a n o t h e r / w a r m / s n o w　◆ 妄 想 / d e l u s i o n ◆

「ここに居んの、あいつ知ってんだろ？　そのうち迎えに来んじゃね？」
「俺の気配探るのも使い魔飛ばすのも禁止にしたから俺が何処に居るのか知らねぇよ
　もうこの時間なら睡魔に負けて寝てるんじゃねぇかな」

「子供かよ」
「ジジイだよ」


　大きいソファに深く腰掛けてアースが酒を飲みながらそんな話をしている。
　その彼の横でソファを背もたれにして床に座ったラキが同じ酒に口を付けて返事をしていた。


「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・ん？」

「これ、美味ぇな」
「煮ただけだ　そっちのは焼いただけだし」

「お前、こんなん作れんだな」
「あいつに教えられたんだよ　覚えれば誰でもできる　・・・・」

「ふうん　じゃぁ酒の飲み方もあいつに？」
「あぁ・・・」

「親子かよ」
「下僕だよ」

「どうでもいいけど、明日んなったらちゃっちゃと帰れよ。　どうせ今回もまたあいつが怒らせるようなことしたんだろうけど・・・」
「うっさいな　分かってるよんなことは　もうあいつの話すんのやめろよ」

「あいつの事が気になって仕方無いってツラしてる奴に言われたくねぇな」
「はぁっ？」

「ぼーっとしながら酒飲んで美味ぇか？　そんなに気になるならすぐ帰ったっていいんだぜ」
「・・・・・・イラついてるだけだ　今はあいつの顔は見たくねぇよ」

「んじゃぁ　飲んで忘れちまえよ　お前あいつより飲める口みてぇだしな　飲み相手がいるっつーのもたまに面白くていい」
「・・・・・あぁカイトか、あいつは弱そうだな」


　体を起こしてラキを見下ろしながらニヤリと笑うアースにつられて、振り向いたラキもふっと笑った。


「・・・・・お前笑えるのか」
「はあ？当たり前だろ　人を珍しい生き物みたいに言うな」

「・・・・・　どう生きようが勝手だが　少しくらい力抜いてみてもいいと思うぜ」
「・・・・・・・・・」

「あいつは人間じゃねぇけど、お前にとって比べる相手があいつしかいねぇんだからつい焦っちまうのもしょうがねぇよ　でもそればっかだと疲れんだろ。　そうなる前にたまにこうやって息抜きすんのも悪くねぇんじゃねぇか」
「・・・・・・・・・」

「あいつも思ってると思うぜ～　ただ伝え方が変態的なだけで」
「・・・・・・・・　もういいって　ここに居ない奴の話なんかすんなよ」

「じゃあ飲めよ　俺より飲まねぇとあいつの話やめてやんねぇぞ」
「ムッカつく奴だなあんた　マジで」

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学