【シン×ラキ】月と瞳と血と絆 2
暗いままの部屋に目が慣れて、月明りだけで部屋の中が十分窺い知れるようになった頃、改めてシンの表情を見たラキがむぅ・・・と眉間に皺を寄せて不機嫌になり、ここ最近ずっと溜めていた不満をここぞとばかりに吐き出した。
「・・・お前さ、いい加減にしろよ」
「はい?」
「お前吸血鬼だよな、そうだろ?違うか?」
「そうですね」
「そうですねじゃねぇよ、お前の身体冷てぇんだよ」
「あ・・・、これは失礼しました。せっかく温まったラキの身体が冷えてしまいますね」
「そうじゃねぇって、お前陽射しに弱ぇんだろ?」
「ええ、貴方が御存知の通りですよ」
「存知ねぇよ、存知ねぇけど陽を浴び続けると体力削られたりすんだろ?今日なんか一日外で仕事だったし・・・」
「そうですね」
「そうですねじゃねぇっての、だったら何で一回も俺に血をくれって言わねんだよ!」
「! ・・・ぁぁ、そういう事ですか」
「1か月だぞ、何のつもりだ、いつも以上に顔色悪くて気持ち悪ぃんだよ、何だ?一人我慢比べか?また新しい一人遊びか?」
「ふふ・・・、当たりですよ」
一度話し出したらずっと考えてた事が溢れ出して止まらなくなり、次々と疑問をぶつけてくる。
冷えるといけないと思い身体を離そうと腕を緩めると、ラキが自由になったその両手でシンの胸倉を掴んで引き寄せた。
口調は厳しいのにラキの表情はどこか不安気で、いくつかの感情が織り交ざっている。
月に背を向けているから自分の表情は暗くて分からないだろうとラキは思っているのかもしれないけれど、吸血鬼のシンにはどんなに暗闇でもラキの姿がはっきりとその瞳に映す事ができるので、そんな露な顔をする彼が愛しくてつい顔が綻んでしまう。
それを見たラキが、またいつものようにふざけていると思ったのか更に不機嫌になってシンを睨んだ。
「誤魔化すな」
「いえ、間違ってませんよ。でも、そうですね、その所為で気味の悪い思いをさせてしまいましたね」
「・・・・・・」
「・・・ここ最近、急に寒くなりましたね。先日は突然の雪に驚きました。急激な温度差でラキ、最近体調を崩し気味ではないですか?」
「・・・・・平気だよ」
「人間は自然の変化に少しずつ身体を慣らして季節を越えて生きるものです。でもここ数日は急すぎましたね、辛かったでしょう、よく頑張りました。この街に温泉があって良かったですね」
流石ストーカー、口でも仕草でも表さなかったのにバレていた。
確かにラキは最近どこか具合が悪かったが、多少の違和感は感じつつも特に症状が出る事も無く本当に些細な変化でしかなかったのに、シンにはそれさえもお見通しだった。
「これからの季節、特に体力が必要ですから 元気に乗り越える為には沢山食べて沢山眠るのが一番です」
「当たり前だろ」
「ええ、ですから 私などの為に大事な血を使って欲しくなかったんですよ」
「は!?」
「前に言ったでしょう、私は強いのでそう簡単には死にませんよ♪ ラキが傍に居てくれれば平気」
「・・・・・・」
「・・・ラキ?」
「・・・・今更何言ってんだ、血が足りなくて余計な事ばっか考えちまってんじゃねぇか、こんなん今に始まった事じゃねぇだろ、今までだって急に寒くなったり暑くなったりした事あっただろうが」
「・・・・・・」
「お前が、血が必要な時に俺の具合が悪くなった所為か?それで我慢しちまったんだろ」
「いいえ、本当に平気・・・―――」
「平気って面じゃねぇだろが、変な気遣ってんじゃねぇよ、俺は疲れたら飯食って寝れば元に戻るけどお前は違うだろ!俺の血じゃねぇと駄目なんだろ? こんな真っ白い手 しやがって・・・」
薄く笑って苦笑するシンに更に苛立ちが募り語気が強くなってしまう。
自分の体調の変化にシンが気付いてくれていたのが嬉しい
自分を大切に想ってくれているのが嬉しい
・・・けど、同時に同じくらい悔しかった。
いつも冷たいシンの手が今はもっと冷たくて、まるで死人のようだ・・・―――
昔の、独りぼっちになったあの頃を思い出しそうになって、ラキは頭をぶんぶんと振ってシンを見上げた。
つづく
月と瞳と血と絆 1 ◆ 月と瞳と血と絆 3(1日頃)

◆追記でコメントお返事
◆15/02/20 y様
いつもすぐにコメントを頂くのにお返事が遅くなり申し訳ありません!
ここここんばんは!また遊びに来て頂いて嬉しいです♪
紳士もラキも不器用なのかもしれませんね
話してみなければ分からない事も多いものです。
おお、ラキが頭を振るのが可愛いかったですかっありがとうございます♪♪
いつも遅い時間までお疲れ様です。こちらこそ大変癒されております。
良い夢が見れますように☆
◆15/02/22 c様
お返事が遅くなり申し訳ありません!
沢山語って頂いて、しかも深い所まで感じ取って頂いて感動して涙が出そうになりました。
そうですよね、お互い大事に想うならすぐに気持ちを伝えたら良かったのよね。
変に意地を張るから余計苦しいんだと思います。
当事者と第三者でこんなにも見方が変わるものですね☆
そうなんです、紳士吸血鬼なんです(笑)
あんまり書いてこなかったけど血、飲むんです。設定が吸血鬼だから。
やっかいなキャラでやっかいな制約があるからいちいちやっかいですね。
ああん、何て素敵なお言葉。貼り出したいです。
ただの変態のはずの紳士をこんなにも分かって頂けるなんて嬉しくて胸が苦しくなっちゃいます。
ラキの捻くれた気持ちもちゃあんと受け止めて頂いてて安心しました。
本当に読んで頂いてありがとうございます。
そしてアレとかコレとかもありがとうございます。大切に保管させて頂きます♡
いつもすぐにコメントを頂くのにお返事が遅くなり申し訳ありません!
ここここんばんは!また遊びに来て頂いて嬉しいです♪
紳士もラキも不器用なのかもしれませんね
話してみなければ分からない事も多いものです。
おお、ラキが頭を振るのが可愛いかったですかっありがとうございます♪♪
いつも遅い時間までお疲れ様です。こちらこそ大変癒されております。
良い夢が見れますように☆
◆15/02/22 c様
お返事が遅くなり申し訳ありません!
沢山語って頂いて、しかも深い所まで感じ取って頂いて感動して涙が出そうになりました。
そうですよね、お互い大事に想うならすぐに気持ちを伝えたら良かったのよね。
変に意地を張るから余計苦しいんだと思います。
当事者と第三者でこんなにも見方が変わるものですね☆
そうなんです、紳士吸血鬼なんです(笑)
あんまり書いてこなかったけど血、飲むんです。設定が吸血鬼だから。
やっかいなキャラでやっかいな制約があるからいちいちやっかいですね。
ああん、何て素敵なお言葉。貼り出したいです。
ただの変態のはずの紳士をこんなにも分かって頂けるなんて嬉しくて胸が苦しくなっちゃいます。
ラキの捻くれた気持ちもちゃあんと受け止めて頂いてて安心しました。
本当に読んで頂いてありがとうございます。
そしてアレとかコレとかもありがとうございます。大切に保管させて頂きます♡
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