【トイカ】 10
「先日大会で獲って来た黒いお花、覚えてますか?」
「・・・・・ ああ、山の上に咲いてたアレか」
「あー・・・(こいつに担がれて終わったあの競技か・・・)」
「あの花は山頂で沢山の光を浴びて育つので、煎じて飲むと浄化と魔除けの効果があるんですよ」
「へ・・・っ?」
「マジか・・・」
何だ・・・ すぐ治りそうじゃねぇか・・・
「ええ、ですからそれを使えばこの呪いもきっと解けるかと・・・」
「確か俺その花お前にやったよな 返せ」
「・・・・・ ・・・・・ねぇよ」
「はい?」
「あ?」
シンに向かって返せと言ったらラキが返事をした。
眉間にしわを寄せてそちらに振り返るとそいつの眉間にもしわがあって、次に「飲んだ・・・」と呟きやがった。
「あの・・・ラキ、もう一度すみませんお願いします」
「だから、あの日お茶に入れて飲んだって言ってんだろが」
「あ゛あ゛?」
「・・・・・あ、もしかして・・・ あのカフェですか・・・」
「お前が気持ち悪い顔で渡してくっからだろ」
「どういう事だよ説明しろ 捻り潰すぞ」
あの日山頂から持ち帰った黒い花を俺はシンにやった。
その後ギルドにいるラキを追いかけて行ったシンがその花をプレゼントする。
次に寄ったカフェで店員がラキの持っている花を見付けて「紅茶に入れると美味しいですよ」と言うので渡してふたりでイチャイチャしながら飲んだ。
「イチャイチャしてねえよ」
「気付きませんでした・・・。その紅茶のお陰で私、魔力が抑えられていたんですね。道理でその後の競技で狼から戻るのに苦労したはずです。」
「気付けよ」
「だからその賞品の弓を手に入れた時もこの呪いに気付けなかったんでしょう。でもこれで確かにあの黒い花の効果は抜群なのが証明されました。ね?」
「な?」
「うるせぇよ」
さっさと解決するかと思ったら結局そういうオチか・・・
「もういい」
「おや、どちらへ?」
弓を拾い上げて立ち上がるとシンが呑気に声を掛けてきた。
「変な大会開いて傍迷惑なもんを贈って寄越した事務局に決まってんだろ。クーリングオフだこんなもん」
こいつがいつまでもキレキャラのままだと今後の旅が面倒臭くてしょーがねぇ。
「そうですねぇ・・・」
「返さなくても呪い解けばずっと使えるようになるんじゃねえか?黒い花ならまだあの山にあるかもしんねえし」
「遠いわ。行ってもし全部摘まれてたら俺多分あの辺平地にするぞ」
「もしかしたらその事務局にこの呪いをかけた本人がいるかもしれませんよ」
「もしそこに犯人がいんならそいつに丁寧にお願いして解いて貰えばいい」
「"殴る"のは"お願い"って言わねぇからな」
「居なくても、あの大会ん時花を回収してたらしいからこっちも丁寧にお願いしたら分けてくれるかもしれねぇな」
「なんか・・・ 結構怒ってるなこいつ・・・」
「寝てないようですしね・・・」
場所は・・・この地方では結構有名らしいからその辺で聞けばすぐ分かるだろ。
何で俺がこいつの為に・・・と一瞬思ったけど結局は自分が楽に旅をしたいから俺の為だよなと切り替えて、何も知らずにグーグー寝腐るカイトをチラ見する。
次にラキとシンをじろりと見て指差した。
「お前らどうせ暇だろ イチャイチャしてねぇでこいつ見張っとけ」
「イチャイチャしてねえよ」
「畏まりました。お気をつけて」
ったく無駄な時間喰っちまった。 腹も減ったし余計イライラしやがる。
これで返品もできなくて犯人も居なくて黒い花も無かったりしやがったらタダじゃおかねえ・・・。
「くっそ 何だよ歩き辛ぇなこの出入口、もっと頑丈に作れっ」(ガッシャガッシャ・・・)
「・・・・ 見張れだって」
「ふふ・・・ 素直じゃないですねぇ」
競技後に花の回収のお知らせがあったけどアースはもちろん無視しました。
ちなみにその黒い花がこちら(前のお話【warm × tender snow】より)
アースも「飲め」って言ってしまった手前強く怒れないのでした。
「・・・・・ ああ、山の上に咲いてたアレか」
「あー・・・(こいつに担がれて終わったあの競技か・・・)」
「あの花は山頂で沢山の光を浴びて育つので、煎じて飲むと浄化と魔除けの効果があるんですよ」
「へ・・・っ?」
「マジか・・・」
何だ・・・ すぐ治りそうじゃねぇか・・・
「ええ、ですからそれを使えばこの呪いもきっと解けるかと・・・」
「確か俺その花お前にやったよな 返せ」
「・・・・・ ・・・・・ねぇよ」
「はい?」
「あ?」
シンに向かって返せと言ったらラキが返事をした。
眉間にしわを寄せてそちらに振り返るとそいつの眉間にもしわがあって、次に「飲んだ・・・」と呟きやがった。
「あの・・・ラキ、もう一度すみませんお願いします」
「だから、あの日お茶に入れて飲んだって言ってんだろが」
「あ゛あ゛?」
「・・・・・あ、もしかして・・・ あのカフェですか・・・」
「お前が気持ち悪い顔で渡してくっからだろ」
「どういう事だよ説明しろ 捻り潰すぞ」
あの日山頂から持ち帰った黒い花を俺はシンにやった。
その後ギルドにいるラキを追いかけて行ったシンがその花をプレゼントする。
次に寄ったカフェで店員がラキの持っている花を見付けて「紅茶に入れると美味しいですよ」と言うので渡してふたりでイチャイチャしながら飲んだ。
「イチャイチャしてねえよ」
「気付きませんでした・・・。その紅茶のお陰で私、魔力が抑えられていたんですね。道理でその後の競技で狼から戻るのに苦労したはずです。」
「気付けよ」
「だからその賞品の弓を手に入れた時もこの呪いに気付けなかったんでしょう。でもこれで確かにあの黒い花の効果は抜群なのが証明されました。ね?」
「な?」
「うるせぇよ」
さっさと解決するかと思ったら結局そういうオチか・・・
「もういい」
「おや、どちらへ?」
弓を拾い上げて立ち上がるとシンが呑気に声を掛けてきた。
「変な大会開いて傍迷惑なもんを贈って寄越した事務局に決まってんだろ。クーリングオフだこんなもん」
こいつがいつまでもキレキャラのままだと今後の旅が面倒臭くてしょーがねぇ。
「そうですねぇ・・・」
「返さなくても呪い解けばずっと使えるようになるんじゃねえか?黒い花ならまだあの山にあるかもしんねえし」
「遠いわ。行ってもし全部摘まれてたら俺多分あの辺平地にするぞ」
「もしかしたらその事務局にこの呪いをかけた本人がいるかもしれませんよ」
「もしそこに犯人がいんならそいつに丁寧にお願いして解いて貰えばいい」
「"殴る"のは"お願い"って言わねぇからな」
「居なくても、あの大会ん時花を回収してたらしいからこっちも丁寧にお願いしたら分けてくれるかもしれねぇな」
「なんか・・・ 結構怒ってるなこいつ・・・」
「寝てないようですしね・・・」
場所は・・・この地方では結構有名らしいからその辺で聞けばすぐ分かるだろ。
何で俺がこいつの為に・・・と一瞬思ったけど結局は自分が楽に旅をしたいから俺の為だよなと切り替えて、何も知らずにグーグー寝腐るカイトをチラ見する。
次にラキとシンをじろりと見て指差した。
「お前らどうせ暇だろ イチャイチャしてねぇでこいつ見張っとけ」
「イチャイチャしてねえよ」
「畏まりました。お気をつけて」
ったく無駄な時間喰っちまった。 腹も減ったし余計イライラしやがる。
これで返品もできなくて犯人も居なくて黒い花も無かったりしやがったらタダじゃおかねえ・・・。
「くっそ 何だよ歩き辛ぇなこの出入口、もっと頑丈に作れっ」(ガッシャガッシャ・・・)
「・・・・ 見張れだって」
「ふふ・・・ 素直じゃないですねぇ」
競技後に花の回収のお知らせがあったけどアースはもちろん無視しました。
ちなみにその黒い花がこちら(前のお話【warm × tender snow】より)


アースも「飲め」って言ってしまった手前強く怒れないのでした。
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漫【トイカ】 11




◆次回のお話がまだ半分位しか書けてなくてちょいとペースダウン中です。
予定通りUPできないかもしれないのでのんびり気長にお付き合い頂けると幸いです。
いつも拍手やポチッやコメント♥ありがとうございます。本当に嬉しくて励みになります♡
寒くなったり暑くなったり私のように優柔不断な気候ですが体調など崩されませんように✩
たまにツイッタでラクガキとか晒してたりします・・・。
◆追記でコメントお返事
【トイカ】12
この間のくだらねぇ大会をしきってる事務局とかいう奴の場所は宿屋の親父に訊いたら一発で分かった。
このバカでけぇ街の一番バカでけぇ建物で、すぐ着いたのはいいもののどこから入るのか入り口を探して無駄にグルッと歩いちまった。
適当に中をうろついて偉そうな奴を探してたらでけぇ扉の奥から話し声が聞こえてくる。
鍵が掛かってるらしく押しても開かなくてノックしても返事が無いのでしょうがなく普通に入ったら、
おーおー、いるいる・・・。
真面目そうなおっさんらと、・・・・・変な頭のおっさんが。
・・・ こいつ確か大会ん時ステージの上で仕切ってた司会のおっさんだよな。
なんだ・・・? 頭半分暑いのか・・・
「何だい? 突然入って来て、乱暴だねぇ。 怪我人は居ないか?」
「・・・お前、この中で一番偉そうだな。随分舐めた真似してくれんじゃねぇか」
「何の事だい? ・・・・! そうか・・・ 使ったんだねそれ」
「・・・やっぱ知ってんのか」
俺の後ろに背負ってる瑠璃色の弓を視界に捉えた途端、何かを察したように顔色が変わる。
思った通り、この弓が呪われてるって最初から知ってて大会の優勝賞品にしてやがった。
頭の奥がヂリヂリと熱い。
言葉を続けようと口を開くと半分とっ散らかったその頭が先に声を出した。
「・・・? でも君は何ともなさそうだねぇ。先日大会で見た君のままだ」
「俺んじゃねぇからな」
「という事は別の子が・・・? それは気の毒に・・・」
「ふざけんなこら どういうつもりだ こんな不良品寄越しやがって」
「まぁまぁ、そんな怖い目で見ないでくれ。その弓はここの地下倉庫に保管されていたものでね。見付けた時にそれには気付いていたんだが今年の大会の賞品がどうしても間に合わなくてねぇ。ついやっちゃった」
「やっちゃったじゃねぇよ 解けよ呪い」
「私としても出来る事ならもちろんそうしたいが・・・どうにもややこしい術式らしくて無理だったんだ。だが数多の猛者の頂点に立つ者ならもしや解けるのではと思って出してみたんだが・・・、あんなに断トツに強い君達でもどうにもならなかったのかい。残念だな・・・無理なら期待させないでくれ。」
「自分家から出てきた問題を人任せにすんじゃねぇ んで何でちょっと俺たちが悪いみたいになってんだよ」
耳から大量の毛を生やして真顔で遺憾の意を示されて、言われたこっちも遺憾だよ。
「こんなん使えねぇから返すわ それか他のと交換しろよ何かあんだろこんだけでけぇ街なんだからよ」
「いいのかい手放して。呪われてはいるがそれは確かに幻の弓だ。世界が認める最高傑作なのは確かだよ。弓を扱う者なら一度試すだけでその凄さがよく分かったはずだ。・・・それに君達は弓を手に入れるのが目的であの大会に参加したんじゃなかったかな」
最高傑作? この弓が?
カイトがあの時目玉をキラキラさせてたのはそういう事だったのか・・・
呪いの効果かと思ってた・・・
「誰が呪われた装備品を欲しがるんだよ お前ただ単にこの弓押し付けたいだけだろ」
「そうかもしれないね」
開き直る所か返品を受け付けねぇとかどんなクソ組織だっつの
・・・・でもこの弓、確かにあいつ気に入ってたみてぇだし ・・・・。
・ ・ ・ 面 倒 臭 ぇ
あ、そうだ
「じゃぁいいわ・・・ おい、黒い花寄越せよ あるだろここに」
「ん・・・?」
「大会ん時集めてたあの花だよ どこにある」
「無駄だよ」
「あ゛?」
「どこぞで魔除けの効果がある事を聞いてきたんだろう? なるほど何も考えずにここまで来た訳では無さそうだね」
「・・・・」
「確かにトルティリリアには解呪の効果がある。だがそんな事は旅人の君より我々の方があの花についてよく知っているんだよ。・・・試さなかったと思うかい?」
・・・つまり、その花でも呪いは解けなかったって事か
・・・・ しかし腹立つなこの喋り方・・・
「いいから寄越せ 俺がやる」
「まぁ自分で試した方が納得するだろうね。でも残念な事にあの花の成分は魔物にも効果があるのでね、全て加工して街の周囲に散布済みだ」
「は?」
「だからここはおろかこの街のどこにも一本も残っていないよ」
「はぁあ゛??」
「来年になったらまた咲くからそれまで待つかい?」
「待てるかっ」
「そうか・・・ いやぁ無駄足ご苦労だったね。いらないならどこかの武器屋に売ってきたらどうだい?呪われてはいるが名のある弓だ。それなりに高値で引き取ってくれるだろう。手放して暫くしたら呪いも解けるかもしれないよ」
なんだそれ
な ん だ そ れ
まさか・・・
「・・・・じゃあ、この呪いかけた奴は誰だ 俺がそいつに解かせてやる」
「知るわけないだろう」
「心当たりは? お前らなら山ほどあんだろが」
「あったら既に行動しているよ 我々は綺麗な会社だからね 恨まれるような事はしていない。よって誰がこの呪いをかけたかさっぱり分からないんだ」
まさか・・・
嫌な予感が全部当たる・・・だと・・・
・・・でも正直、そんな気はしてたんだ
昔からそういう「気」がする時は大抵当たる
こんな時に嫌な方向に能力発揮すんじゃねーよ・・・
返品もできなくて 花も無くて 犯人も居ねぇ
こいつの言う通り、正に無駄足だった。
はあ・・・本当にこれ売っちまうかな・・・
もういい、と吐き捨てて踵を返すと壁際に避難していた他のおっさんらのひとりがボソリと呟いた。
「これだけ大きい街だから他に方法を知ってる人がいるかもしれませんよ。他の花を使ってみたり、まじない師を訪ねたり・・・あと占いとか・・・」
「うらない・・・」
「おお、君賢いねぇ」
うらない・・・
なんか最近どっかでその言葉を聞いたな
・・・・
そうだ・・・
あ~・・・また戻んねぇと・・・
「マジでホント・・・~~ったく、ぁああっ!!」
イラついて言葉にならなくて頭をガシガシ掻きながら会議室を出て行く俺に半分剛毛が「頑張りたまえ」なんて声を掛ける。
「お前の方が頑張れよ! 次俺の視界に入ったら刈るぞ!」
「・・・? "狩る"のイントネーションが違うよ 君地方出身だね」
・・・もういい こいつは無視だ
「くっそ 歩き辛ぇなっ! お前らもいつまでもビビッてねぇで片せっ!」(ガッシャガッシャ)
「「怖ぇぇ・・・、何だあれ・・・」」
「「でも結局テンダラーさんにあの頭はバレなかったな・・・ 危機は去った・・・」」
「「バッカ、緊急事態なのは何も変わってねぇよっ」」
「いやぁ・・・竜巻のような青年だったねぇ・・・ さぁ皆で片付けよう 会議はまだ終わっていないよ。予定が詰まってるんだ これくらいで延期にはしていられない。ほら君、資料が落ちているよ 私が拾っておいてあげるから早くほうきを持って来なさい」
「「・・・・っ!!!! (やっべ しゃがむっ!!!)」」
「ん? 何だね君たち こんな時にまだバイブプレイか」
「「違います」」
テンダラーさん話長過ぎ。
更新を待って頂いてた方(もしいらっしゃったら)すみませんお待たせしました。
次回も更にのんびりお待ち頂けたら幸いでございます(汗)
◆追記でコメントお返事♪
このバカでけぇ街の一番バカでけぇ建物で、すぐ着いたのはいいもののどこから入るのか入り口を探して無駄にグルッと歩いちまった。
適当に中をうろついて偉そうな奴を探してたらでけぇ扉の奥から話し声が聞こえてくる。
鍵が掛かってるらしく押しても開かなくてノックしても返事が無いのでしょうがなく普通に入ったら、
おーおー、いるいる・・・。
真面目そうなおっさんらと、・・・・・変な頭のおっさんが。
・・・ こいつ確か大会ん時ステージの上で仕切ってた司会のおっさんだよな。
なんだ・・・? 頭半分暑いのか・・・
「何だい? 突然入って来て、乱暴だねぇ。 怪我人は居ないか?」
「・・・お前、この中で一番偉そうだな。随分舐めた真似してくれんじゃねぇか」
「何の事だい? ・・・・! そうか・・・ 使ったんだねそれ」
「・・・やっぱ知ってんのか」
俺の後ろに背負ってる瑠璃色の弓を視界に捉えた途端、何かを察したように顔色が変わる。
思った通り、この弓が呪われてるって最初から知ってて大会の優勝賞品にしてやがった。
頭の奥がヂリヂリと熱い。
言葉を続けようと口を開くと半分とっ散らかったその頭が先に声を出した。
「・・・? でも君は何ともなさそうだねぇ。先日大会で見た君のままだ」
「俺んじゃねぇからな」
「という事は別の子が・・・? それは気の毒に・・・」
「ふざけんなこら どういうつもりだ こんな不良品寄越しやがって」
「まぁまぁ、そんな怖い目で見ないでくれ。その弓はここの地下倉庫に保管されていたものでね。見付けた時にそれには気付いていたんだが今年の大会の賞品がどうしても間に合わなくてねぇ。ついやっちゃった」
「やっちゃったじゃねぇよ 解けよ呪い」
「私としても出来る事ならもちろんそうしたいが・・・どうにもややこしい術式らしくて無理だったんだ。だが数多の猛者の頂点に立つ者ならもしや解けるのではと思って出してみたんだが・・・、あんなに断トツに強い君達でもどうにもならなかったのかい。残念だな・・・無理なら期待させないでくれ。」
「自分家から出てきた問題を人任せにすんじゃねぇ んで何でちょっと俺たちが悪いみたいになってんだよ」
耳から大量の毛を生やして真顔で遺憾の意を示されて、言われたこっちも遺憾だよ。
「こんなん使えねぇから返すわ それか他のと交換しろよ何かあんだろこんだけでけぇ街なんだからよ」
「いいのかい手放して。呪われてはいるがそれは確かに幻の弓だ。世界が認める最高傑作なのは確かだよ。弓を扱う者なら一度試すだけでその凄さがよく分かったはずだ。・・・それに君達は弓を手に入れるのが目的であの大会に参加したんじゃなかったかな」
最高傑作? この弓が?
カイトがあの時目玉をキラキラさせてたのはそういう事だったのか・・・
呪いの効果かと思ってた・・・
「誰が呪われた装備品を欲しがるんだよ お前ただ単にこの弓押し付けたいだけだろ」
「そうかもしれないね」
開き直る所か返品を受け付けねぇとかどんなクソ組織だっつの
・・・・でもこの弓、確かにあいつ気に入ってたみてぇだし ・・・・。
・ ・ ・ 面 倒 臭 ぇ
あ、そうだ
「じゃぁいいわ・・・ おい、黒い花寄越せよ あるだろここに」
「ん・・・?」
「大会ん時集めてたあの花だよ どこにある」
「無駄だよ」
「あ゛?」
「どこぞで魔除けの効果がある事を聞いてきたんだろう? なるほど何も考えずにここまで来た訳では無さそうだね」
「・・・・」
「確かにトルティリリアには解呪の効果がある。だがそんな事は旅人の君より我々の方があの花についてよく知っているんだよ。・・・試さなかったと思うかい?」
・・・つまり、その花でも呪いは解けなかったって事か
・・・・ しかし腹立つなこの喋り方・・・
「いいから寄越せ 俺がやる」
「まぁ自分で試した方が納得するだろうね。でも残念な事にあの花の成分は魔物にも効果があるのでね、全て加工して街の周囲に散布済みだ」
「は?」
「だからここはおろかこの街のどこにも一本も残っていないよ」
「はぁあ゛??」
「来年になったらまた咲くからそれまで待つかい?」
「待てるかっ」
「そうか・・・ いやぁ無駄足ご苦労だったね。いらないならどこかの武器屋に売ってきたらどうだい?呪われてはいるが名のある弓だ。それなりに高値で引き取ってくれるだろう。手放して暫くしたら呪いも解けるかもしれないよ」
なんだそれ
な ん だ そ れ
まさか・・・
「・・・・じゃあ、この呪いかけた奴は誰だ 俺がそいつに解かせてやる」
「知るわけないだろう」
「心当たりは? お前らなら山ほどあんだろが」
「あったら既に行動しているよ 我々は綺麗な会社だからね 恨まれるような事はしていない。よって誰がこの呪いをかけたかさっぱり分からないんだ」
まさか・・・
嫌な予感が全部当たる・・・だと・・・
・・・でも正直、そんな気はしてたんだ
昔からそういう「気」がする時は大抵当たる
こんな時に嫌な方向に能力発揮すんじゃねーよ・・・
返品もできなくて 花も無くて 犯人も居ねぇ
こいつの言う通り、正に無駄足だった。
はあ・・・本当にこれ売っちまうかな・・・
もういい、と吐き捨てて踵を返すと壁際に避難していた他のおっさんらのひとりがボソリと呟いた。
「これだけ大きい街だから他に方法を知ってる人がいるかもしれませんよ。他の花を使ってみたり、まじない師を訪ねたり・・・あと占いとか・・・」
「うらない・・・」
「おお、君賢いねぇ」
うらない・・・
なんか最近どっかでその言葉を聞いたな
・・・・
そうだ・・・
あ~・・・また戻んねぇと・・・
「マジでホント・・・~~ったく、ぁああっ!!」
イラついて言葉にならなくて頭をガシガシ掻きながら会議室を出て行く俺に半分剛毛が「頑張りたまえ」なんて声を掛ける。
「お前の方が頑張れよ! 次俺の視界に入ったら刈るぞ!」
「・・・? "狩る"のイントネーションが違うよ 君地方出身だね」
・・・もういい こいつは無視だ
「くっそ 歩き辛ぇなっ! お前らもいつまでもビビッてねぇで片せっ!」(ガッシャガッシャ)
「「怖ぇぇ・・・、何だあれ・・・」」
「「でも結局テンダラーさんにあの頭はバレなかったな・・・ 危機は去った・・・」」
「「バッカ、緊急事態なのは何も変わってねぇよっ」」
「いやぁ・・・竜巻のような青年だったねぇ・・・ さぁ皆で片付けよう 会議はまだ終わっていないよ。予定が詰まってるんだ これくらいで延期にはしていられない。ほら君、資料が落ちているよ 私が拾っておいてあげるから早くほうきを持って来なさい」
「「・・・・っ!!!! (やっべ しゃがむっ!!!)」」
「ん? 何だね君たち こんな時にまだバイブプレイか」
「「違います」」
テンダラーさん話長過ぎ。
更新を待って頂いてた方(もしいらっしゃったら)すみませんお待たせしました。
次回も更にのんびりお待ち頂けたら幸いでございます(汗)
◆追記でコメントお返事♪