飲めー! 前祝いだぁー!! はっはっはっは!」
「いや~頑張った! これでまた楽しく暮らせるじゃねぇか!」
「俺んとこの今回の収穫率は前年比150%だぜ! 天候に恵まれたからな! 興奮して鼻血出らぁ!」
「出てるぜ おやっさん 上からも下からも」
「おっと浮かれて飲み過ぎた」
「「ぎゃっはっはっは・・・!!」」
「綺麗な花とおっさんは反比例すんのか・・・。 むっさい宴会だ」
裸で気持ちよさそうに眠るカイトを、ベッドに腰掛けたアースが見下ろしている。
寝息と共に揺れる柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でると静かに立ち上がって部屋を出ていった。
「あんだけヤったんだ。朝まで起きねぇだろ。」
いつの間にか日付が変わり時刻はすでに深夜2時を回っていた。
「もーう無理だ。ヤリ終わった後の一服がしてぇ・・・。朝まで待ってたら死ぬ。
今のうちあの街戻って あいつが起きる前に帰ってくりゃあ問題ねぇだろ。」
以前、初めて逢った時、カイトは旅に出始めたばかりで、この世界の現状を何も知らなかった。
いつの頃からか 夜は人をも襲う凶暴な魔物が活発に動き回る時間になり、大抵の人間は朝になるまで外に出ないというのがこの世界の常識になっている。
そんな事も知らない田舎者のカイトは魔物と聞いただけで見てみたいと目を輝かせた。
そこで人一倍好奇心旺盛なカイトを大人しくさせる為、少々大袈裟に尾ひれ所か背ビレも胸ビレも付けて
「夜は外に出るな!」 と脅した事があった。
「まぁ、 危険っつっても この街の気の抜けた外壁からして、この辺りはそんなに危ねぇ奴はいねぇみたいだけどな。」
街で雇う護衛や出立ての冒険者よりは多少腕の立つアースは、ひとりで旅をしていた頃からちょくちょくこうやって外に出てはギルドの討伐対象に登録されている魔物を狩ったり捕まえたりして、そこで得た報酬を旅の資金に充てていた。
カイトに出逢ってからも何度か夜中に抜け出すことはあったが、いずれも眠っている間に静かにこなしてくるのでカイトはその事を知らないでいる。
外に出るなと言った本人が、ひょうひょうと夜道を平気で歩いているなんて事が知られたら絶対に自分も付いて行くと言うに違いない。
万が一があってもカイトを守る自信はあるが、それよりも自分の仕事を余り見せたくないという思いもどこかにあった。
「ん~~~~・・・・ っはぁ ・・・くさっ」
外に出て思い切り伸びをしながら深呼吸をする。
街中に咲く花の甘い香りがアースを包んだ。
「やっぱ慣れねぇなこの匂いは・・・ 頭がグラグラする。」
香りを誤魔化すようにパーカのポケットから飴を取り出し口に放り込む。
「お、チェリーなんとか味だ バカイトバカイト」
街の外に続く舗装された幅の広い道を歩いていくと建物から明かりが漏れているのに気付いた。
「ん? まだ誰か起きてんのか・・・ あぁ、さっきのメシ屋か」
通り過ぎ様に窓から中がチラリと見える。
昼に2人の前に料理を運んできて少し話をした、人のいいあの大男が大声で笑っている。
夜中だというのにたくさんの客が集まっていて、宴会をしているようだ。
楽しそうな笑い声が絶え間無く外に漏れ、相当盛り上がっている。
「あのおっさん すげぇ体力だな」
「はっはっは! まだあるぞー! 飲め飲めー! 前祝いだぁー!! はっはっはっは!」
「いや~頑張った! これでまた楽しく暮らせるじゃねぇか!」
「俺んとこの今回の収穫率は前年比150%だぜ! 天候に恵まれたからな! 興奮して鼻血出らぁ!」
「出てるぜ おやっさん 上からも下からも」
「おっと浮かれて飲み過ぎた」
「「ぎゃっはっはっは・・・!!」」
「綺麗な花とおっさんは反比例すんのか・・・。 むっさい宴会だ」