文【warm × tender snow】12
「うん まだ始まる前だけど、今すっごく楽しいから一番になれなくても全然いい♪」
「いや、お前の弓が目的だろ 一番取るぞ 俺たちなら取れる」
「マジすか」
「シンが楽勝っつってたからな あいつは勝負事には強いんだ」
切り株に腰掛けて目の前のラキを見上げながら頭に「?」をたくさん生やしていくカイトに、「ん?」と小首を傾げてラキが見詰め返す。
「・・・・シンって、魔法使いなのか?」
「は? 吸血鬼だってあいつから聞いたんじゃねぇのか」
何を阿呆な事を・・・と、カイトと同じくらい瞳を大きくして聞き返すと、視線を宙に移して「そうだけど」とカイトが答えた。
「朝、シンが話してる時 不思議な感じがしたから」
「・・・・・・・・あぁ・・・、 吸血鬼って、便利だよなぁ」
「???」
「修行しなくても勝手に強ぇし丈夫だし いっつも余裕でずるいんだよあいつは・・・・。
あいつには使い魔っていう子分みたいなのがついてるんだ さっきそいつを使って今日の大会の張り紙覗いたんだよ。 変態だ変態」
ポカーンと話を聞いていたカイトの瞳が瞬く間に光り輝いていく。
それを見たラキが驚いて一歩後ずさった。
「使い魔!!??」 (キラキラ♪)
「・・・・・・・っ!」
「凄い!見たい!見せて!」
「俺じゃねぇって ちゃんと聞いてたか? ちょっ・・・近い!暑いっ!」
「シンに頼んだら見せてくれるかな!? いいかな!?」
「ぅ分かった分かった 後であいつに見せてもらえばいいよ 目立つと面倒だからこっそりな」
「うん! 早く! この競技! 終わんないかなー! ぅあー! 早く見たい! よし! 一番取るぞー!!」
「お。何か知らんけどいい感じにやる気出たな」
すっかり目的が変わってしまったカイトを眺めながら、「変な奴・・・」と呟いてラキが少し笑った。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁあああああーーーーーっ!! 何か変なのいたー――!!!」」
「あれかっ!? あれだろ!! 絶対あれだろ!!!」
「あれだよな! ケツの青いサル!! 本当に青い!おんもしれーっ!!」
街のすぐ傍にある小さな森の中で、今日の大会 一種目目の『探し物競争』に参加する人たちが走り回っている。
探すものは “猿”
しかも一匹しかいない尻の青い猿で、これが凄まじく素早い。
最近、近くの農家を荒らすので困っていると言う事で、丁度いいから大会で利用してやれという事務局の都合のいい勝手な判断により今回のターゲットになったらしい。
その恐ろしく素早い猿をいち早く見つけたのは やっぱりカイトだった。
「青い! 青いよ!! 何で? 尻だけじゃなくて顔も手も青いぞ! おもしれーけど怖いっ!!」
「知るか!! まだガキなんだろ 未熟なんだろ そんなんいいから早く捕まえろって! ほらまた枝ん中隠れたぞ!」
ひょいひょいと枝を伝ってあっという間に姿を消す尻の青い猿をカイトとラキが必死に追う。
瞳をキラキラさせてそれを追うカイトはあの青い尻を見失うまいと瞬きもせずに走った。
その数メートル先をラキが走る。
「カイト! 猿どこ行った? 見えるか!?」
「ラキの真上のちょっと先っ! 次の木を左に飛ぶ!!」
カイトより足の速いラキがそれを聞いてまた速度を上げる。
カイトの視界から消えないように走り際に拾った石を猿が掴む枝目掛けて投げ、動きを妨害してやる。
一瞬驚いて怯むがそれでも進むのをやめない猿。
少しだけ追いついたカイトと一緒にまたそれを追うのだった。
そのうち他の参加者にも気付かれ始め、大勢でその猿を追う小さな森から怒号と砂煙が舞っていった。
「いや、お前の弓が目的だろ 一番取るぞ 俺たちなら取れる」
「マジすか」
「シンが楽勝っつってたからな あいつは勝負事には強いんだ」
切り株に腰掛けて目の前のラキを見上げながら頭に「?」をたくさん生やしていくカイトに、「ん?」と小首を傾げてラキが見詰め返す。
「・・・・シンって、魔法使いなのか?」
「は? 吸血鬼だってあいつから聞いたんじゃねぇのか」
何を阿呆な事を・・・と、カイトと同じくらい瞳を大きくして聞き返すと、視線を宙に移して「そうだけど」とカイトが答えた。
「朝、シンが話してる時 不思議な感じがしたから」
「・・・・・・・・あぁ・・・、 吸血鬼って、便利だよなぁ」
「???」
「修行しなくても勝手に強ぇし丈夫だし いっつも余裕でずるいんだよあいつは・・・・。
あいつには使い魔っていう子分みたいなのがついてるんだ さっきそいつを使って今日の大会の張り紙覗いたんだよ。 変態だ変態」
ポカーンと話を聞いていたカイトの瞳が瞬く間に光り輝いていく。
それを見たラキが驚いて一歩後ずさった。
「使い魔!!??」 (キラキラ♪)
「・・・・・・・っ!」
「凄い!見たい!見せて!」
「俺じゃねぇって ちゃんと聞いてたか? ちょっ・・・近い!暑いっ!」
「シンに頼んだら見せてくれるかな!? いいかな!?」
「ぅ分かった分かった 後であいつに見せてもらえばいいよ 目立つと面倒だからこっそりな」
「うん! 早く! この競技! 終わんないかなー! ぅあー! 早く見たい! よし! 一番取るぞー!!」
「お。何か知らんけどいい感じにやる気出たな」
すっかり目的が変わってしまったカイトを眺めながら、「変な奴・・・」と呟いてラキが少し笑った。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁあああああーーーーーっ!! 何か変なのいたー――!!!」」
「あれかっ!? あれだろ!! 絶対あれだろ!!!」
「あれだよな! ケツの青いサル!! 本当に青い!おんもしれーっ!!」
街のすぐ傍にある小さな森の中で、今日の大会 一種目目の『探し物競争』に参加する人たちが走り回っている。
探すものは “猿”
しかも一匹しかいない尻の青い猿で、これが凄まじく素早い。
最近、近くの農家を荒らすので困っていると言う事で、丁度いいから大会で利用してやれという事務局の都合のいい勝手な判断により今回のターゲットになったらしい。
その恐ろしく素早い猿をいち早く見つけたのは やっぱりカイトだった。
「青い! 青いよ!! 何で? 尻だけじゃなくて顔も手も青いぞ! おもしれーけど怖いっ!!」
「知るか!! まだガキなんだろ 未熟なんだろ そんなんいいから早く捕まえろって! ほらまた枝ん中隠れたぞ!」
ひょいひょいと枝を伝ってあっという間に姿を消す尻の青い猿をカイトとラキが必死に追う。
瞳をキラキラさせてそれを追うカイトはあの青い尻を見失うまいと瞬きもせずに走った。
その数メートル先をラキが走る。
「カイト! 猿どこ行った? 見えるか!?」
「ラキの真上のちょっと先っ! 次の木を左に飛ぶ!!」
カイトより足の速いラキがそれを聞いてまた速度を上げる。
カイトの視界から消えないように走り際に拾った石を猿が掴む枝目掛けて投げ、動きを妨害してやる。
一瞬驚いて怯むがそれでも進むのをやめない猿。
少しだけ追いついたカイトと一緒にまたそれを追うのだった。
そのうち他の参加者にも気付かれ始め、大勢でその猿を追う小さな森から怒号と砂煙が舞っていった。