【Bad Flower Garden】 いち
雪が溶け冬から春に変わる頃
空気の澄んだ広大な草原をふたりで歩くカイトとアース
「あ!見えてきた! アース! ほら街が見えたぞっ♪」
「あ゛━━━━━━・・・ やっと着いたか 遠いっつーの・・・」
「前の街はでっかい図書館があって面白かったな~ 本の中からおっさんの妖精が出てきてビックリしたけど。
次に行くあの街は何があるかなー 何が起こるかなー」
「・・・腹減った 先にメシだろ ほれ浮かれてねぇで 早く歩け」
「あ うん♪」(軽やかステップ♪)
「お前 ちゃんと金持ってんだろな ふらふらして落とすなよ」
「あるよほら! ちゃんとパンツに入れてるって!」
「見せんな見せんな 見えるからナニまで」
「俺が初めてギルドで稼いだお金だからね しっかり持ってるよ!」
「あのおっさん妖精な・・・ 偶然捕まえたらギルドの捕獲対象に登録されてた奴で良かったよな」
「100年くらい見つからなかったみたいだったから、額が上がってて結構貰えたねー♪」
「お前 どうせ何か見えたからその本選んだんだろ」
「んー・・・ 何か あのいっぱいある本の中で あれだけぼんやり目立って見えたんだよなぁ」
「ふーん」
「それより・・・リア大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろ てか無敵のあいつを心配する方がおかしいって」
「そうかな」
「あのでけぇ図書館で魔法の文献調べてから行くって自分で決めて残ったんだし、心配ねぇよ」
「あの辺にある本、難しくて俺には読めなかった」
「目当ての本が無くて暴れまわって図書館ごとぶっ壊したりしねぇかの方が心配だな」
「でっかい建物だから全部壊すの時間かかりそうだね」
「いや・・・ そうじゃなくて・・・ まぁいいや」
そんな話をしながら目の前に見えている新しい街を目指し歩いていくふたり。
この辺りは凶悪な魔物も少なく、街を囲う壁も木製の簡単な物で作られており、
昨日まで滞在していた街と比べるとそんなに厳重な護りでは無いように見える。
背の高い建物はほとんど無く こじんまりとした住居が10軒ずつ固まって小さな集落のようになっており
その集まりが数箇所に均一に散らばっている。
街の四方に少し高い物見櫓(やぐら)が建っているが、今は人影は見えない。
街全体に季節の花や木が溢れ、のんびりとほのぼのとした雰囲気が漂っていた。
どこか懐かしい田舎のようで街というより村と言う方が相応しいかもしれない。
その街の入り口に辿り着いたカイトとアースは外壁に掛けられた『ようこそ』と書かれた看板を眺めていた。
「何か可愛らしい街だねぇ♪ 花が一杯だ!看板も花輪みたくなってるよ」
「・・・まずは宿とメシ屋だな ・・・あぁ煙草が切れそうだ 買ってから行くか」
「おっじゃましまーす!!」
「・・・・・・・」
「あれ? アース?」
「おい・・・ 何だよコレ」
「ん?何? 看板?」
花輪のような『ようこそ』と書かれた看板。
その文字の横、咲き乱れた花の中にまだ何か文字が隠れている。
『この街は完全禁煙です。』
「っっざけんなぁぁぁぁああああああああああ━━━━━━━━━━━━っ!!!!! ╬ 」
「・・・ あぁー・・・」(半笑い)
空気の澄んだ広大な草原をふたりで歩くカイトとアース
「あ!見えてきた! アース! ほら街が見えたぞっ♪」
「あ゛━━━━━━・・・ やっと着いたか 遠いっつーの・・・」
「前の街はでっかい図書館があって面白かったな~ 本の中からおっさんの妖精が出てきてビックリしたけど。
次に行くあの街は何があるかなー 何が起こるかなー」
「・・・腹減った 先にメシだろ ほれ浮かれてねぇで 早く歩け」
「あ うん♪」(軽やかステップ♪)
「お前 ちゃんと金持ってんだろな ふらふらして落とすなよ」
「あるよほら! ちゃんとパンツに入れてるって!」
「見せんな見せんな 見えるからナニまで」
「俺が初めてギルドで稼いだお金だからね しっかり持ってるよ!」
「あのおっさん妖精な・・・ 偶然捕まえたらギルドの捕獲対象に登録されてた奴で良かったよな」
「100年くらい見つからなかったみたいだったから、額が上がってて結構貰えたねー♪」
「お前 どうせ何か見えたからその本選んだんだろ」
「んー・・・ 何か あのいっぱいある本の中で あれだけぼんやり目立って見えたんだよなぁ」
「ふーん」
「それより・・・リア大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろ てか無敵のあいつを心配する方がおかしいって」
「そうかな」
「あのでけぇ図書館で魔法の文献調べてから行くって自分で決めて残ったんだし、心配ねぇよ」
「あの辺にある本、難しくて俺には読めなかった」
「目当ての本が無くて暴れまわって図書館ごとぶっ壊したりしねぇかの方が心配だな」
「でっかい建物だから全部壊すの時間かかりそうだね」
「いや・・・ そうじゃなくて・・・ まぁいいや」
そんな話をしながら目の前に見えている新しい街を目指し歩いていくふたり。
この辺りは凶悪な魔物も少なく、街を囲う壁も木製の簡単な物で作られており、
昨日まで滞在していた街と比べるとそんなに厳重な護りでは無いように見える。
背の高い建物はほとんど無く こじんまりとした住居が10軒ずつ固まって小さな集落のようになっており
その集まりが数箇所に均一に散らばっている。
街の四方に少し高い物見櫓(やぐら)が建っているが、今は人影は見えない。
街全体に季節の花や木が溢れ、のんびりとほのぼのとした雰囲気が漂っていた。
どこか懐かしい田舎のようで街というより村と言う方が相応しいかもしれない。
その街の入り口に辿り着いたカイトとアースは外壁に掛けられた『ようこそ』と書かれた看板を眺めていた。
「何か可愛らしい街だねぇ♪ 花が一杯だ!看板も花輪みたくなってるよ」
「・・・まずは宿とメシ屋だな ・・・あぁ煙草が切れそうだ 買ってから行くか」
「おっじゃましまーす!!」
「・・・・・・・」
「あれ? アース?」
「おい・・・ 何だよコレ」
「ん?何? 看板?」
花輪のような『ようこそ』と書かれた看板。
その文字の横、咲き乱れた花の中にまだ何か文字が隠れている。
『この街は完全禁煙です。』
「っっざけんなぁぁぁぁああああああああああ━━━━━━━━━━━━っ!!!!! ╬ 」
「・・・ あぁー・・・」(半笑い)

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【Bad Flower Garden】 に
「完全禁煙だと・・・ んな街見たことねぇよ」
「何でだろうね」
「気にすんな 知ったこっちゃねぇ 入るぞカイト」
「あ、煙草 吸ったままでいいの?」
「いいんだ――・・・」
バッシャァァア━━━━━━ン!!!!
「・・・・・・・・」
「うわっ!つめたっ!!! ええ!?」
街に一歩足を踏み入れた瞬間大量の水を頭からかけられた。
目の前に大柄の男が立っていて手には水の滴るバケツが握られていた。
「ようこそ・・・ お花の国チェリーブロッサムへ」
「・・・何すんだこら」
青い髪から大粒の雫を垂らしながら全身ぐっしょりに濡れたアースが男を睨みつける。
当然咥えていた煙草もジュウと音を立てて消え、水を吸ってへにょっと下を向いていた。
「この街は禁煙となっております。申し訳ありませんが煙草は御遠慮ください。」
「・・・てめぇ 最後の1本だったんだぞ どうしてくれんだ 誰だてめ」
「申し訳ございません。この街では煙草は厳禁でございますので。」
「言い方変えただけで言ってることさっきと同じじゃねぇか てめぇガタイだけじゃなくて頭も肉なのか」
「お煙草は無事消えた御様子。 ようこそお花の国チェリーブロッシャムへ」
「自分の街の名前咬んでんじゃねぇよ 会話どころか上下の歯も噛み合わねぇのかてめぇは」
「・・・・・・・」
「こっち見ろ 目逸らすなオヤジ」
「アース 大丈夫? ビッショビショだよ」
「カイト お前煙草持ってねぇか」
「持ってないよ 俺吸わないし」
「お前 あのでっけぇ図書館あった街行って煙草買って来い」
「やだよっ!! めちゃくちゃ遠いじゃん! 行くだけで半日かかるよ!」
「走って行け」
「やだって!! それより宿行って着替えようよアース 風邪引くよ」
「煙草が吸えねぇ街なんか入れるか 俺ここで野宿すっからお前だけ行ってメシ持って来い」
「この街のいかなる物も外に運ぶ事は禁止されております。」
「・・・このオヤジ 討伐していいか」
「・・・きっとギルドには登録されてないと思うよ ・・・じゃなくて いいから早く行こうよ宿に」
「・・・・・・・・」
「アース 腹減ったって言ってたじゃん とりあえず入ろうよー お邪魔しまーす!」
「どうぞごゆっくりおくつろぎください」
「うるせぇ 咬まねぇようにゆっくり喋んな 腹立つ」
「何でだろうね」
「気にすんな 知ったこっちゃねぇ 入るぞカイト」
「あ、煙草 吸ったままでいいの?」
「いいんだ――・・・」
バッシャァァア━━━━━━ン!!!!
「・・・・・・・・」
「うわっ!つめたっ!!! ええ!?」
街に一歩足を踏み入れた瞬間大量の水を頭からかけられた。
目の前に大柄の男が立っていて手には水の滴るバケツが握られていた。
「ようこそ・・・ お花の国チェリーブロッサムへ」
「・・・何すんだこら」
青い髪から大粒の雫を垂らしながら全身ぐっしょりに濡れたアースが男を睨みつける。
当然咥えていた煙草もジュウと音を立てて消え、水を吸ってへにょっと下を向いていた。
「この街は禁煙となっております。申し訳ありませんが煙草は御遠慮ください。」
「・・・てめぇ 最後の1本だったんだぞ どうしてくれんだ 誰だてめ」
「申し訳ございません。この街では煙草は厳禁でございますので。」
「言い方変えただけで言ってることさっきと同じじゃねぇか てめぇガタイだけじゃなくて頭も肉なのか」
「お煙草は無事消えた御様子。 ようこそお花の国チェリーブロッシャムへ」
「自分の街の名前咬んでんじゃねぇよ 会話どころか上下の歯も噛み合わねぇのかてめぇは」
「・・・・・・・」
「こっち見ろ 目逸らすなオヤジ」
「アース 大丈夫? ビッショビショだよ」
「カイト お前煙草持ってねぇか」
「持ってないよ 俺吸わないし」
「お前 あのでっけぇ図書館あった街行って煙草買って来い」
「やだよっ!! めちゃくちゃ遠いじゃん! 行くだけで半日かかるよ!」
「走って行け」
「やだって!! それより宿行って着替えようよアース 風邪引くよ」
「煙草が吸えねぇ街なんか入れるか 俺ここで野宿すっからお前だけ行ってメシ持って来い」
「この街のいかなる物も外に運ぶ事は禁止されております。」
「・・・このオヤジ 討伐していいか」
「・・・きっとギルドには登録されてないと思うよ ・・・じゃなくて いいから早く行こうよ宿に」
「・・・・・・・・」
「アース 腹減ったって言ってたじゃん とりあえず入ろうよー お邪魔しまーす!」
「どうぞごゆっくりおくつろぎください」
「うるせぇ 咬まねぇようにゆっくり喋んな 腹立つ」
【Bad Flower Garden】 さん

「飴なんか喰うの久しぶりだ・・・」(イライラ)
「んまいだろー♪ それ俺のお気に入りのチュッパだから んまいだろー♪」
「半分溶けてて気持ちわりぃ・・・」(イライラ)
「ポケット入れっぱだったからなぁ でもんまいだろー♪」
「はいはい 悪かったよ お前の大好物貰っちまって・・・」(イライラ)
「いいよ♪ 後でお菓子屋探すから」
宿で 濡れた頭と体を拭いて、途中で買ったパーカに着替え、近くの酒場に入ったカイトとアース。
空腹と禁煙でイライラするアースにカイトは自分のおやつを分けてあげた。
「・・・くっそ メシ喰ったら前の街戻るか 腹一杯なら本気出せばそんなに時間掛かんねぇし」
「え 戻るの?」
「お前はここに居ろよ 俺1人の方が速ぇ」
「駄目だよ もうすぐ夕方だよ 夜になったら外に出ない方がいいって教えてくれたのアースじゃん」
「俺は強ぇからいいんだよ」
「宿だって2人分取ったし 街も綺麗だし、せっかくだからのんびりしようよー」
「のんびりできるか あっちこっちに咲いてる花の匂いが強すぎるっつの。甘ったるくて気分悪いわ。
・・・ん、メシが来た 金はあるから吐くまで喰ってやる」
「はーい!おまちどー! チェリーブロッサム名物、花包みミートパイだよ!」
「うわー! んまそー!名物だって!」
「また花かよ・・・」
これまたガタイのいい男が似合わない花柄のエプロンを巻いて料理を運んできた。
「にーちゃんたち 旅人さんかい? よく来たね! 青い髪のにーちゃん大分イライラしてるなぁ はっはっは!」
「・・・まぁな」
「大方 煙草が吸えなくてイラついてんだろう はっはっは!」
「おっちゃん よく分かったねぇ♪ 」
「この街は 見たとおり花に囲まれてるだろう 昔からこの気候が植物を育てるのに最適らしくてね、
ほとんどの住民が、自分で育てた花を売った利益で生活をしてるくらいだ!
火事なんか起こっちゃ堪んないからね!ちょっと厳しい規則かもしれないけど我慢してやってくれ!
お詫びにビールを1杯サービスするからさ!はっはっは!」
「ありがと おっちゃん! 良かったねアース ビール貰えたよ♪ はい、俺の分もあげるね」
「・・・・・・・しょうがねぇな 今日は早目に宿戻ってたんまり飲んで寝ちまうか」
「うんうん その方がいいよ さぁたっぷり喰ってってくんな! はっはっは!」
「しっかしこの店はおっさんばっかだな 若いねーちゃんはいねぇのか」
「はっはっは! うちの店は深夜までやってるからね! 体力のある男しかいないよっ!
良ければ俺がお酌してやろうかにーちゃん」
「いらねー」
「はっはっは!」
「んまー!! これんまー♡ 俺この花のオムレツ気に入った!! おっちゃんおかわりー♪」
「また花かよ・・・」(うんざり)
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「あれ?アースも行くのか?お菓子屋・・・」
「ん・・・ 何かしてた方が気が紛れんだよ 飴買いに行くぞ」
「チュッパあるかなー」
「・・・この辺はまた違う花なのか ここの方がまだ匂いがマシだな」
信じられないくらいの量の料理を掻っ込み満腹になったふたり。
食後の一服が最高の至福の時なのにそれができなくて、アースはますます不機嫌になる。
新しいパーカのポケットに、生地が伸びてしまうくらい力を込めて両手を突っ込むと、お菓子屋に向かうカイトの後ろを付いて行く。
「アース!チュッパあった!何味がいい?」
「んー・・・ 甘くねぇやつっつってもどれも甘いんだよな・・・」
「らっしゃい!にーちゃんたち!ん?この辺のもんじゃないね どうだいこの街は!綺麗だろう」
「うん 色んな花があっていいな♪ 川も綺麗だし向こうにでっかい水車もあったし、俺は楽しいぞ!」
「はいはい 楽しい楽しい」
「色々見て廻るといいよ 煙草は吸えないけどね」
「・・・・・分かってるよ 吸いたくても無ぇよ」
「おっちゃん これとこれとそれと あとあれもちょーだい♪」
「はいよ」
「この街はおっさんしかいねぇのか・・・ 街は綺麗でも住んでる奴が汚ぇよ・・・」
【Bad Flower Garden】 よん
鮮やかなフキノトウが一面に咲き誇る土手を下りて、緩やかに流れる河原でアホみたいに遊ぶカイト。
「カイト 俺宿戻ってるぞ」
いつの間にか居なくなって街の中をうろついていたらしいアースが、河原に戻ってきた。
「あ 待って俺も・・・」(バッシャバッシャ・・・)
「くっそ マジでどこにも煙草売ってねぇじゃねぇか」
「煙草屋探してたんだ・・・」
今日何本目か既に分からなくなった棒の付いた飴を奥歯でガリガリと砕きながら相変わらず眉間に皺を寄せて歩くアースをカイトが追いかける。
太陽はすっかり傾き、空も川も風に揺れる花たちもみなオレンジに染まり始めていた。
暖かかった空気も少しずつ夜の冷たいそれに変わろうとしている。
夕焼けが川に反射してキラキラと光る景色を同じくらいキラキラした瞳で見つめながら「綺麗だなぁ」とカイトが呟いた。
「世界って本当面白いな~ あんなでっかい水車もこんなにたくさんの花もそれにあんなに綺麗な夕陽も俺初めて見るよ 気持ちいいなぁ」
「・・・・・・」
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「風呂上りはやっぱコーヒー牛乳だな~♪ 生き返るな~♪」
「死んでたのか」
カイトが風呂から戻ると、宿に帰る途中に寄った酒場で買えるだけ買って来た大量の酒をベッドの上にゴロゴロと転がしたままアースが晩酌をしている。見るともう既に3本目を開けていた。
「・・・アース そんなに飲むの」
「あ?お前も飲むか?」
「いい・・・」
ベッドを背もたれにして床に胡坐を掻いて座り、テーブルに置いてあったコップをトレイごと自分の横に置いている。
「今日は早く眠くなるように強い酒だけ飲むからな。で、明日すぐここを出るぞ」
「ええー・・・ もっと遊びたい」
「駄目だ こんな甘ったるい街に居たらもっとアホになるぞ」
「もっとってどういう意味!? 元々アホみたいな言い方だよね!?」
「お前はアホだ」
「えええーーー!!」
恒例の、頭に『?』をたくさん浮かべて納得がいかない顔をしながら
濡れた髪をがしがし拭いてカイトもアースの横に胡坐を掻いて座る。
「っあ゛━━━━━━・・・!! 煙草吸いてぇな・・・ イラついて仕方ねぇ・・・」
そう言って上半身を屈めて右手で顔を覆う。青い髪の隙間から歯を食いしばる口元が見えた。
同じように体を屈めてアースを覗き込むカイトが、そういえば・・・と呟いた。
「濡れて着替えたコートの中は探した? もしかしたら1本くらい残ってるかもよ」
「無ぇよ・・・ 何度見ても現れねぇよ 俺のポケットは四次元じゃねぇことをここに発表します。」
「(アース 壊れてきた・・・?)」
「・・・そんなに吸いたいの?」
「・・・・・・」
カイトの質問に、少しだけ間を置いて じろ・・・とこちらを見詰め返す。
「お前 もし大好物のチュッパ、禁止されたらどうする」
そう聞かれて 「ん?」 と空を見上げて少し悩むカイト。
「俺 1日位だったら平気だよ」
「そこは『俺無理~ 我慢できないよ~』って言うとこだろ 空気読め お前煙草と飴を一緒にすんな馬鹿」
「(アース 壊れてきてる・・・)」
「カイト 俺宿戻ってるぞ」
いつの間にか居なくなって街の中をうろついていたらしいアースが、河原に戻ってきた。
「あ 待って俺も・・・」(バッシャバッシャ・・・)
「くっそ マジでどこにも煙草売ってねぇじゃねぇか」
「煙草屋探してたんだ・・・」
今日何本目か既に分からなくなった棒の付いた飴を奥歯でガリガリと砕きながら相変わらず眉間に皺を寄せて歩くアースをカイトが追いかける。
太陽はすっかり傾き、空も川も風に揺れる花たちもみなオレンジに染まり始めていた。
暖かかった空気も少しずつ夜の冷たいそれに変わろうとしている。
夕焼けが川に反射してキラキラと光る景色を同じくらいキラキラした瞳で見つめながら「綺麗だなぁ」とカイトが呟いた。
「世界って本当面白いな~ あんなでっかい水車もこんなにたくさんの花もそれにあんなに綺麗な夕陽も俺初めて見るよ 気持ちいいなぁ」
「・・・・・・」
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「風呂上りはやっぱコーヒー牛乳だな~♪ 生き返るな~♪」
「死んでたのか」
カイトが風呂から戻ると、宿に帰る途中に寄った酒場で買えるだけ買って来た大量の酒をベッドの上にゴロゴロと転がしたままアースが晩酌をしている。見るともう既に3本目を開けていた。
「・・・アース そんなに飲むの」
「あ?お前も飲むか?」
「いい・・・」
ベッドを背もたれにして床に胡坐を掻いて座り、テーブルに置いてあったコップをトレイごと自分の横に置いている。
「今日は早く眠くなるように強い酒だけ飲むからな。で、明日すぐここを出るぞ」
「ええー・・・ もっと遊びたい」
「駄目だ こんな甘ったるい街に居たらもっとアホになるぞ」
「もっとってどういう意味!? 元々アホみたいな言い方だよね!?」
「お前はアホだ」
「えええーーー!!」
恒例の、頭に『?』をたくさん浮かべて納得がいかない顔をしながら
濡れた髪をがしがし拭いてカイトもアースの横に胡坐を掻いて座る。
「っあ゛━━━━━━・・・!! 煙草吸いてぇな・・・ イラついて仕方ねぇ・・・」
そう言って上半身を屈めて右手で顔を覆う。青い髪の隙間から歯を食いしばる口元が見えた。
同じように体を屈めてアースを覗き込むカイトが、そういえば・・・と呟いた。
「濡れて着替えたコートの中は探した? もしかしたら1本くらい残ってるかもよ」
「無ぇよ・・・ 何度見ても現れねぇよ 俺のポケットは四次元じゃねぇことをここに発表します。」
「(アース 壊れてきた・・・?)」
「・・・そんなに吸いたいの?」
「・・・・・・」
カイトの質問に、少しだけ間を置いて じろ・・・とこちらを見詰め返す。
「お前 もし大好物のチュッパ、禁止されたらどうする」
そう聞かれて 「ん?」 と空を見上げて少し悩むカイト。
「俺 1日位だったら平気だよ」
「そこは『俺無理~ 我慢できないよ~』って言うとこだろ 空気読め お前煙草と飴を一緒にすんな馬鹿」
「(アース 壊れてきてる・・・)」
【Bad Flower Garden】 ご 「少しだけ★」
「くっそ イラついて全然眠くなる気配がしねぇ・・・」
「アースって酔っても眠くならないんじゃなかったっけ・・・」
「睡眠薬でも買ってくりゃ良かったな・・・ カイト お前も少しでいいから飲めよ 目一杯薄めてやっから」
「・・・ 分かった すこ~~しだけなら いいよ」
「お!このお酒 桜の花びら入ってるよ♪ 綺麗な色だな~♬ 」
淡いピンク色をした酒を透明になるくらいたくさんの水で薄めてチビチビと飲むカイト。
ほとんど水と化したそれでもカイトの頬はほんのりと赤く染まっていった。
相変わらずイライラしているアースは大きく息をするとベッドの上に放っておいた袋をごそごそと漁り出す。
「はぁ~~~~~~・・・・」
深い溜め息を吐きながらすっかり慣れた手付きで、取り出した飴の包装紙を剥がし口の中に放り込む。
その見慣れない包装紙の絵柄を見てカイトの瞳が煌いた。
「アース そのチュッパ、それ何味?」
「・・・チェリーブロッサム味」
「それって・・・ 何味?」
「・・・ ・・・お前の味。」
口の中で飴をコロコロと転がしながら にや・・・とアースが笑った。
「は?」
「お前 チェリーじゃん」
「???」
意味が分からないカイトは眉を片方だけ上げて 子犬の様に首を傾げる。
「お前アホだなぁ 童貞だっつってんの」
「あ~・・・ なるほど ・・・・ ・・・ えっ!?」
大きく頷きながらその意味をもう一度考えてみたカイトが急に真っ赤になって驚いた。
「・・・何で 分かるんだよ」
困ったような表情で言うカイトに「何を今更・・・」と返してアースの長い腕が伸びてくる。
当たり前のようにカイトの脚の間にあるものに手をやると、下から上へいやらしく撫で上げた。
「ここを こ~やって弄るのも 俺が教えてやったんだろ」
「うわっ! 何触っ・・・!」
ビクッと体を震わせて飛び上がる。
突然の事に驚いて、反射的にアースの手を掴んでしまった。
カイトの股間に手をやったままその動きを封じられて、一瞬ピタリと止まるアース。
それでも手の間から覗く指だけで再び撫で続けた。
「う・・あ・・・ アースっ!」
「んー?」
「や・・・ や・・・ 待っ・・・」
「何だ? 服の上からじゃ物足りねぇか」
すぐに甘い声を漏らすカイトに アースは静かに口の端をニヤリと歪ませた。
いつもよりも力を抜いて優しくそこを撫でながらカイトの腰を引き寄せる。
「どうする キスするか?」
「ん・・・ うん」
中途半端な刺激に腰をもぞもぞさせながらすっかり潤んだ瞳でアースを見詰めるカイト。
唇を少し開いて近付いてくるアースを見て、自分も同じように口を開けて目を閉じた。
「アースって酔っても眠くならないんじゃなかったっけ・・・」
「睡眠薬でも買ってくりゃ良かったな・・・ カイト お前も少しでいいから飲めよ 目一杯薄めてやっから」
「・・・ 分かった すこ~~しだけなら いいよ」
「お!このお酒 桜の花びら入ってるよ♪ 綺麗な色だな~♬ 」
淡いピンク色をした酒を透明になるくらいたくさんの水で薄めてチビチビと飲むカイト。
ほとんど水と化したそれでもカイトの頬はほんのりと赤く染まっていった。
相変わらずイライラしているアースは大きく息をするとベッドの上に放っておいた袋をごそごそと漁り出す。
「はぁ~~~~~~・・・・」
深い溜め息を吐きながらすっかり慣れた手付きで、取り出した飴の包装紙を剥がし口の中に放り込む。
その見慣れない包装紙の絵柄を見てカイトの瞳が煌いた。
「アース そのチュッパ、それ何味?」
「・・・チェリーブロッサム味」
「それって・・・ 何味?」
「・・・ ・・・お前の味。」
口の中で飴をコロコロと転がしながら にや・・・とアースが笑った。
「は?」
「お前 チェリーじゃん」
「???」
意味が分からないカイトは眉を片方だけ上げて 子犬の様に首を傾げる。
「お前アホだなぁ 童貞だっつってんの」
「あ~・・・ なるほど ・・・・ ・・・ えっ!?」
大きく頷きながらその意味をもう一度考えてみたカイトが急に真っ赤になって驚いた。
「・・・何で 分かるんだよ」
困ったような表情で言うカイトに「何を今更・・・」と返してアースの長い腕が伸びてくる。
当たり前のようにカイトの脚の間にあるものに手をやると、下から上へいやらしく撫で上げた。
「ここを こ~やって弄るのも 俺が教えてやったんだろ」
「うわっ! 何触っ・・・!」
ビクッと体を震わせて飛び上がる。
突然の事に驚いて、反射的にアースの手を掴んでしまった。
カイトの股間に手をやったままその動きを封じられて、一瞬ピタリと止まるアース。
それでも手の間から覗く指だけで再び撫で続けた。
「う・・あ・・・ アースっ!」
「んー?」
「や・・・ や・・・ 待っ・・・」
「何だ? 服の上からじゃ物足りねぇか」
すぐに甘い声を漏らすカイトに アースは静かに口の端をニヤリと歪ませた。
いつもよりも力を抜いて優しくそこを撫でながらカイトの腰を引き寄せる。
「どうする キスするか?」
「ん・・・ うん」
中途半端な刺激に腰をもぞもぞさせながらすっかり潤んだ瞳でアースを見詰めるカイト。
唇を少し開いて近付いてくるアースを見て、自分も同じように口を開けて目を閉じた。