【Primaveraに降る雪】 34 ラキ編 最終話 「ほんのり★?」
「・・・ ・・・ん」
「おはようございます ラキ♡」
「・・・シン」
「はい♡」
心地いい匂いに包まれて目を開くと目の前にシンの顔があって薄く光る赤い瞳と視線が合う。
いつの間にか眠っていたらしく、素っ裸だった身体には綺麗に服が着せてあり、狭いベッドに二人で向かい合って横になっていた。
シンの左腕に頭を抱かれ汗で湿った黒髪をゆっくりと撫でられて、幸せそうに微笑む彼の顔をじっと見詰める。
この落ち着く香りはこいつのなんだと気付いて彼の胸元に顔をうずめてもう一度目を閉じた。
余韻から覚めるのが勿体無くて、背中に腕を回して服をぎゅっと握ると左手に違和感を感じてその掌を見た。
「・・・ これ」
「ここは 幸いにも保健室なので、大きい絆創膏と包帯を使わせて頂きました」
「・・・ 下手糞な巻き方だな・・・」
「心配しないで下さい。ラキが眠ってる間も私、ラキの傍から離れていませんからね。あの薬棚にもちゃんとラキを抱いたまま包帯を取りに行きましたから♪」
「・・・・・」
「でも、ひとつ謝らなければならないことが・・・」
「・・・何だよ」
「その時もまだ挿入ったままだったんですが、体勢を崩した弾みで抜けてしまって・・・。 ラキが可愛く『抜くな』って言ってくれたのに、申し訳あぃだだだだだだ・・・っ 頭皮が痛いっ!」
「ぅっせーよっ!! 黙れ馬鹿しねっ!! もう喋んなっ!! 触んな退けっ!!」
「嫌です♡」
うが――――――っと喚いて暴れるラキを物ともせず、その愛しい身体をぎゅっと抱き締めるシン。
無理矢理奴の胸元に押し付けられて、ラキはかあっと真っ赤になった顔をその服の下に隠して誤魔化した。
「まだ・・・ 戻ってねぇんだろ?」
「はい?」
「ここ まだ俺達の世界じゃねぇんだろ いつ戻るんだ・・・」
「・・・大丈夫ですよ」
「さっき言ってた俺の 呪いってやつもどうなったんだ」
「ラキ、何も危惧することはありません。貴方に纏わり付いていたあの精霊さんの呪いは既に浄化済みです」
「・・・は? いつの間に・・・」
「知りたいですか? また髪を引っ張られそうですけど・・・」
「いい、いらねぇ・・・ 解けたんならいい」
「くく・・・ 後はあの二匹の龍が残りの要因を解いてくれるのを待つだけです。元の世界にももうすぐ戻れるでしょう」
「そうか・・・」
また龍の話か・・・ と思ったけど詳しく知りたいとは思わなかった。
変な魔法に巻き込まれて飛ばされた所から始まって、気付いたら桜の樹に絡まっていて、不思議な事がたくさん起こって、苛々したり悩んだり走り回ったり・・・。
もういちいち考えたりすることが、どうでもよくなってきていた。
「そのうち戻れるなら このまま俺 寝る・・・」
「はい 身体 痛いでしょう。 多分今日は動けないと思いますので、私がずっと傍でお護りします♡」
シンの腕に抱かれたまま大人しく身体を寄せるラキが可愛くて、抱いた腕に力が込もる。
薄暗くて周りが見えないせいか、いつもより恥ずかしさが薄れていて、ラキは素直にシンの抱擁を受け入れた。
「・・・ ・・・包帯、ありがとな」
「~~~~~っ!! ・・・っ!」
素直ついでに傷の手当の礼を言うと、シンの心臓がドキンと鳴って顔が赤くなる。
その様子が 見なくてもはっきりと分かってラキはシンに気付かれないようにこっそりほくそ笑んだ。
「元の世界に戻ったら・・・ またバラバラの場所に落ちるんかな」
「それも大丈夫ですよ」
「・・・大した自信じゃねぇか」
「実はこちらに飛ばされる直前に使い魔一号を向こうの世界に置いてきました。そしてここに使い魔二号が待機中です。この二人は私とラキの様にラブラブな仲なので、時空を越えても互いの愛の力で繋がっています。」
「お前のその説明、気持ち悪いな」
「どの辺が・・・?? ・・・ですから元の世界に戻れるようになったら、向こうにいる一号にしっかりと導かせるので問題ありませんよ あの二人も一緒にね」
「・・・ ・・・あの二人って、あの二人か・・・」
「・・・ラキ」
黒い髪から覗くラキの顔が翳るのが見えて、シンは自分の失言に気付く。
すぐに謝ろうと口を開いたが、ラキの表情に怒りは無く、何となく寂しそうに眉を寄せて視線を胸元から上へ移してシンを見詰めてきた。
ラキのそれにまたドキンと心臓が高鳴って、頬を撫でると唇に軽くキスをした。
「ラキ、またそうやって煽る・・・。せっかく着せたのに、また脱がせたくなるじゃないですか」
「・・・ん、これ以上ヤッたら俺しぬからお預けな ・・・キスだけならいいぞ」
「~~~・・・はい♡」
「早くしろよ」
襟首と銀の髪を引っ張ってシンの唇を引き寄せると、優しくゆっくりと吸い付かれてすぐに主導権を握られてしまう。
勝手に嫉妬して突き放して、それなのに離れたくなくて追いかけて、今日一日散々振り回してしまった事を謝ろうと思ったけど、そんなラキの想いを全部見透かしてるかのように甘く優しく包み込んでくれるシンに結局また言葉を詰まらせて何も言えないまま黙り込んでしまうのだった。
今はただこうしていつまでも一緒に居たいと、二人で同時に想いながら何度も唇を重ね合わせた。
「・・・ ・・・シン」
「はい」
「『危惧』・・・って何だ?」
「・・・ ・・・ ・・・今 それを思い出しますか・・・。」
「何だよ・・・ 気になったんだからしょうがねえだろ・・・」
「くく・・・ 何も気にすることはありませんよ♡」
「は・・・? だから、気になるから聞いてんだろ 教えろよ 『危惧』って何だよ」
「ぶはっ・・・ あーもー ラキ堪らん! キスだけじゃ我慢できない ねえ、もう一回♡ いい?」
「いくねーよ! この馬鹿っ! 教えねーならもう寝る、退けっ お前向こうのベッドで寝れや 狭いっ」
「ああん♡ また焦らされるのですね・・・ はぁはぁ・・・ せめてこちらを向いて寝てください」
「うっせ! 俺はこっち向きじゃねえと眠れねえの!」
「私はラキ向きじゃないと眠れません。分かりました、私がそちら側に行けばいいのですね」
「うぜぇっ!! こいつうぜーっ!!」
「ラキ 顔が赤いですよ」
「おはようございます ラキ♡」
「・・・シン」
「はい♡」
心地いい匂いに包まれて目を開くと目の前にシンの顔があって薄く光る赤い瞳と視線が合う。
いつの間にか眠っていたらしく、素っ裸だった身体には綺麗に服が着せてあり、狭いベッドに二人で向かい合って横になっていた。
シンの左腕に頭を抱かれ汗で湿った黒髪をゆっくりと撫でられて、幸せそうに微笑む彼の顔をじっと見詰める。
この落ち着く香りはこいつのなんだと気付いて彼の胸元に顔をうずめてもう一度目を閉じた。
余韻から覚めるのが勿体無くて、背中に腕を回して服をぎゅっと握ると左手に違和感を感じてその掌を見た。
「・・・ これ」
「ここは 幸いにも保健室なので、大きい絆創膏と包帯を使わせて頂きました」
「・・・ 下手糞な巻き方だな・・・」
「心配しないで下さい。ラキが眠ってる間も私、ラキの傍から離れていませんからね。あの薬棚にもちゃんとラキを抱いたまま包帯を取りに行きましたから♪」
「・・・・・」
「でも、ひとつ謝らなければならないことが・・・」
「・・・何だよ」
「その時もまだ挿入ったままだったんですが、体勢を崩した弾みで抜けてしまって・・・。 ラキが可愛く『抜くな』って言ってくれたのに、申し訳あぃだだだだだだ・・・っ 頭皮が痛いっ!」
「ぅっせーよっ!! 黙れ馬鹿しねっ!! もう喋んなっ!! 触んな退けっ!!」
「嫌です♡」
うが――――――っと喚いて暴れるラキを物ともせず、その愛しい身体をぎゅっと抱き締めるシン。
無理矢理奴の胸元に押し付けられて、ラキはかあっと真っ赤になった顔をその服の下に隠して誤魔化した。
「まだ・・・ 戻ってねぇんだろ?」
「はい?」
「ここ まだ俺達の世界じゃねぇんだろ いつ戻るんだ・・・」
「・・・大丈夫ですよ」
「さっき言ってた俺の 呪いってやつもどうなったんだ」
「ラキ、何も危惧することはありません。貴方に纏わり付いていたあの精霊さんの呪いは既に浄化済みです」
「・・・は? いつの間に・・・」
「知りたいですか? また髪を引っ張られそうですけど・・・」
「いい、いらねぇ・・・ 解けたんならいい」
「くく・・・ 後はあの二匹の龍が残りの要因を解いてくれるのを待つだけです。元の世界にももうすぐ戻れるでしょう」
「そうか・・・」
また龍の話か・・・ と思ったけど詳しく知りたいとは思わなかった。
変な魔法に巻き込まれて飛ばされた所から始まって、気付いたら桜の樹に絡まっていて、不思議な事がたくさん起こって、苛々したり悩んだり走り回ったり・・・。
もういちいち考えたりすることが、どうでもよくなってきていた。
「そのうち戻れるなら このまま俺 寝る・・・」
「はい 身体 痛いでしょう。 多分今日は動けないと思いますので、私がずっと傍でお護りします♡」
シンの腕に抱かれたまま大人しく身体を寄せるラキが可愛くて、抱いた腕に力が込もる。
薄暗くて周りが見えないせいか、いつもより恥ずかしさが薄れていて、ラキは素直にシンの抱擁を受け入れた。
「・・・ ・・・包帯、ありがとな」
「~~~~~っ!! ・・・っ!」
素直ついでに傷の手当の礼を言うと、シンの心臓がドキンと鳴って顔が赤くなる。
その様子が 見なくてもはっきりと分かってラキはシンに気付かれないようにこっそりほくそ笑んだ。
「元の世界に戻ったら・・・ またバラバラの場所に落ちるんかな」
「それも大丈夫ですよ」
「・・・大した自信じゃねぇか」
「実はこちらに飛ばされる直前に使い魔一号を向こうの世界に置いてきました。そしてここに使い魔二号が待機中です。この二人は私とラキの様にラブラブな仲なので、時空を越えても互いの愛の力で繋がっています。」
「お前のその説明、気持ち悪いな」
「どの辺が・・・?? ・・・ですから元の世界に戻れるようになったら、向こうにいる一号にしっかりと導かせるので問題ありませんよ あの二人も一緒にね」
「・・・ ・・・あの二人って、あの二人か・・・」
「・・・ラキ」
黒い髪から覗くラキの顔が翳るのが見えて、シンは自分の失言に気付く。
すぐに謝ろうと口を開いたが、ラキの表情に怒りは無く、何となく寂しそうに眉を寄せて視線を胸元から上へ移してシンを見詰めてきた。
ラキのそれにまたドキンと心臓が高鳴って、頬を撫でると唇に軽くキスをした。
「ラキ、またそうやって煽る・・・。せっかく着せたのに、また脱がせたくなるじゃないですか」
「・・・ん、これ以上ヤッたら俺しぬからお預けな ・・・キスだけならいいぞ」
「~~~・・・はい♡」
「早くしろよ」
襟首と銀の髪を引っ張ってシンの唇を引き寄せると、優しくゆっくりと吸い付かれてすぐに主導権を握られてしまう。
勝手に嫉妬して突き放して、それなのに離れたくなくて追いかけて、今日一日散々振り回してしまった事を謝ろうと思ったけど、そんなラキの想いを全部見透かしてるかのように甘く優しく包み込んでくれるシンに結局また言葉を詰まらせて何も言えないまま黙り込んでしまうのだった。
今はただこうしていつまでも一緒に居たいと、二人で同時に想いながら何度も唇を重ね合わせた。
「・・・ ・・・シン」
「はい」
「『危惧』・・・って何だ?」
「・・・ ・・・ ・・・今 それを思い出しますか・・・。」
「何だよ・・・ 気になったんだからしょうがねえだろ・・・」
「くく・・・ 何も気にすることはありませんよ♡」
「は・・・? だから、気になるから聞いてんだろ 教えろよ 『危惧』って何だよ」
「ぶはっ・・・ あーもー ラキ堪らん! キスだけじゃ我慢できない ねえ、もう一回♡ いい?」
「いくねーよ! この馬鹿っ! 教えねーならもう寝る、退けっ お前向こうのベッドで寝れや 狭いっ」
「ああん♡ また焦らされるのですね・・・ はぁはぁ・・・ せめてこちらを向いて寝てください」
「うっせ! 俺はこっち向きじゃねえと眠れねえの!」
「私はラキ向きじゃないと眠れません。分かりました、私がそちら側に行けばいいのですね」
「うぜぇっ!! こいつうぜーっ!!」
「ラキ 顔が赤いですよ」