【another tender snow】 ⑤ ★

「ん・・・ あ、 ばか・・・ 待て・・・」
「待てません ・・・もう十分待ちました やめませ・・・」
「そ・・・ぅじゃねぇよ 痛ぇから外せ、グラサン」
「あ・・・失礼、興奮してて忘れてました。・・・・、ラキ・・・ 外してくれますか?」
「・・・お前な・・・ 自分で外せやボケ 調子乗んな」
「いいえ 乗ります とことん乗ります 私は今ラキを撫で繰り回すのに忙しいので、手が離せません」
「・・・ぁ、ばか・・・っ」
言わなきゃよかったと後悔しながら、奴の普段滅多に外すことの無い真っ黒な ゴーグルみたいなサングラスを外してやる。
濡れた深紅の瞳と目が合う。それは暗闇の中でほんのり光を帯びていた。ラキの心臓が大きく鳴った。
「・・・ お前って ・・・そんな目 出来るんだな」
奴の瞳を一瞬綺麗だと思ってしまった自分が恥ずかしい。言った後にラキは目を逸らす。
それを聞いて、薄く微笑みながら「愛の力ですよ♡」とシンが囁いた。
「ちっ いつもはグラサンの上からでも分かるくらいニヤニヤムカツク目つきしてるくせ・・・ んっ・・・」
(もう 黙って・・・)
遮るように半ば強引にキスをされ、生まれて初めての感覚に全身が一気に緊張した。
シンの服をぎゅっと掴んでいた手にますます力が入る。
「――あっ・・・ んぁ・・・ 」
「・・・・」
「――ふぁ・・・ ぃっ・・・! ば・・・かシン もっと優しくしろ・・・よ・・・」
「甘噛みしただけなのに・・・ ラキは敏感ですね♡」
「甘噛みじゃねぇよ 歯立てっから血が出ただろが 痛ぇよ・・・ 」
「だって私 吸血鬼ですから♬ 」
下唇を噛まれて、ほんの少しだけじんわりと血が滲む。欲望と鉄の味が入り混じる。
それをシンの舌がペロリと舐め上げ、愛おしそうに味わうとそのままラキを見詰めた。
「・・・・・っ 馬鹿!! 見んなっ! 変態! しねっ・・・」