【トイカ】20
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「お前 何か知ってんのか」
「・・・・ ・・・地獄耳だな」
「偶然ですよ」
手で口元を隠していたとはいえ 思わず漏れたその一言をシンは聞き逃さなかったらしい。
もう少しで追い返せたのに・・・と舌打ちをして占い師はシンを睨み付けた。
そして大きく溜め息を吐いて自分で用意した紅茶に口を付けながら「知ってると言えば知ってる」とようやく白状した。
「こっちの業界ではちょっとだけ有名な話だからな」
「という事は 以前にもこのような相談を・・・?」
「毎年ではないが、例の大会が終わる頃になるとたまにそんな話を聞く時がある。大会優勝者の様子がおかしいから調べてくれとな」
「どういう事だ」
「あの大会はたまに呪われた賞品を出してる」
「はあ?これが最初じゃねぇのかよ 何だそりゃわざとか」
「僕が知るか 意図はともかくそれだけは事実だ」
そんなおかしな話があるか
何で自分たちが催してる大会で、優勝した奴にわざわざ呪われてるもん渡すんだよ
ちゃんとしたやつを用意する金が無ぇとかか?
それとも今回はたまたま呪いに気付いただけで 今まで呪われてるのを知らずに出してたのか?
益々訳分からん
「これまでもお前達みたいに呪いを解こうとあちこちたらい回しにされてそれでも解き方が分からず、結局はせっかく手に入れたそれを手放すしか解呪の方法が無かったって奴らを沢山見てきた。あれに触れてなければじきに元に戻る事だけは分かってるからな」
「ふむ・・・あんなに大きな大会の後でそんな事が・・・ 知りませんでしたね・・・」
「噂のひとつも出てもおかしくねぇはずだ」
昔から開催されてるでかい大会なんだからたまにとは言えこんな事があれば流石に街の奴らにだって知られるだろ。
・・・にしては違和感を感じなかったな
それ所か物凄い人気だった気がする
・・・・・
ああややこしい・・・、何かぶん殴りてぇな・・・
「おい、てんぷらーのとこまた行くの面倒だから代わりにお前殴らせろ」
「嫌です、血が勿体無いので。そしてテンダラーです」
「お前達も大方あの珍しい弓に釣られて大会に参加したんだろう。災難だったね、他にもあれ程とはいかないまでも結構いい弓がこの街の武器屋に売ってるから、そこで下取りしてもらえばいい」
これまでに相談に来た奴らに言ってきたであろう同じ台詞を俺らにも言い聞かせて、こちらの反応をじっと観察する占い師に「街の人達はこの事を知らないのか」とシンが訊ねた。
「あの大会を支援してるスポンサーが大層な金持ちでね、この街の大半を取り纏める大地主様でもある。人が競い合う様を見るのが大好きで、年に一度のこの日を何よりも楽しみにしてるんだ。毎年この大会が開かれる度にその月の家賃や土地代をタダにしてくれて、無事に最後まで終わったら楽しめた礼として次の月も免除してくれる太っ腹な人なんだ」
「それはとても素晴らしい地主様ですね」
「どんだけ見てぇんだよ大会」
「そう だからその大好きな大会が見られるなら その後に起きた些細な問題なんて得意の金の力で世間に知られる前に簡単に揉み消せるんだよ」
「ふむ・・・ 住民の方も2か月分の家賃が免除になるのでしたら何としても大会を成功させたいでしょうねぇ」
「ふぅん」
誰が優勝しようが賞品が何だろうが、それを受け取った奴が呪われようが自分達が得すればどうでもいいって事か
「賞品は勿論毎年変わる。・・・と言っても数年すれば、どこかで回収されて戻ってきたそれが再利用されてまた賞品になる事もある」
「・・・とんずらーって奴、やっぱ毟ってくれば良かったな」
「テンダラーです」
「同じものを名前を変えて出しても意外と気付かれないで誤魔化せるんだ。欲に釣られた奴らほど頭の中までご立派なのがよく分かる」
「それ俺らも入ってるか?」
「ありがとうございます」
・・・・で?
結局どうすればいいんだっけ
色々話は聞けたけども、肝心な部分が何も分からないままで一つも解決して無くね?
一回テンダラーって奴をぶっ飛ばせばいいかとも思ったが、よく考えたらあいつをぶっ飛ばしても呪いは解けねぇんだよな
誰が呪いをかけたのかあいつも知らねぇって言ってたし、それもまぁ嘘かもしんねぇけど、もし嘘でも地主が楽しみにしてる大会で呪われたもん賞品にして足を引っ張ってもあいつらにとって何のメリットも無い気がするが・・・
この街の裏事情なんて毛ほども興味無ぇし、この先また誰かが被害を受けてどれだけ大変な目に合おうが 本気でどうでもいい
誰が悪いだとか何の為にだとか そんな事よりも俺はあいつの呪いを解きたいだけなんだよ
どうすれば全部元に戻って 武器も手に入って またのんびり適当に旅ができるようになる?
・・・・・・
・・・こいつの言う通りあの弓を手放すしか方法が無ぇのか
「っ・・・、ああ・・・、本当にあの花の効果は素晴らしい・・・ 流石昔から使用されていただけありますね・・・」
「あ?」
いきなり何言い出してんだこいつ いよいよ陽にやられたか
突拍子もない言葉につい振り返ると、子供が何か楽しい物を見付けた時にする様な煌いた顔面のシンが居た。
またこいつ自分だけ何か分かったのか
ストーカーがターゲットを狙うみたいに じっと一点を見詰めているきもい。
「あの時頂いたあの黒いお花の魔除け効果がまだ体の中に残っていたようです。今ようやく全部抜け切ったみたいでして、スッキリしてつい声に出てしまいました」
「あっそ」
「・・・・っ お前・・・」
魔除けとやらの効果が切れてめでたく真の変態に返り咲いた自称吸血鬼のヘン。
見た目は全然全く変わってないが、その完全体を見た瞬間占い師の目が見開かれたのに気付いて、
俺も釣られて目が大きくなっていた。
◆追記でコメントお返事
「お前 何か知ってんのか」
「・・・・ ・・・地獄耳だな」
「偶然ですよ」
手で口元を隠していたとはいえ 思わず漏れたその一言をシンは聞き逃さなかったらしい。
もう少しで追い返せたのに・・・と舌打ちをして占い師はシンを睨み付けた。
そして大きく溜め息を吐いて自分で用意した紅茶に口を付けながら「知ってると言えば知ってる」とようやく白状した。
「こっちの業界ではちょっとだけ有名な話だからな」
「という事は 以前にもこのような相談を・・・?」
「毎年ではないが、例の大会が終わる頃になるとたまにそんな話を聞く時がある。大会優勝者の様子がおかしいから調べてくれとな」
「どういう事だ」
「あの大会はたまに呪われた賞品を出してる」
「はあ?これが最初じゃねぇのかよ 何だそりゃわざとか」
「僕が知るか 意図はともかくそれだけは事実だ」
そんなおかしな話があるか
何で自分たちが催してる大会で、優勝した奴にわざわざ呪われてるもん渡すんだよ
ちゃんとしたやつを用意する金が無ぇとかか?
それとも今回はたまたま呪いに気付いただけで 今まで呪われてるのを知らずに出してたのか?
益々訳分からん
「これまでもお前達みたいに呪いを解こうとあちこちたらい回しにされてそれでも解き方が分からず、結局はせっかく手に入れたそれを手放すしか解呪の方法が無かったって奴らを沢山見てきた。あれに触れてなければじきに元に戻る事だけは分かってるからな」
「ふむ・・・あんなに大きな大会の後でそんな事が・・・ 知りませんでしたね・・・」
「噂のひとつも出てもおかしくねぇはずだ」
昔から開催されてるでかい大会なんだからたまにとは言えこんな事があれば流石に街の奴らにだって知られるだろ。
・・・にしては違和感を感じなかったな
それ所か物凄い人気だった気がする
・・・・・
ああややこしい・・・、何かぶん殴りてぇな・・・
「おい、てんぷらーのとこまた行くの面倒だから代わりにお前殴らせろ」
「嫌です、血が勿体無いので。そしてテンダラーです」
「お前達も大方あの珍しい弓に釣られて大会に参加したんだろう。災難だったね、他にもあれ程とはいかないまでも結構いい弓がこの街の武器屋に売ってるから、そこで下取りしてもらえばいい」
これまでに相談に来た奴らに言ってきたであろう同じ台詞を俺らにも言い聞かせて、こちらの反応をじっと観察する占い師に「街の人達はこの事を知らないのか」とシンが訊ねた。
「あの大会を支援してるスポンサーが大層な金持ちでね、この街の大半を取り纏める大地主様でもある。人が競い合う様を見るのが大好きで、年に一度のこの日を何よりも楽しみにしてるんだ。毎年この大会が開かれる度にその月の家賃や土地代をタダにしてくれて、無事に最後まで終わったら楽しめた礼として次の月も免除してくれる太っ腹な人なんだ」
「それはとても素晴らしい地主様ですね」
「どんだけ見てぇんだよ大会」
「そう だからその大好きな大会が見られるなら その後に起きた些細な問題なんて得意の金の力で世間に知られる前に簡単に揉み消せるんだよ」
「ふむ・・・ 住民の方も2か月分の家賃が免除になるのでしたら何としても大会を成功させたいでしょうねぇ」
「ふぅん」
誰が優勝しようが賞品が何だろうが、それを受け取った奴が呪われようが自分達が得すればどうでもいいって事か
「賞品は勿論毎年変わる。・・・と言っても数年すれば、どこかで回収されて戻ってきたそれが再利用されてまた賞品になる事もある」
「・・・とんずらーって奴、やっぱ毟ってくれば良かったな」
「テンダラーです」
「同じものを名前を変えて出しても意外と気付かれないで誤魔化せるんだ。欲に釣られた奴らほど頭の中までご立派なのがよく分かる」
「それ俺らも入ってるか?」
「ありがとうございます」
・・・・で?
結局どうすればいいんだっけ
色々話は聞けたけども、肝心な部分が何も分からないままで一つも解決して無くね?
一回テンダラーって奴をぶっ飛ばせばいいかとも思ったが、よく考えたらあいつをぶっ飛ばしても呪いは解けねぇんだよな
誰が呪いをかけたのかあいつも知らねぇって言ってたし、それもまぁ嘘かもしんねぇけど、もし嘘でも地主が楽しみにしてる大会で呪われたもん賞品にして足を引っ張ってもあいつらにとって何のメリットも無い気がするが・・・
この街の裏事情なんて毛ほども興味無ぇし、この先また誰かが被害を受けてどれだけ大変な目に合おうが 本気でどうでもいい
誰が悪いだとか何の為にだとか そんな事よりも俺はあいつの呪いを解きたいだけなんだよ
どうすれば全部元に戻って 武器も手に入って またのんびり適当に旅ができるようになる?
・・・・・・
・・・こいつの言う通りあの弓を手放すしか方法が無ぇのか
「っ・・・、ああ・・・、本当にあの花の効果は素晴らしい・・・ 流石昔から使用されていただけありますね・・・」
「あ?」
いきなり何言い出してんだこいつ いよいよ陽にやられたか
突拍子もない言葉につい振り返ると、子供が何か楽しい物を見付けた時にする様な煌いた顔面のシンが居た。
またこいつ自分だけ何か分かったのか
ストーカーがターゲットを狙うみたいに じっと一点を見詰めているきもい。
「あの時頂いたあの黒いお花の魔除け効果がまだ体の中に残っていたようです。今ようやく全部抜け切ったみたいでして、スッキリしてつい声に出てしまいました」
「あっそ」
「・・・・っ お前・・・」
魔除けとやらの効果が切れてめでたく真の変態に返り咲いた自称吸血鬼のヘン。
見た目は全然全く変わってないが、その完全体を見た瞬間占い師の目が見開かれたのに気付いて、
俺も釣られて目が大きくなっていた。
◆追記でコメントお返事
◆16/06/16 y様
いつも嬉しいコメントありがとうございます!
凹みかけている頃にここぞというタイミングで優しい言葉をくださっていつも本当に癒されております。
おっさん追い出しダンスを踊って頂いたお陰で、喉に居座っていたおっさんがだんだん小さくなってきました。
年取る毎に風邪の治りも遅くなってきて、体力もすっかり無くなって、益々二次元に住みたいと思う今日この頃
お話も読んでくださってありがとうございます。
頭の中で妄想できました?えへへ~ 嬉しいです☆
続きも読んで頂けるとまたまた嬉しいです クネクネ
いえいえこちらこそのろのろ更新なのにいつも楽しみしてくださって、楽しくて元気なコメントを残してくださって、毎回本当に救われております。
またきてくださーい!!
いつも嬉しいコメントありがとうございます!
凹みかけている頃にここぞというタイミングで優しい言葉をくださっていつも本当に癒されております。
おっさん追い出しダンスを踊って頂いたお陰で、喉に居座っていたおっさんがだんだん小さくなってきました。
年取る毎に風邪の治りも遅くなってきて、体力もすっかり無くなって、益々二次元に住みたいと思う今日この頃
お話も読んでくださってありがとうございます。
頭の中で妄想できました?えへへ~ 嬉しいです☆
続きも読んで頂けるとまたまた嬉しいです クネクネ
いえいえこちらこそのろのろ更新なのにいつも楽しみしてくださって、楽しくて元気なコメントを残してくださって、毎回本当に救われております。
またきてくださーい!!
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