【シン×ラキ】月と瞳と血と絆 11 FINAL
「こ・・・、腰が・・・」
「申し訳」
「痛ぇぇぇ・・・・」
「御座いません」
「馬鹿力で 最後ガンガン突きやがって・・・・・」
「・・・・・」
「ニヤニヤ余裕ぶって 実は必死じゃねぇか」
「やめて」
「ぁあ゛?」
「思い出すとムラムラしてくるからやめて」
両手で顔を覆いながら 床の上に正座をしているシンを ベッドの上から見下ろす。
さらりと流れる銀糸の髪にも何となく艶が戻っているように見えた。
俺の血って 凄ぇな
ひとり赤くなるシンを無視して、重い身体を反転させると、いつもの色の満月が窓から覗いた。
「・・・・・ぁ、月蝕終わってた」
異様な雰囲気に塗れた赤銅色の満月から 見慣れたいつもの月に戻ると、どこか落ち着いた気分になる。
散々酷使した身体に訪れる疲労感も 心地良く感じられる気がした。
「・・・お前の瞳って 俺が染めたんだよな」
「・・・・・ はい」
横になったまま 空を見上げながら呟くと、背中の向こうからくぐもった声がする。
「あの月より お前の瞳の方が綺麗だな」
「・・・・・」
月の模様を眺めながら呟くと、シンが顔を上げる気配がした。
「お前の名前も 俺が決めた」
「はい」
「じゃあ お前は 俺のものだな」
「はい」
目を細め、吐息交じりに応えるシンを容易に想像しながら、空いたスペースをぽんぽんと叩いてこちらへと促す。
来いと言われて嬉しそうに立ち上がるシンを横目で見ると、銀糸を手櫛で整えるシンが何かを咥えていた。
「・・・・・・っ!」
つい先程までラキのものを戒めていたあの髪紐・・・
汗と精に塗れて湿ったそれで シンが丁寧に自分の髪を結っていく。
いつもの見慣れた光景のはずなのに、あんな事をしてしまった所為で恥ずかしくて堪らなくなった。
紐がくるくると髪を結っていくその動きに、あの光景を思い出して腰が疼きそうになる。
勝手に真っ赤になる自分の顔を枕に押し付けて、ぎゅうと握り込んだ。
結い終わったシンが 枕ごと身体を包み込んでくる。
「・・・? どうしました?」
「うるせぇこっち来んな」
「誘っておいて拒絶ですか? また新しい・・・」
「寝る」
「顔見せて」
「やだ」
「見たい」
「いやだ」
「私の瞳を見てくださらないのですか?」
「見ない」
「褒めてくださったのに?」
「さっき見たからいい」
「・・・・・ ・・・・枕が羨ましい」
「物にまで嫉妬すんな 血やったんだしもうお前元気だろ、俺は疲れたから寝る」
疲れた と聞いて少し静かになったシン
少しして、背中に回された大きな手で優しく抱き締めてきた。
「愛しい人・・・ 私が太陽の下でも一緒に居られるのは・・・、いつでもそばに居られるのはラキのおかげ」
大切に 労わるように触れてくるその手からシンの気持ちが流れ込んできて、じわりと胸が暖かくなった。
「・・・・ 血、遅くなって悪かった ・・・我慢とか、しなくていぃから 言えょ・・・」
「・・・・・はい」
「力とか、能力とか、・・・今はまだお前に敵わねぇ けど、・・・・、・・・お前は 俺が護るから、俺の血が・・・」
「・・・・・ ・・・・・はい」
後頭部のあたりでシンの声が震えるのが分かって、つられて自分も嬉しくなる。
今までも何度か言った覚えがあるけれど、言葉にする毎に力が湧く気がした。
その度に見せるシンの嬉しそうな顔がとても好きだと思った。
「ラキは 本当に大きくなりましたね 心も、身体も」
「俺歴20年だからな」
「・・・私は何も変わらない 何も成長していない」
「は?お前はシン歴15年だろ」
「え・・・?」
「あの時から何も変わってねぇか?」
枕から顔を出してシンを見上げると、きょとんとした紅い瞳と目が合う。
初めて会った頃のシンとは明らかに違う柔らかな雰囲気と温もり、
ずっと一緒に旅をしてきた沢山の経験と知識、
シンの気持ちと、・・・シンへの気持ち
真紅の瞳を見詰めながらシンの言葉を待っていると、整った唇が薄く開いた。
「・・・・・ ラキの方が年上?」
「そっちかよ!」
「15年・・・、ぁぁ・・・なんて可愛い数字なんでしょう・・・15年、15歳・・・」
「15歳ではねぇよ」
「思春期ですね、私の性欲は思春期特有のアレですね」
「それは元からだろ」
15という少ない数字に、何百年も生きている吸血鬼が嬉しそうにくねくねと悶えている。
何がそんなに嬉しいのかさっぱり理解できないけれど、0年のシンより15年のシンの方が見ていて面白い。
ひとしきり「年下」を堪能し終わると、飽きて懐に潜り込んでいた俺の身体をぎゅうと抱き締めて、
「・・・・ ・・・・・ラキはずるいね」
と呟いた。
何がだよ と聞き返そうと思ったが、眠かったのでいつも通り無視をした。
おわり
月と瞳と血と絆 10★R18 ◆ はじめから

最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。
◆追記でコメントお返事
「申し訳」
「痛ぇぇぇ・・・・」
「御座いません」
「馬鹿力で 最後ガンガン突きやがって・・・・・」
「・・・・・」
「ニヤニヤ余裕ぶって 実は必死じゃねぇか」
「やめて」
「ぁあ゛?」
「思い出すとムラムラしてくるからやめて」
両手で顔を覆いながら 床の上に正座をしているシンを ベッドの上から見下ろす。
さらりと流れる銀糸の髪にも何となく艶が戻っているように見えた。
俺の血って 凄ぇな
ひとり赤くなるシンを無視して、重い身体を反転させると、いつもの色の満月が窓から覗いた。
「・・・・・ぁ、月蝕終わってた」
異様な雰囲気に塗れた赤銅色の満月から 見慣れたいつもの月に戻ると、どこか落ち着いた気分になる。
散々酷使した身体に訪れる疲労感も 心地良く感じられる気がした。
「・・・お前の瞳って 俺が染めたんだよな」
「・・・・・ はい」
横になったまま 空を見上げながら呟くと、背中の向こうからくぐもった声がする。
「あの月より お前の瞳の方が綺麗だな」
「・・・・・」
月の模様を眺めながら呟くと、シンが顔を上げる気配がした。
「お前の名前も 俺が決めた」
「はい」
「じゃあ お前は 俺のものだな」
「はい」
目を細め、吐息交じりに応えるシンを容易に想像しながら、空いたスペースをぽんぽんと叩いてこちらへと促す。
来いと言われて嬉しそうに立ち上がるシンを横目で見ると、銀糸を手櫛で整えるシンが何かを咥えていた。
「・・・・・・っ!」
つい先程までラキのものを戒めていたあの髪紐・・・
汗と精に塗れて湿ったそれで シンが丁寧に自分の髪を結っていく。
いつもの見慣れた光景のはずなのに、あんな事をしてしまった所為で恥ずかしくて堪らなくなった。
紐がくるくると髪を結っていくその動きに、あの光景を思い出して腰が疼きそうになる。
勝手に真っ赤になる自分の顔を枕に押し付けて、ぎゅうと握り込んだ。
結い終わったシンが 枕ごと身体を包み込んでくる。
「・・・? どうしました?」
「うるせぇこっち来んな」
「誘っておいて拒絶ですか? また新しい・・・」
「寝る」
「顔見せて」
「やだ」
「見たい」
「いやだ」
「私の瞳を見てくださらないのですか?」
「見ない」
「褒めてくださったのに?」
「さっき見たからいい」
「・・・・・ ・・・・枕が羨ましい」
「物にまで嫉妬すんな 血やったんだしもうお前元気だろ、俺は疲れたから寝る」
疲れた と聞いて少し静かになったシン
少しして、背中に回された大きな手で優しく抱き締めてきた。
「愛しい人・・・ 私が太陽の下でも一緒に居られるのは・・・、いつでもそばに居られるのはラキのおかげ」
大切に 労わるように触れてくるその手からシンの気持ちが流れ込んできて、じわりと胸が暖かくなった。
「・・・・ 血、遅くなって悪かった ・・・我慢とか、しなくていぃから 言えょ・・・」
「・・・・・はい」
「力とか、能力とか、・・・今はまだお前に敵わねぇ けど、・・・・、・・・お前は 俺が護るから、俺の血が・・・」
「・・・・・ ・・・・・はい」
後頭部のあたりでシンの声が震えるのが分かって、つられて自分も嬉しくなる。
今までも何度か言った覚えがあるけれど、言葉にする毎に力が湧く気がした。
その度に見せるシンの嬉しそうな顔がとても好きだと思った。
「ラキは 本当に大きくなりましたね 心も、身体も」
「俺歴20年だからな」
「・・・私は何も変わらない 何も成長していない」
「は?お前はシン歴15年だろ」
「え・・・?」
「あの時から何も変わってねぇか?」
枕から顔を出してシンを見上げると、きょとんとした紅い瞳と目が合う。
初めて会った頃のシンとは明らかに違う柔らかな雰囲気と温もり、
ずっと一緒に旅をしてきた沢山の経験と知識、
シンの気持ちと、・・・シンへの気持ち
真紅の瞳を見詰めながらシンの言葉を待っていると、整った唇が薄く開いた。
「・・・・・ ラキの方が年上?」
「そっちかよ!」
「15年・・・、ぁぁ・・・なんて可愛い数字なんでしょう・・・15年、15歳・・・」
「15歳ではねぇよ」
「思春期ですね、私の性欲は思春期特有のアレですね」
「それは元からだろ」
15という少ない数字に、何百年も生きている吸血鬼が嬉しそうにくねくねと悶えている。
何がそんなに嬉しいのかさっぱり理解できないけれど、0年のシンより15年のシンの方が見ていて面白い。
ひとしきり「年下」を堪能し終わると、飽きて懐に潜り込んでいた俺の身体をぎゅうと抱き締めて、
「・・・・ ・・・・・ラキはずるいね」
と呟いた。
何がだよ と聞き返そうと思ったが、眠かったのでいつも通り無視をした。
おわり
月と瞳と血と絆 10★R18 ◆ はじめから

最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。
◆追記でコメントお返事
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