【Bad Flower Garden】 じゅうに
「・・・やっと寝たな」
裸で気持ちよさそうに眠るカイトを、ベッドに腰掛けたアースが見下ろしている。
寝息と共に揺れる柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でると静かに立ち上がって部屋を出ていった。
「あんだけヤったんだ。朝まで起きねぇだろ。」
いつの間にか日付が変わり時刻はすでに深夜2時を回っていた。
「もーう無理だ。ヤリ終わった後の一服がしてぇ・・・。朝まで待ってたら死ぬ。
今のうちあの街戻って あいつが起きる前に帰ってくりゃあ問題ねぇだろ。」
以前、初めて逢った時、カイトは旅に出始めたばかりで、この世界の現状を何も知らなかった。
いつの頃からか 夜は人をも襲う凶暴な魔物が活発に動き回る時間になり、大抵の人間は朝になるまで外に出ないというのがこの世界の常識になっている。
そんな事も知らない田舎者のカイトは魔物と聞いただけで見てみたいと目を輝かせた。
そこで人一倍好奇心旺盛なカイトを大人しくさせる為、少々大袈裟に尾ひれ所か背ビレも胸ビレも付けて
「夜は外に出るな!」 と脅した事があった。
「まぁ、 危険っつっても この街の気の抜けた外壁からして、この辺りはそんなに危ねぇ奴はいねぇみたいだけどな。」
街で雇う護衛や出立ての冒険者よりは多少腕の立つアースは、ひとりで旅をしていた頃からちょくちょくこうやって外に出てはギルドの討伐対象に登録されている魔物を狩ったり捕まえたりして、そこで得た報酬を旅の資金に充てていた。
カイトに出逢ってからも何度か夜中に抜け出すことはあったが、いずれも眠っている間に静かにこなしてくるのでカイトはその事を知らないでいる。
外に出るなと言った本人が、ひょうひょうと夜道を平気で歩いているなんて事が知られたら絶対に自分も付いて行くと言うに違いない。
万が一があってもカイトを守る自信はあるが、それよりも自分の仕事を余り見せたくないという思いもどこかにあった。
「ん~~~~・・・・ っはぁ ・・・くさっ」
外に出て思い切り伸びをしながら深呼吸をする。
街中に咲く花の甘い香りがアースを包んだ。
「やっぱ慣れねぇなこの匂いは・・・ 頭がグラグラする。」
香りを誤魔化すようにパーカのポケットから飴を取り出し口に放り込む。
「お、チェリーなんとか味だ バカイトバカイト」
街の外に続く舗装された幅の広い道を歩いていくと建物から明かりが漏れているのに気付いた。
「ん? まだ誰か起きてんのか・・・ あぁ、さっきのメシ屋か」
通り過ぎ様に窓から中がチラリと見える。
昼に2人の前に料理を運んできて少し話をした、人のいいあの大男が大声で笑っている。
夜中だというのにたくさんの客が集まっていて、宴会をしているようだ。
楽しそうな笑い声が絶え間無く外に漏れ、相当盛り上がっている。
「あのおっさん すげぇ体力だな」
「はっはっは! まだあるぞー! 飲め飲めー! 前祝いだぁー!! はっはっはっは!」
「いや~頑張った! これでまた楽しく暮らせるじゃねぇか!」
「俺んとこの今回の収穫率は前年比150%だぜ! 天候に恵まれたからな! 興奮して鼻血出らぁ!」
「出てるぜ おやっさん 上からも下からも」
「おっと浮かれて飲み過ぎた」
「「ぎゃっはっはっは・・・!!」」
「綺麗な花とおっさんは反比例すんのか・・・。 むっさい宴会だ」
裸で気持ちよさそうに眠るカイトを、ベッドに腰掛けたアースが見下ろしている。
寝息と共に揺れる柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でると静かに立ち上がって部屋を出ていった。
「あんだけヤったんだ。朝まで起きねぇだろ。」
いつの間にか日付が変わり時刻はすでに深夜2時を回っていた。
「もーう無理だ。ヤリ終わった後の一服がしてぇ・・・。朝まで待ってたら死ぬ。
今のうちあの街戻って あいつが起きる前に帰ってくりゃあ問題ねぇだろ。」
以前、初めて逢った時、カイトは旅に出始めたばかりで、この世界の現状を何も知らなかった。
いつの頃からか 夜は人をも襲う凶暴な魔物が活発に動き回る時間になり、大抵の人間は朝になるまで外に出ないというのがこの世界の常識になっている。
そんな事も知らない田舎者のカイトは魔物と聞いただけで見てみたいと目を輝かせた。
そこで人一倍好奇心旺盛なカイトを大人しくさせる為、少々大袈裟に尾ひれ所か背ビレも胸ビレも付けて
「夜は外に出るな!」 と脅した事があった。
「まぁ、 危険っつっても この街の気の抜けた外壁からして、この辺りはそんなに危ねぇ奴はいねぇみたいだけどな。」
街で雇う護衛や出立ての冒険者よりは多少腕の立つアースは、ひとりで旅をしていた頃からちょくちょくこうやって外に出てはギルドの討伐対象に登録されている魔物を狩ったり捕まえたりして、そこで得た報酬を旅の資金に充てていた。
カイトに出逢ってからも何度か夜中に抜け出すことはあったが、いずれも眠っている間に静かにこなしてくるのでカイトはその事を知らないでいる。
外に出るなと言った本人が、ひょうひょうと夜道を平気で歩いているなんて事が知られたら絶対に自分も付いて行くと言うに違いない。
万が一があってもカイトを守る自信はあるが、それよりも自分の仕事を余り見せたくないという思いもどこかにあった。
「ん~~~~・・・・ っはぁ ・・・くさっ」
外に出て思い切り伸びをしながら深呼吸をする。
街中に咲く花の甘い香りがアースを包んだ。
「やっぱ慣れねぇなこの匂いは・・・ 頭がグラグラする。」
香りを誤魔化すようにパーカのポケットから飴を取り出し口に放り込む。
「お、チェリーなんとか味だ バカイトバカイト」
街の外に続く舗装された幅の広い道を歩いていくと建物から明かりが漏れているのに気付いた。
「ん? まだ誰か起きてんのか・・・ あぁ、さっきのメシ屋か」
通り過ぎ様に窓から中がチラリと見える。
昼に2人の前に料理を運んできて少し話をした、人のいいあの大男が大声で笑っている。
夜中だというのにたくさんの客が集まっていて、宴会をしているようだ。
楽しそうな笑い声が絶え間無く外に漏れ、相当盛り上がっている。
「あのおっさん すげぇ体力だな」
「はっはっは! まだあるぞー! 飲め飲めー! 前祝いだぁー!! はっはっはっは!」
「いや~頑張った! これでまた楽しく暮らせるじゃねぇか!」
「俺んとこの今回の収穫率は前年比150%だぜ! 天候に恵まれたからな! 興奮して鼻血出らぁ!」
「出てるぜ おやっさん 上からも下からも」
「おっと浮かれて飲み過ぎた」
「「ぎゃっはっはっは・・・!!」」
「綺麗な花とおっさんは反比例すんのか・・・。 むっさい宴会だ」
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【Bad Flower Garden】 じゅうさん
「まぁ いいや こんな夜中に馬鹿騒ぎしてるくらいだ この辺りはそれだけ平和なんだろ」
よく見ると明かりが点いているのはこの店だけでは無く、遠くにもぽつぽつと酒場らしき所があり、そこにも客が大勢来ているのか、微かに楽しげな笑い声が聞こえてくる。
街というより村に近いとはいっても全体はとても広々としていて、川も湖もみんな大きい。
花畑の割合が敷地の殆どを占めていても建物もそれなりにたくさんあった。
その様子から、住んでいる人間も思ったよりも多いようだ。
おっさんだらけの宴会に興味の無いアースは、口の中でコロコロと飴を転がしながら街の出口に向かってまた歩き出す。
「しっかし驚いたな。 外から人が来るなんてなぁ随分久し振りだろう」
「・・・ん?」
ひとりのおっさんが放った言葉にアースはもう一度足を止める。
「気にするな。ただの旅人だったじゃねぇか。しかもガキ2人だ。 心配ねえさ。」
「あ~・・・ 俺でっけえ方に水かけちまった。 ・・・狩られるかと思った。」
「いいって。 煙草ポイ捨てされて火事にでもなってみろ。商売道具の大事な花が燃えたら俺たちゃ一貫の終わりだ。
水でも何でもかけりゃいいさ。 それに花の為にお前が狩られても俺は困らねぇぞ。」
「俺も困らねぇな。」
「俺もだ。」
「「ぎゃっはっはっはっは・・・!!」」
「・・・ お前らあいつのぶち切れた目を見てねぇから そんな事言えるんだよ。 すげー怖かったって。」
「若僧の睨みにビビるんじゃねぇよ お前いい年こいて」
「・・・ そうじゃねえよ・・・ あの顔の模様も不気味だったけど・・・ ・・・ ・・・あの目はやべえって・・・。
ちっこい方が止めなかったらたぶん俺狩られてた・・・。 足が竦んでこの街の名前も咬んだし・・・。」
「それはお前滑舌悪ぃからだろが。 あの顔の変な模様も、今流行りのタートルとか言う奴だろ」
「タトゥーだ馬鹿」
「・・・・・・。(何だ いつもの悪口大会か。 くだらねぇ)」
「で? そのガキ2人は今は宿に泊まってんだろうな」
「夕方大量の酒抱えて宿に入ってくの見たぜ。いい加減寝ただろう。」
「大丈夫だって 心配すんじゃねぇよ。 ただの客だって。 ちっこい方はこの街に相当浮かれてたしな。」
「でかい方は煙草吸いたくてイライラしてたみたいだから、明日んなったら出て行くだろ。」
「おーい 鍛冶屋の親父はまだ来てねーのかー。」
「もうすぐ来るとさ。 ・・・あの旅のにーちゃんたちは放っといていいと思うぞ はっはっは!」
「でもよ・・・。 気になるんだよ。何でこの時期にこの街に来れたんだ・・・。」
「・・・・? どういう意味だ?」
よく見ると明かりが点いているのはこの店だけでは無く、遠くにもぽつぽつと酒場らしき所があり、そこにも客が大勢来ているのか、微かに楽しげな笑い声が聞こえてくる。
街というより村に近いとはいっても全体はとても広々としていて、川も湖もみんな大きい。
花畑の割合が敷地の殆どを占めていても建物もそれなりにたくさんあった。
その様子から、住んでいる人間も思ったよりも多いようだ。
おっさんだらけの宴会に興味の無いアースは、口の中でコロコロと飴を転がしながら街の出口に向かってまた歩き出す。
「しっかし驚いたな。 外から人が来るなんてなぁ随分久し振りだろう」
「・・・ん?」
ひとりのおっさんが放った言葉にアースはもう一度足を止める。
「気にするな。ただの旅人だったじゃねぇか。しかもガキ2人だ。 心配ねえさ。」
「あ~・・・ 俺でっけえ方に水かけちまった。 ・・・狩られるかと思った。」
「いいって。 煙草ポイ捨てされて火事にでもなってみろ。商売道具の大事な花が燃えたら俺たちゃ一貫の終わりだ。
水でも何でもかけりゃいいさ。 それに花の為にお前が狩られても俺は困らねぇぞ。」
「俺も困らねぇな。」
「俺もだ。」
「「ぎゃっはっはっはっは・・・!!」」
「・・・ お前らあいつのぶち切れた目を見てねぇから そんな事言えるんだよ。 すげー怖かったって。」
「若僧の睨みにビビるんじゃねぇよ お前いい年こいて」
「・・・ そうじゃねえよ・・・ あの顔の模様も不気味だったけど・・・ ・・・ ・・・あの目はやべえって・・・。
ちっこい方が止めなかったらたぶん俺狩られてた・・・。 足が竦んでこの街の名前も咬んだし・・・。」
「それはお前滑舌悪ぃからだろが。 あの顔の変な模様も、今流行りのタートルとか言う奴だろ」
「タトゥーだ馬鹿」
「・・・・・・。(何だ いつもの悪口大会か。 くだらねぇ)」
「で? そのガキ2人は今は宿に泊まってんだろうな」
「夕方大量の酒抱えて宿に入ってくの見たぜ。いい加減寝ただろう。」
「大丈夫だって 心配すんじゃねぇよ。 ただの客だって。 ちっこい方はこの街に相当浮かれてたしな。」
「でかい方は煙草吸いたくてイライラしてたみたいだから、明日んなったら出て行くだろ。」
「おーい 鍛冶屋の親父はまだ来てねーのかー。」
「もうすぐ来るとさ。 ・・・あの旅のにーちゃんたちは放っといていいと思うぞ はっはっは!」
「でもよ・・・。 気になるんだよ。何でこの時期にこの街に来れたんだ・・・。」
「・・・・? どういう意味だ?」
【Bad Flower Garden】 じゅうよん
「道にでも迷って偶然辿り着いたんだろ。 たまにはこんな事もあらぁな。」
「はっはっは! 念の為ハイノ草とサージ草入りのメシをたっぷり御馳走してやったから大丈夫だ。」
「あ~・・・ だからあのちっこいガキ・・・ あれ相ぉ~当ぉ~キてただろ 食わせ過ぎじゃねえか」
「いいんだよ。 もし完全にキマってたら俺らみたいに一生ここに住めばいい。はっはっはっは!」
「・・・・・ ハイノ・・・・・ サージ・・・ どっかで聞いた名だ・・・ 昔・・・ 確か・・・ 思い出せ思い出せ・・・」
「浮かれたまんま明日出てってくれさえすればいいんだ。すぐにここの事なんか忘れちまうさ。」
「宿の周りもハイノとサージばっか植えてあるからな。今頃ぐーすか寝てんだろ。」
「ってお前宿屋の親父が何でここにいるんだよ。ちゃんと見張ってろって。」
「いーじゃねーか。俺にも飲ませろよ。」
「・・・さてと・・・じゃあ そろそろ準備するか。持って来るから大人しく待ってろよ はっはっは・・・!」
「・・・ 待て・・・・ 待て、何か・・・ やばいヤツだった気がする・・・」
急いで過去の記憶を探っていく。近くて遠い記憶。数年前。ひとりで旅に出る前の記憶。
きつく目を閉じ片手で顔を覆うと 遡る記憶に意識を集中した。
そんなアースには全く気付くはずも無く、街のおっさんたちは何やら始める準備をしている。
程無く、店長が小さな試験管のような細くて小さいガラス管を抱えて奥から出て来た。
中に何か入っているようだが大きな手に握りこまれていてよく見えない。
「ひとり1本だぞー。 落とすなよ。」
「分かってるよ。これがいくらするか位、作ってる俺たちが一番よく知ってるわい。」
「早くくれよ! おせーよ。 ほれ早く・・・!」
「ちゃんと全員分あるから焦んなって。ほらよ。」
「そんじゃ、 一緒に・・・」
「・・・っ!!」
妙な胸騒ぎと思い出したくない過去とがカチリと合わさった次の瞬間、アースの青い瞳に黒い影が混じる。
いつものやる気の無い表情はすっかり消え、気が付くと目の前の酒場のドアを思い切り蹴破っていた。
所狭しと集まって騒いでいた男達が一斉にアースを見た。
あれだけ賑やかだった場が水を打ったように静まる。
砕けた扉の崩れ落ちる音だけが建物内に響き渡った。
「思い出した・・・。 俺、それ知ってるぜ・・・。」
「に、にににににににーちゃ、ん・・・っ! 何っ・・・!」
「よお おっさんだらけで楽しそうだな」
「おま・・・ こんな時間に何で」
「何で起きてるか? ・・・だよなぁ ハイノとサージ漬け、だもんなぁ」
「「・・・・っ」」
「ハイノは催眠、サージは暗示・・・ だったか」
「な!何でそんな事・・・っ! 普通の奴が知ってるはず無・・・っ」
「ていうかあいつ何で効いてないんだ?」
「俺の親父は医者で。俺の国は医療大国で。ガキの頃に家の書庫で一度読んだ事がある。
おかしいと思ったんだ。あいつが綺麗綺麗言ってアホみたいに遊んでたあの川、
俺には言う程綺麗だとは思えなかったからな・・・。
お前らが俺らに会う度に何気にそういう暗示をかけてたんだろ。
・・・あのアホにはばっちり効いてたみたいだな。」
口元に薄っすらと笑みを浮かべ、翳りを含んだ瞳で、驚きを隠せないおっさん達をぐるりと睨み付けた。
「にーちゃんの方がちっこいにーちゃんよりも大量に喰ってたのに何で・・・」
「ガキの頃からその辺の類のヤツは毎日身体に入れられてたからな。もう慣れて効かねぇ。その所為で気付かなかった。
・・・ハイノとサージは中毒になりにくいから使い易い。
やべぇのはお前らが持ってるそれだ。この2つを掛け合わせるととんでもなくぶっ飛んだもんになる。」
「だから言ったんだ・・・! こいつ怖えって! 目が全然笑ってねえよ! 街に入れなきゃ良かったんだ!」
「その薬は強力だぜ。この街に住んでる奴らは全員そいつにハマった薬物依存症軍団てとこか。
皆仲良くせっせと大量に栽培して裏に流してんだろ。」
「・・・・ぉぃぃぃ バレてるぜ・・・ どうする ・・・チクられたらこの街終わりだぞ・・・」
「馬っ鹿野郎 ガキひとりに潰されてたまるか」
「薬が効かねぇんなら捕まえて閉じ込めておこう 地下はまだ空いてるはずだ」
「よし・・・ おい、にーちゃん旅してるんだろう?どうだ旅の資金をいくらでも出してやるからこの事は忘れてくんねえかなあ はっはっは!」
「・・・・ それはいい。金はいくらあっても困らねえだろ?そうしなよ。・・・そしたらあのちっこいガキにも何もしねえぞ。」
「・・・・・・・・・・。」
「あのガキは大事な仲間なんだろ? もう旅ができなくなってもいいのかい?」
「・・・・・ふざけんな」
「うんうん じゃあすぐに用意しよう! こっちに・・・」
「お前らの悪事になんか興味無えよ 面倒くせえ・・・ 勝手にやれ」
奥歯でがりがりと音を立てて飴を砕く。
残った棒を噛み切ると床の上に吐き捨てた。
「は? じゃあ何をそんなに怒って・・・」
「あ・・・ 仲間のガキに催眠かけたこと怒ってんじゃねえか?」
「だ、大丈夫だってにーちゃん! 街を出ればちゃんと元に戻るって! 身体にも残らねえから心配ねえ!」
「うるせえ・・・ 何で・・・俺が・・・」
「は?? 何?」
「何で俺が! お前らのくだらねえ趣味の為に禁煙しなきゃならねえんだあああああああああ━━━━━━!!!!!!!」
「「そっち━━━━━━━━━━━━っ!!!???」」
「はっはっは! 念の為ハイノ草とサージ草入りのメシをたっぷり御馳走してやったから大丈夫だ。」
「あ~・・・ だからあのちっこいガキ・・・ あれ相ぉ~当ぉ~キてただろ 食わせ過ぎじゃねえか」
「いいんだよ。 もし完全にキマってたら俺らみたいに一生ここに住めばいい。はっはっはっは!」
「・・・・・ ハイノ・・・・・ サージ・・・ どっかで聞いた名だ・・・ 昔・・・ 確か・・・ 思い出せ思い出せ・・・」
「浮かれたまんま明日出てってくれさえすればいいんだ。すぐにここの事なんか忘れちまうさ。」
「宿の周りもハイノとサージばっか植えてあるからな。今頃ぐーすか寝てんだろ。」
「ってお前宿屋の親父が何でここにいるんだよ。ちゃんと見張ってろって。」
「いーじゃねーか。俺にも飲ませろよ。」
「・・・さてと・・・じゃあ そろそろ準備するか。持って来るから大人しく待ってろよ はっはっは・・・!」
「・・・ 待て・・・・ 待て、何か・・・ やばいヤツだった気がする・・・」
急いで過去の記憶を探っていく。近くて遠い記憶。数年前。ひとりで旅に出る前の記憶。
きつく目を閉じ片手で顔を覆うと 遡る記憶に意識を集中した。
そんなアースには全く気付くはずも無く、街のおっさんたちは何やら始める準備をしている。
程無く、店長が小さな試験管のような細くて小さいガラス管を抱えて奥から出て来た。
中に何か入っているようだが大きな手に握りこまれていてよく見えない。
「ひとり1本だぞー。 落とすなよ。」
「分かってるよ。これがいくらするか位、作ってる俺たちが一番よく知ってるわい。」
「早くくれよ! おせーよ。 ほれ早く・・・!」
「ちゃんと全員分あるから焦んなって。ほらよ。」
「そんじゃ、 一緒に・・・」
「・・・っ!!」
妙な胸騒ぎと思い出したくない過去とがカチリと合わさった次の瞬間、アースの青い瞳に黒い影が混じる。
いつものやる気の無い表情はすっかり消え、気が付くと目の前の酒場のドアを思い切り蹴破っていた。
所狭しと集まって騒いでいた男達が一斉にアースを見た。
あれだけ賑やかだった場が水を打ったように静まる。
砕けた扉の崩れ落ちる音だけが建物内に響き渡った。
「思い出した・・・。 俺、それ知ってるぜ・・・。」
「に、にににににににーちゃ、ん・・・っ! 何っ・・・!」
「よお おっさんだらけで楽しそうだな」
「おま・・・ こんな時間に何で」
「何で起きてるか? ・・・だよなぁ ハイノとサージ漬け、だもんなぁ」
「「・・・・っ」」
「ハイノは催眠、サージは暗示・・・ だったか」
「な!何でそんな事・・・っ! 普通の奴が知ってるはず無・・・っ」
「ていうかあいつ何で効いてないんだ?」
「俺の親父は医者で。俺の国は医療大国で。ガキの頃に家の書庫で一度読んだ事がある。
おかしいと思ったんだ。あいつが綺麗綺麗言ってアホみたいに遊んでたあの川、
俺には言う程綺麗だとは思えなかったからな・・・。
お前らが俺らに会う度に何気にそういう暗示をかけてたんだろ。
・・・あのアホにはばっちり効いてたみたいだな。」
口元に薄っすらと笑みを浮かべ、翳りを含んだ瞳で、驚きを隠せないおっさん達をぐるりと睨み付けた。
「にーちゃんの方がちっこいにーちゃんよりも大量に喰ってたのに何で・・・」
「ガキの頃からその辺の類のヤツは毎日身体に入れられてたからな。もう慣れて効かねぇ。その所為で気付かなかった。
・・・ハイノとサージは中毒になりにくいから使い易い。
やべぇのはお前らが持ってるそれだ。この2つを掛け合わせるととんでもなくぶっ飛んだもんになる。」
「だから言ったんだ・・・! こいつ怖えって! 目が全然笑ってねえよ! 街に入れなきゃ良かったんだ!」
「その薬は強力だぜ。この街に住んでる奴らは全員そいつにハマった薬物依存症軍団てとこか。
皆仲良くせっせと大量に栽培して裏に流してんだろ。」
「・・・・ぉぃぃぃ バレてるぜ・・・ どうする ・・・チクられたらこの街終わりだぞ・・・」
「馬っ鹿野郎 ガキひとりに潰されてたまるか」
「薬が効かねぇんなら捕まえて閉じ込めておこう 地下はまだ空いてるはずだ」
「よし・・・ おい、にーちゃん旅してるんだろう?どうだ旅の資金をいくらでも出してやるからこの事は忘れてくんねえかなあ はっはっは!」
「・・・・ それはいい。金はいくらあっても困らねえだろ?そうしなよ。・・・そしたらあのちっこいガキにも何もしねえぞ。」
「・・・・・・・・・・。」
「あのガキは大事な仲間なんだろ? もう旅ができなくなってもいいのかい?」
「・・・・・ふざけんな」
「うんうん じゃあすぐに用意しよう! こっちに・・・」
「お前らの悪事になんか興味無えよ 面倒くせえ・・・ 勝手にやれ」
奥歯でがりがりと音を立てて飴を砕く。
残った棒を噛み切ると床の上に吐き捨てた。
「は? じゃあ何をそんなに怒って・・・」
「あ・・・ 仲間のガキに催眠かけたこと怒ってんじゃねえか?」
「だ、大丈夫だってにーちゃん! 街を出ればちゃんと元に戻るって! 身体にも残らねえから心配ねえ!」
「うるせえ・・・ 何で・・・俺が・・・」
「は?? 何?」
「何で俺が! お前らのくだらねえ趣味の為に禁煙しなきゃならねえんだあああああああああ━━━━━━!!!!!!!」
「「そっち━━━━━━━━━━━━っ!!!???」」
【Bad Flower Garden】 じゅうご(ラスト)
「しかも思い出したくもねぇクソみてぇな過去を思い出させやがって!! お前らのせいだっ!!」
「「それは知らねえよっ!!!」」
「うっせえ!! もう我慢できねえ・・・ お前ら全員ぶっ飛ばしてやるぁあっ!」
「「ただの八つ当たりだ━━━━━━っ!!!」」
今日一日のストレスを爆発させて大声で叫ぶと、拳を握ったり開いたりしてから腕まくりをして大きく足を踏み出した。
「うわっ・・・ 来た! 怖えぇっ!」
「うろたえんな ただのガキだろ 押さえ込んで捕まえちまおうぜ」
「お前らも来いほらっ!!」
「おいおめぇ 鍛冶屋行って武器持って来いって!」
「怖えええぇ・・・っ!!」
「お前はもうどっか隠れてろっ!!」
「うるあ゛━━━━━━━━━━━━っ!! こんな街全滅しちまえぁっ!!」
アースを捕まえようと一斉に襲い掛かるおっさん達を物ともせず胸ぐらを掴んでは床に叩きつける。
テーブルも椅子もアースの前では障害物にさえならなかった。
騒ぎを聞きつけて、他の店に居たおっさん達も何事かと大勢集まってくる。
すでに先程までわいわいと盛り上がっていた酒場とは思えないほど店の中は大変な事になっていた。
次々と街中のおっさんがアースに掴み掛かるがすぐに引き剥がされて一人残らず吹っ飛ばされていくのだった。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「・・・・・ 何 してるのよ あんた・・・。」
「あ゛ぁ? ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
空はすっかり白んで向こうの山から太陽が顔を出そうとしていた。
足元には瓦礫の山。見渡す限り原型を留める建物は見当たらない。
あれだけ一面に咲いていた花畑もぐちゃぐちゃに踏み荒らされ全て根っこを上に向けていた。
瓦礫の影では大量のおっさんが呻き声を上げて這い出そうともがいている。
「・・・あ~ リアか ・・・ん?もう朝じゃねえか」
全壊した街の中で唯一ひとりだけ立っているアースに、呆れた表情をしたリアが不機嫌そうに尋ねた。
「何してるのか聞いてるのよ・・・」
「ムカついたからぶっ飛ばした」
「・・・カイトは?」
「ん・・・ あそこだ」
「・・・・ 何であそこ・・・」
指で指し示すその先を追って上を見上げると大きな木の枝の隙間からカイトの髪が見える。
張り巡らされたたくさんの枝にがっちりと支えられながら何事も無かったようにスヤスヤと眠るカイト。
リアはまた不機嫌そうに小さく溜め息をついて、次に少しほっとした顔を見せた。
「宿屋壊すのに邪魔だったから移動させたんだ」
「・・・・ 色々聞きたいこともあるけど まぁいいわ お陰でこの街に着けたもの」
「ぁあ? ・・・そういやおっさんもそんな事言ってたな 何だっつんだよ」
瓦礫の上に腰を下ろしたアースに続いてリアも倒れた柱に腰掛けた。
柱の横で寝ているおっさんの手を「ちょっとどいて」と足でずらしながら説明を始める。
「図書館で読んだのよ あの街の近くにおっさんの楽園があるらしいって。
場所も分かってるのに何故か辿り着けないらしいのよ。」
「ふーん」
「それで、その理由っていうのが、この街の花」
「このくっさい花か 腹立ったからさっき全部引っこ抜いてやったんだ」
「この街に咲いてる花や草はこの土の性質のせいでちょっと変わってて・・・
花粉や胞子が舞うと街全体を包んで外から見えなくさせるらしいわ。」
「便利なもんだな 花が枯れても次がすぐ咲くようにどんどん植えていくわけか。
そうやって街を隠して堂々と危ねぇもん育ててたのか」
「だからアースが暴れたお陰で花粉の飛散が止まってこの街が現れたから私がここに来れたのよ。」
「そうか・・・。 何で俺たちは普通に来れたんだろな・・・。」
そう呟いて2人で少し考えると同時に何かを思い付く。
そして同時に木の上を見上げた。
「こいつか・・・。」
「そうね・・・。」
何も知らずに眠るカイトを眺めながら また2人同時に溜め息をついた。
「いいのか悪いのか・・・ ホントこいつの目には毎回驚かされる。」
「・・・この街全体がギルドの捜索対象に登録されてるから、またあの街に戻って報告しないと。」
「おい リア お前煙草持ってねぇか 俺昨日から吸ってねぇんだよ」
「馬鹿ね そんなことだろうと思って買ってきたわよ これでしょ」
「おおお!!! やるじゃねぇか!! ちょっと違うけどそれでいいぜ!! くれくれ!!」
「あら、違うの? もっと強い煙草だったかしら それは悪いことをしたわ」
「いや、いい いい いいって!! 何でもいいからそれくれっ!!」
「いえ、良くないわ。 間違えて買って来たなんて私のプライドが許さないわ。」
「えっ・・・ いや、おい、リア・・・」
「今からあの街に戻るから今度こそちゃんと買って来るわね。私が戻るまでおっさん達を見張ってて。」
「いやいやいやいや・・・ それでいいって言ってんじゃねえか!」
「駄目よ。それじゃ私の気が済まないもの。」
「~~~~・・・!!! お前ワザとだろこらっ!! わざと間違えて買ってきやがったな!!」╬
「・・・・そんなわけ無いじゃないの」(にやにや・・・)
「腹立つ!! こいつマジで腹立つ!! いつか犯してやっからな!!」
「その時はあなたの大事な所をちょん切ってあげるわね」
「くっそムカツク!! おいカイト!! てめえいつまで寝てやがんだ!! いい加減起きろ!! 落とすぞっ!!」
「カイト おはよう 早く起きないと踏み付けるわよ♡」
「ん~~~・・・ 何? もう朝? 背中痛い・・・って え!? 何で俺木の上で寝てんの??」
「・・・ちょっと ・・・何で裸なのよ・・・」
「・・・汗かいたからじゃね?」
「~~~~・・・!! いつか刺してやるから・・・ 背後には気をつけなさい」╬
「うわっ!!! なんじゃこりゃー!! 街が全滅してるんですけどー!! どういうこっちゃー!! 怪獣かっ!?
魔物かっ!? おっちゃん達もどうしたんだ!? 何で俺気付かなかったんだろ?? うあ~ 見たかったな~・・・!!」
シーツに包まれたまま街の向こうまで背伸びして見渡すカイトを、アースとリアが下から見上げる。
「あれ?俺の服は? さっきの宿? へぶしっ!! ・・・あ! リアがいる!! おかえり~~♪」
「朝から煩いわねバカイト 早く下りて来なさい。ギルドに行くわよ。」
「俺が行くからお前らはここにいろよ 煙草買いに行くついでにギルドに寄って来る」
「嫌よ。こんなおっさんだらけの所にいたら私もおっさんになってしまうわ。」
「なるか!」
「あれ? ちょっと、俺、このまま行くの? 寒い・・・」
「大丈夫よ 犬は服を着ないものよ。 あなたなら風邪も引かずに辿り着けると信じてる。」
「そうかな。 靴は履いてもいいんでしょ?」
「どんなプレイだよ・・・。いいからお前らここに居ろ。おっさん達をその足で踏んでやれ。喜ぶから。」
「・・・・ しょうがないわね。何人奴隷にできるか勝負しましょ カイト」
「ええええっ!? 俺もやんの!?」
「これ邪魔だわ 飽きたからあんたにあげるわね」
「結局くれるんかい! この女・・・・! それじゃあ俺が行かなくてもいいじゃねえか・・・っ!
・・・でもこれでやっと煙草が吸える。 長ぇ1日だった・・・。」
これまでの苦労を噛み締めるように煙草の包装紙を破いてみっしり詰まった内の1本を取り出すと口に咥えた。
濡れたコートから移し変えておいたライターで火を点けると、大きく吸い込んで肺を煙で満たしてからゆっくりと吐き出した。
「・・・・・・ う、めえええぇぇぇぇ~~~!!! ♡」
「カイト 山羊がいるわ」
「ええっ!? アースって山羊だったの!?」
「怖えええぇぇ・・・ この街はもう終わった・・・ あいつら、魔王の手下か何かだろ絶対・・・・」
「「それは知らねえよっ!!!」」
「うっせえ!! もう我慢できねえ・・・ お前ら全員ぶっ飛ばしてやるぁあっ!」
「「ただの八つ当たりだ━━━━━━っ!!!」」
今日一日のストレスを爆発させて大声で叫ぶと、拳を握ったり開いたりしてから腕まくりをして大きく足を踏み出した。
「うわっ・・・ 来た! 怖えぇっ!」
「うろたえんな ただのガキだろ 押さえ込んで捕まえちまおうぜ」
「お前らも来いほらっ!!」
「おいおめぇ 鍛冶屋行って武器持って来いって!」
「怖えええぇ・・・っ!!」
「お前はもうどっか隠れてろっ!!」
「うるあ゛━━━━━━━━━━━━っ!! こんな街全滅しちまえぁっ!!」
アースを捕まえようと一斉に襲い掛かるおっさん達を物ともせず胸ぐらを掴んでは床に叩きつける。
テーブルも椅子もアースの前では障害物にさえならなかった。
騒ぎを聞きつけて、他の店に居たおっさん達も何事かと大勢集まってくる。
すでに先程までわいわいと盛り上がっていた酒場とは思えないほど店の中は大変な事になっていた。
次々と街中のおっさんがアースに掴み掛かるがすぐに引き剥がされて一人残らず吹っ飛ばされていくのだった。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「・・・・・ 何 してるのよ あんた・・・。」
「あ゛ぁ? ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
空はすっかり白んで向こうの山から太陽が顔を出そうとしていた。
足元には瓦礫の山。見渡す限り原型を留める建物は見当たらない。
あれだけ一面に咲いていた花畑もぐちゃぐちゃに踏み荒らされ全て根っこを上に向けていた。
瓦礫の影では大量のおっさんが呻き声を上げて這い出そうともがいている。
「・・・あ~ リアか ・・・ん?もう朝じゃねえか」
全壊した街の中で唯一ひとりだけ立っているアースに、呆れた表情をしたリアが不機嫌そうに尋ねた。
「何してるのか聞いてるのよ・・・」
「ムカついたからぶっ飛ばした」
「・・・カイトは?」
「ん・・・ あそこだ」
「・・・・ 何であそこ・・・」
指で指し示すその先を追って上を見上げると大きな木の枝の隙間からカイトの髪が見える。
張り巡らされたたくさんの枝にがっちりと支えられながら何事も無かったようにスヤスヤと眠るカイト。
リアはまた不機嫌そうに小さく溜め息をついて、次に少しほっとした顔を見せた。
「宿屋壊すのに邪魔だったから移動させたんだ」
「・・・・ 色々聞きたいこともあるけど まぁいいわ お陰でこの街に着けたもの」
「ぁあ? ・・・そういやおっさんもそんな事言ってたな 何だっつんだよ」
瓦礫の上に腰を下ろしたアースに続いてリアも倒れた柱に腰掛けた。
柱の横で寝ているおっさんの手を「ちょっとどいて」と足でずらしながら説明を始める。
「図書館で読んだのよ あの街の近くにおっさんの楽園があるらしいって。
場所も分かってるのに何故か辿り着けないらしいのよ。」
「ふーん」
「それで、その理由っていうのが、この街の花」
「このくっさい花か 腹立ったからさっき全部引っこ抜いてやったんだ」
「この街に咲いてる花や草はこの土の性質のせいでちょっと変わってて・・・
花粉や胞子が舞うと街全体を包んで外から見えなくさせるらしいわ。」
「便利なもんだな 花が枯れても次がすぐ咲くようにどんどん植えていくわけか。
そうやって街を隠して堂々と危ねぇもん育ててたのか」
「だからアースが暴れたお陰で花粉の飛散が止まってこの街が現れたから私がここに来れたのよ。」
「そうか・・・。 何で俺たちは普通に来れたんだろな・・・。」
そう呟いて2人で少し考えると同時に何かを思い付く。
そして同時に木の上を見上げた。
「こいつか・・・。」
「そうね・・・。」
何も知らずに眠るカイトを眺めながら また2人同時に溜め息をついた。
「いいのか悪いのか・・・ ホントこいつの目には毎回驚かされる。」
「・・・この街全体がギルドの捜索対象に登録されてるから、またあの街に戻って報告しないと。」
「おい リア お前煙草持ってねぇか 俺昨日から吸ってねぇんだよ」
「馬鹿ね そんなことだろうと思って買ってきたわよ これでしょ」
「おおお!!! やるじゃねぇか!! ちょっと違うけどそれでいいぜ!! くれくれ!!」
「あら、違うの? もっと強い煙草だったかしら それは悪いことをしたわ」
「いや、いい いい いいって!! 何でもいいからそれくれっ!!」
「いえ、良くないわ。 間違えて買って来たなんて私のプライドが許さないわ。」
「えっ・・・ いや、おい、リア・・・」
「今からあの街に戻るから今度こそちゃんと買って来るわね。私が戻るまでおっさん達を見張ってて。」
「いやいやいやいや・・・ それでいいって言ってんじゃねえか!」
「駄目よ。それじゃ私の気が済まないもの。」
「~~~~・・・!!! お前ワザとだろこらっ!! わざと間違えて買ってきやがったな!!」╬
「・・・・そんなわけ無いじゃないの」(にやにや・・・)
「腹立つ!! こいつマジで腹立つ!! いつか犯してやっからな!!」
「その時はあなたの大事な所をちょん切ってあげるわね」
「くっそムカツク!! おいカイト!! てめえいつまで寝てやがんだ!! いい加減起きろ!! 落とすぞっ!!」
「カイト おはよう 早く起きないと踏み付けるわよ♡」
「ん~~~・・・ 何? もう朝? 背中痛い・・・って え!? 何で俺木の上で寝てんの??」
「・・・ちょっと ・・・何で裸なのよ・・・」
「・・・汗かいたからじゃね?」
「~~~~・・・!! いつか刺してやるから・・・ 背後には気をつけなさい」╬
「うわっ!!! なんじゃこりゃー!! 街が全滅してるんですけどー!! どういうこっちゃー!! 怪獣かっ!?
魔物かっ!? おっちゃん達もどうしたんだ!? 何で俺気付かなかったんだろ?? うあ~ 見たかったな~・・・!!」
シーツに包まれたまま街の向こうまで背伸びして見渡すカイトを、アースとリアが下から見上げる。
「あれ?俺の服は? さっきの宿? へぶしっ!! ・・・あ! リアがいる!! おかえり~~♪」
「朝から煩いわねバカイト 早く下りて来なさい。ギルドに行くわよ。」
「俺が行くからお前らはここにいろよ 煙草買いに行くついでにギルドに寄って来る」
「嫌よ。こんなおっさんだらけの所にいたら私もおっさんになってしまうわ。」
「なるか!」
「あれ? ちょっと、俺、このまま行くの? 寒い・・・」
「大丈夫よ 犬は服を着ないものよ。 あなたなら風邪も引かずに辿り着けると信じてる。」
「そうかな。 靴は履いてもいいんでしょ?」
「どんなプレイだよ・・・。いいからお前らここに居ろ。おっさん達をその足で踏んでやれ。喜ぶから。」
「・・・・ しょうがないわね。何人奴隷にできるか勝負しましょ カイト」
「ええええっ!? 俺もやんの!?」
「これ邪魔だわ 飽きたからあんたにあげるわね」
「結局くれるんかい! この女・・・・! それじゃあ俺が行かなくてもいいじゃねえか・・・っ!
・・・でもこれでやっと煙草が吸える。 長ぇ1日だった・・・。」
これまでの苦労を噛み締めるように煙草の包装紙を破いてみっしり詰まった内の1本を取り出すと口に咥えた。
濡れたコートから移し変えておいたライターで火を点けると、大きく吸い込んで肺を煙で満たしてからゆっくりと吐き出した。
「・・・・・・ う、めえええぇぇぇぇ~~~!!! ♡」
「カイト 山羊がいるわ」
「ええっ!? アースって山羊だったの!?」
「怖えええぇぇ・・・ この街はもう終わった・・・ あいつら、魔王の手下か何かだろ絶対・・・・」
おわり
【Bad Flower Garden】 あとがき
妄想の世界へようこそ。
『ラスボス。』改め『エロ魔人ラスボス。』です。
【Bad Flower Garden】 に最後までお付き合い頂きありがとうございました。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
今回は真冬の我が家から春うららなお話をお送りしました。
おっさんだらけのお花の国チェリーブロッサム。
おっさん達が一生懸命花を植えてる所を想像するともう・・・。
今回のテーマは禁煙でいこうとふと思いついてアースをいじめてみたわけですが、
何故かカイトもいじめられるというミステリーが起こってしまいました。楽しかったです。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
ひとりで街を壊滅させる恐ろしいエロ魔人アース。
どんだけ体力あるんだよ。不眠不休にもほどがあるでしょうってもんです。
この人の強さがどの位か大体予想できましたでしょうか。
あ、だからすぐお腹空いて信じられない位食べるのかもしれません。
BBSにも書きましたが ガキガキ言われてたアースは一応大人です。
20代のオニーサンです。 カイトは10代後半の男の子です。
2人の年齢差は4~5歳・・・だったらいいな~って妄想してたりしなかったり。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
カイトは故郷の街で野生児のように毎日駆けずり回って生きてきたので元気で好奇心旺盛ですが、少し世間知らずな所があるようです。
アースは親父が医者で金持ちで、小さい頃、家にある書庫で医療関係の本を暇潰しに読んだりしてたらしいので、頭が良さそうな気がしますが、親が子に話す昔話や童話、歌等は全然知りません。もちろん絵本も読んだこと無かったりします。
だから前回のお話【ある夜のふたり】でサンタが何者かよく知らなかったと。きっとプレゼントとかも貰った事無いんじゃないかなぁと今また妄想しました。
暇潰しのついでにいつも自分に投与される数々の薬品が何なのか調べたりもしてました。
ひどい親父なのです。
アースの過去のお話もいつか書けたらいいのですが面倒臭い私の今の文章力では無理です。
絵で描くのも難しいなぁ。もっとすらすらと言葉が出てくるくらい上手に文章が書けるようになりたいです。
リアさんは・・・あの通りです。
幼馴染のカイトが好きで好きで堪らなくてつい苛めてしまうクラスの苛めっ子みたいな?
大事過ぎて手が出せないんでしょうね。いいんです。出せなくて。ここアナザーだから。
カイトとアースが仲良くしててもぐっと我慢の子。・・・ホント、いつか刺されそうで怖い・・・。
本当の世界よりもリアはアースの事が嫌いだと思います。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
エロシーンは・・・ どうなんでしょう・・・。
楽しんで頂けましたか?
毎回必死で書いてるので頭ん中がグルグルしてしまいました。
そして、エロ魔人なのはアースだとばかり思っていたんですけど
どうもそれは私の方だったようです。知りませんでした。
よし、どんとこい。次もエロくしてやんよ。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
という事で全十五話の【Bad Flower Garden】いかがだったでしょうか。
相変わらずの低クオリティでお送りしましたが、一応ハッピーエンドです。
煙草は吸えたし、ギルドの報酬でまたお金ががっぽり貰えるし。
あ、リアとおっさん以外ハッピーエンドです。
短いお話でしたがお付き合い頂きましてありがとうございました。
御訪問&コメント&拍手 本当に嬉しいです。
次回は・・・まだ何となくしか決まってません。
炎の精霊をちょろっと登場させたいな~って感じです。
またもそもそと企みたいと思います。
次回もまた another warm snow◆妄想 delusion◆ とラスボス。共々のんびりとよろしくお願い致します。
あ、おまけ。 まだ未定です。こちらものんびりと・・・。
『ラスボス。』改め『エロ魔人ラスボス。』です。
【Bad Flower Garden】 に最後までお付き合い頂きありがとうございました。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
今回は真冬の我が家から春うららなお話をお送りしました。
おっさんだらけのお花の国チェリーブロッサム。
おっさん達が一生懸命花を植えてる所を想像するともう・・・。
今回のテーマは禁煙でいこうとふと思いついてアースをいじめてみたわけですが、
何故かカイトもいじめられるというミステリーが起こってしまいました。楽しかったです。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
ひとりで街を壊滅させる恐ろしいエロ魔人アース。
どんだけ体力あるんだよ。不眠不休にもほどがあるでしょうってもんです。
この人の強さがどの位か大体予想できましたでしょうか。
あ、だからすぐお腹空いて信じられない位食べるのかもしれません。
BBSにも書きましたが ガキガキ言われてたアースは一応大人です。
20代のオニーサンです。 カイトは10代後半の男の子です。
2人の年齢差は4~5歳・・・だったらいいな~って妄想してたりしなかったり。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
カイトは故郷の街で野生児のように毎日駆けずり回って生きてきたので元気で好奇心旺盛ですが、少し世間知らずな所があるようです。
アースは親父が医者で金持ちで、小さい頃、家にある書庫で医療関係の本を暇潰しに読んだりしてたらしいので、頭が良さそうな気がしますが、親が子に話す昔話や童話、歌等は全然知りません。もちろん絵本も読んだこと無かったりします。
だから前回のお話【ある夜のふたり】でサンタが何者かよく知らなかったと。きっとプレゼントとかも貰った事無いんじゃないかなぁと今また妄想しました。
暇潰しのついでにいつも自分に投与される数々の薬品が何なのか調べたりもしてました。
ひどい親父なのです。
アースの過去のお話もいつか書けたらいいのですが
絵で描くのも難しいなぁ。もっとすらすらと言葉が出てくるくらい上手に文章が書けるようになりたいです。
リアさんは・・・あの通りです。
幼馴染のカイトが好きで好きで堪らなくてつい苛めてしまうクラスの苛めっ子みたいな?
大事過ぎて手が出せないんでしょうね。いいんです。出せなくて。ここアナザーだから。
カイトとアースが仲良くしててもぐっと我慢の子。・・・ホント、いつか刺されそうで怖い・・・。
本当の世界よりもリアはアースの事が嫌いだと思います。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
エロシーンは・・・ どうなんでしょう・・・。
楽しんで頂けましたか?
毎回必死で書いてるので頭ん中がグルグルしてしまいました。
そして、エロ魔人なのはアースだとばかり思っていたんですけど
どうもそれは私の方だったようです。知りませんでした。
よし、どんとこい。次もエロくしてやんよ。
.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.♚.+:゚♣゚:+..+:゚♠゚:+.
という事で全十五話の【Bad Flower Garden】いかがだったでしょうか。
相変わらずの低クオリティでお送りしましたが、一応ハッピーエンドです。
煙草は吸えたし、ギルドの報酬でまたお金ががっぽり貰えるし。
あ、リアとおっさん以外ハッピーエンドです。
短いお話でしたがお付き合い頂きましてありがとうございました。
御訪問&コメント&拍手 本当に嬉しいです。
次回は・・・まだ何となくしか決まってません。
炎の精霊をちょろっと登場させたいな~って感じです。
またもそもそと企みたいと思います。
次回もまた another warm snow◆妄想 delusion◆ とラスボス。共々のんびりとよろしくお願い致します。
あ、おまけ。 まだ未定です。こちらものんびりと・・・。