【トイカ】19
「迷える子羊がわざわざ自宅まで駆け込んで来たんだから占えよ」
「平穏をぶち壊しに来たチンピラにしか見えないが」
「お休みだったとは知らなかったものですから」
シンの使い魔があっさり見つけ出した占い師の居場所。
ただ後ろを付いて行ったから何とも思わなかったがよく見ると確かに普通の民家だ。
店の名前らしき看板も無ければそれらしい飾りも目印も全く無い。
突然自宅を暴かれたその占い師っぽい男は、驚きながらもすぐに不機嫌そうにこちらを睨み付けてきた。
「そもそも誰にも教えてないのにどうやってここが分かったんだ」
「天からの啓示を受けました」
「占い師か!」
「なぁ、ちょっと聞きてぇ事あんだよこの前の大・・・」
「話し始めるな!断ると言っただろ 僕は仕事以外の場所では占わない」
「せっかく来たんだからいいだろ ちょっとでいいから。ちょっとだけ中入ろうぜ、な、入り口だけでいいから」
「言い方が気持ち悪い!ぐいぐい来るな! ・・・で、お前は何でニヤけてるんだお前ら気持ち悪い!」
「いえ、いい攻め方だと思いまして」
「なんだ、飯作ってたのか。丁度いいじゃねぇか腹減ってんだよ」
「入るな!座ろうとするな! とにかく今日は僕休みで占う気無いから帰って」
「分かった。じゃあ飯食ったら帰るわ」
「何だお前話通じないのか 馬鹿か」
「お前がさっさと占えば済む話だろうが面倒臭ぇ」
「まあまあ」
初対面で思い切り喧嘩を売り合い、めでたく『嫌な奴』の称号を手に入れたふたりにシンが声を掛ける。
「休日にご自宅まで押しかけてしまって申し訳ありません。こちらの住まいは内緒だったのですね。これは配慮が足りませんでした。しかしその大事なプライバシーを守る為にもそろそろ声を抑えて頂かないとご近所の皆さんに貴方のお家が知れ渡ってしまいますよ。占い師の貴方のご自宅が・・・占い師の・・・」
「お前が一番うるさいな!」
入り口でわーわーと騒いでいたせいで道を往く者たちが何事かとチラチラこちらを見てくる。
幸い自分の目の前で壁になっているこのふたりのお陰で視線から逃れられてはいるがこのままでは流石に気まずい。
何を言っても彼らは一向に引き下がる気が無さそうなのでここは一旦家の中に入れる事にした。
占い師と言っても家は普通の民家と同じ一般的な生活用品が揃っていて、普通の家具に普通の照明、普通の壁にどこにでもあるような壁掛け時計や額が飾ってあった。
変わった所と行ったら大図書館にあるような古臭い重々しい本や何が入ってるか分からない不思議な色をした小瓶が部屋の隅の小さな棚に収められてるくらいだ。
大事な物だから持ち歩いてるのだろう、傍にそれら用の丁度いい大きさのバッグが置いてあった。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「ーーで、何だって?」
「あ?占うのか?」
「途中まで聞かされてそのままなのも気持ち悪いから聞くだけ聞いてあげる。占いはしない」
「ここまできたらもう占っちまえよ。簡単な奴でいいからよ」
「それとこれとは別だ。どうせ帰れと言ったって素直に出て行かないのだろう?なら気が済むまで話していくといい。話だけなら聞いてあげるから終わったら帰ってくれ」
「・・・ 仕方無いですね。お話だけでもさせて頂きましょう。事情をお伝えしてもしかしたら特別に占って頂けるかもしれませんし」
しつこく言っても頑なに占いを拒むこの男に若干イラッとして、咥えた煙草を吹かしたらシンがまたヘラヘラと口を挟んできたのでギロリと睨んでやった。
正直占いなんて胡散臭いもんには頼りたくない。
が、他に方法も無いから仕方無くここまで来たのに占わないだの でも話は気になるから聞いてやるだの 内容によっちゃ占ってくれるかもだの・・・面倒臭ぇ。
そんな不確かな可能性に掛けてだらだら時間潰すとかマジで面倒臭ぇ
・・・・・ でもまぁ、ここまできたら付き合うしかねぇんだろうな
一息吐いて間が空いた所為で俺が怒って黙り込んだと思ったシンが「実は・・・」と口を開く。
「いい、俺が話す」
続く言葉を遮ってシンを下がらせた。
これは当事者が話すべきだと思ったからだ。
早く追い返したくて適当に聞くかと思っていたのに、その占い師は意外にも真剣に静かに聞いていた。
話をする俺と興味深そうにそれを聞く占い師、そのふたりの様子を相変わらず真っ黒いサングラスを掛けたシンがじっと眺めているのを視界の外で感じた。
概ね話し終える頃、椅子に腰掛け口元で手を結んだ占い師が小さく何か呟いた。
鼻から下が隠れているので表情は読み取れないが睨むように見詰める紫掛かった黒い瞳が一瞬細くなった気がした。
そして少し背伸びをして背もたれに寄り掛かると足を組み直しひとつ息をした。
「ふうん・・・ それで、その呪いの解き方を僕に占えと・・・」
「・・・金ならあるぞ」
「金は要らない。最初から占わないって言ってるだろ さあ、話は聞いたから帰って」
「お前なぁ・・・」
話を聞いて気が変わったかと少し期待してしまってただけにまたも帰れコールが始まってうんざりする。
「そんなの手放せばいいだろう。貰った所に返せばいい。できないなら売ったり捨てたりいくらでも方法はある」
「できねぇからここに来てんだろうが」
もういい やっぱり無駄足だった。占いなんていうあやふやなものなんか信用するか。
帰ろうと踵を返すとずっと黙って眺めていたシンが「あの・・・」と声を掛けた。
「・・・・何だ。お前も早く帰って」
「今、何と仰いましたか」
「え? 聞こえなかったのか? 帰れと言ったんだ」
「いいえ、その少し前です」
あ?何言ってんだこいつ・・・
「貴方、『あの弓は 今そこにあるのか』と仰いませんでしたか」
「・・・・っ」
「は? ・・・どういう意味だ」
◆ちまちま進めてお久しぶりの更新でこんばんは。
すっかりペースが遅くなってしまって情けないです。
そろそろ・・・エロいの欲しいですよね・・・?
という事で早くエロシーンにいけるように頑張ります。
ていうか今年中に何かしらエロいの上げます。
いつもご訪問ありがとうございます。
コメントで「あいつが格好いい」とか「面白い」とか「アースとカイトの絡みがもっと見たい」等、沢山お言葉を頂けて本当に嬉しいです。
「3時間掛けて全部読んでしまったよ」と以前コメント頂いた時はマジか!とマジ声で言ってました。
反応を頂けるとわっほいとテンション上がって寝る前と朝に何度も読み返してしまいます。
相変らず変な文章と変な絵で全く成長しませんがこれからものんびりよろしくお願い致します。
エロシーン、漫画で描きたいんだよなぁ。いけるかなぁ無理かなぁ時間欲しいぃぃ><
がっつり寒くなったので体調にお気を付けくださいませ。
◆追記でありがとうございますコメントお返事♪
「平穏をぶち壊しに来たチンピラにしか見えないが」
「お休みだったとは知らなかったものですから」
シンの使い魔があっさり見つけ出した占い師の居場所。
ただ後ろを付いて行ったから何とも思わなかったがよく見ると確かに普通の民家だ。
店の名前らしき看板も無ければそれらしい飾りも目印も全く無い。
突然自宅を暴かれたその占い師っぽい男は、驚きながらもすぐに不機嫌そうにこちらを睨み付けてきた。
「そもそも誰にも教えてないのにどうやってここが分かったんだ」
「天からの啓示を受けました」
「占い師か!」
「なぁ、ちょっと聞きてぇ事あんだよこの前の大・・・」
「話し始めるな!断ると言っただろ 僕は仕事以外の場所では占わない」
「せっかく来たんだからいいだろ ちょっとでいいから。ちょっとだけ中入ろうぜ、な、入り口だけでいいから」
「言い方が気持ち悪い!ぐいぐい来るな! ・・・で、お前は何でニヤけてるんだお前ら気持ち悪い!」
「いえ、いい攻め方だと思いまして」
「なんだ、飯作ってたのか。丁度いいじゃねぇか腹減ってんだよ」
「入るな!座ろうとするな! とにかく今日は僕休みで占う気無いから帰って」
「分かった。じゃあ飯食ったら帰るわ」
「何だお前話通じないのか 馬鹿か」
「お前がさっさと占えば済む話だろうが面倒臭ぇ」
「まあまあ」
初対面で思い切り喧嘩を売り合い、めでたく『嫌な奴』の称号を手に入れたふたりにシンが声を掛ける。
「休日にご自宅まで押しかけてしまって申し訳ありません。こちらの住まいは内緒だったのですね。これは配慮が足りませんでした。しかしその大事なプライバシーを守る為にもそろそろ声を抑えて頂かないとご近所の皆さんに貴方のお家が知れ渡ってしまいますよ。占い師の貴方のご自宅が・・・占い師の・・・」
「お前が一番うるさいな!」
入り口でわーわーと騒いでいたせいで道を往く者たちが何事かとチラチラこちらを見てくる。
幸い自分の目の前で壁になっているこのふたりのお陰で視線から逃れられてはいるがこのままでは流石に気まずい。
何を言っても彼らは一向に引き下がる気が無さそうなのでここは一旦家の中に入れる事にした。
占い師と言っても家は普通の民家と同じ一般的な生活用品が揃っていて、普通の家具に普通の照明、普通の壁にどこにでもあるような壁掛け時計や額が飾ってあった。
変わった所と行ったら大図書館にあるような古臭い重々しい本や何が入ってるか分からない不思議な色をした小瓶が部屋の隅の小さな棚に収められてるくらいだ。
大事な物だから持ち歩いてるのだろう、傍にそれら用の丁度いい大きさのバッグが置いてあった。
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「ーーで、何だって?」
「あ?占うのか?」
「途中まで聞かされてそのままなのも気持ち悪いから聞くだけ聞いてあげる。占いはしない」
「ここまできたらもう占っちまえよ。簡単な奴でいいからよ」
「それとこれとは別だ。どうせ帰れと言ったって素直に出て行かないのだろう?なら気が済むまで話していくといい。話だけなら聞いてあげるから終わったら帰ってくれ」
「・・・ 仕方無いですね。お話だけでもさせて頂きましょう。事情をお伝えしてもしかしたら特別に占って頂けるかもしれませんし」
しつこく言っても頑なに占いを拒むこの男に若干イラッとして、咥えた煙草を吹かしたらシンがまたヘラヘラと口を挟んできたのでギロリと睨んでやった。
正直占いなんて胡散臭いもんには頼りたくない。
が、他に方法も無いから仕方無くここまで来たのに占わないだの でも話は気になるから聞いてやるだの 内容によっちゃ占ってくれるかもだの・・・面倒臭ぇ。
そんな不確かな可能性に掛けてだらだら時間潰すとかマジで面倒臭ぇ
・・・・・ でもまぁ、ここまできたら付き合うしかねぇんだろうな
一息吐いて間が空いた所為で俺が怒って黙り込んだと思ったシンが「実は・・・」と口を開く。
「いい、俺が話す」
続く言葉を遮ってシンを下がらせた。
これは当事者が話すべきだと思ったからだ。
早く追い返したくて適当に聞くかと思っていたのに、その占い師は意外にも真剣に静かに聞いていた。
話をする俺と興味深そうにそれを聞く占い師、そのふたりの様子を相変わらず真っ黒いサングラスを掛けたシンがじっと眺めているのを視界の外で感じた。
概ね話し終える頃、椅子に腰掛け口元で手を結んだ占い師が小さく何か呟いた。
鼻から下が隠れているので表情は読み取れないが睨むように見詰める紫掛かった黒い瞳が一瞬細くなった気がした。
そして少し背伸びをして背もたれに寄り掛かると足を組み直しひとつ息をした。
「ふうん・・・ それで、その呪いの解き方を僕に占えと・・・」
「・・・金ならあるぞ」
「金は要らない。最初から占わないって言ってるだろ さあ、話は聞いたから帰って」
「お前なぁ・・・」
話を聞いて気が変わったかと少し期待してしまってただけにまたも帰れコールが始まってうんざりする。
「そんなの手放せばいいだろう。貰った所に返せばいい。できないなら売ったり捨てたりいくらでも方法はある」
「できねぇからここに来てんだろうが」
もういい やっぱり無駄足だった。占いなんていうあやふやなものなんか信用するか。
帰ろうと踵を返すとずっと黙って眺めていたシンが「あの・・・」と声を掛けた。
「・・・・何だ。お前も早く帰って」
「今、何と仰いましたか」
「え? 聞こえなかったのか? 帰れと言ったんだ」
「いいえ、その少し前です」
あ?何言ってんだこいつ・・・
「貴方、『あの弓は 今そこにあるのか』と仰いませんでしたか」
「・・・・っ」
「は? ・・・どういう意味だ」
◆ちまちま進めてお久しぶりの更新でこんばんは。
すっかりペースが遅くなってしまって情けないです。
そろそろ・・・エロいの欲しいですよね・・・?
という事で早くエロシーンにいけるように頑張ります。
ていうか今年中に何かしらエロいの上げます。
いつもご訪問ありがとうございます。
コメントで「あいつが格好いい」とか「面白い」とか「アースとカイトの絡みがもっと見たい」等、沢山お言葉を頂けて本当に嬉しいです。
「3時間掛けて全部読んでしまったよ」と以前コメント頂いた時はマジか!とマジ声で言ってました。
反応を頂けるとわっほいとテンション上がって寝る前と朝に何度も読み返してしまいます。
相変らず変な文章と変な絵で全く成長しませんがこれからものんびりよろしくお願い致します。
エロシーン、漫画で描きたいんだよなぁ。いけるかなぁ無理かなぁ時間欲しいぃぃ><
がっつり寒くなったので体調にお気を付けくださいませ。
◆追記でありがとうございますコメントお返事♪
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